月曜日の報告
気が進まないけれど、花枝には友達的提言をしなければならない。
「あ、お待たせ」
先に来ていた私達を見つけて、花枝も同じテーブルにやってきた。
「体の調子は、どう?」
「うん、週末休んだおかげで、回復してきたよ。
何食べよっかなーー」
彼女の様子はいつもと変わらなかった。
晴れ渡る青空の下、開放感のある屋外の席で昼食をとり、デザート待ちになった頃、美里と私は目で確認して、切り出した。
「土曜日の飲み会のこと、佐々木くんから聞いた?」
「うん、3人で飲んで、飲み過ぎて迷惑かけたって言ってた。
酒癖悪くって、本当にごめんなさい」
彼に都合のいいようにしか、聞かされてないみたい。
「彼と会った?」
「私が具合悪かったから、会ってないんだ。
今日は復活したんだけど、今度は彼がだるいから休むって。
そんなに飲んでた?」
腹をくくるか、って感じで美里が話し出した。
「佐々木くんの友達がドタキャンだったとして、それで彼女の友達と彼女抜きで堂々と飲み会するってとこで、ヤバイって思った。
で、その後佐々木くんと奈緒が二人になった時、あいつ手出してきたんだよ!」
「えっ……」
花枝の視点が合わなくなった。
「奈緒、例のもの」
美里に言われて、私はスマホを差し出し、席を外した。
一部始終を聞かされて、どんどん顔色が悪くなっていく花枝。
終わったあたりで私が席に戻ると、彼女は、大粒の涙をぽろぽろこぼしていた。
「美里、教えてくれてありがとう。
奈緒、本当にごめんなさい……!
私が行けなくて、彼をとめられなくてーー」
人目もはばからず号泣して謝る彼女に、かえって胸が痛く、余計佐々木くんが許せなかった。
「花枝は体調悪かったんだから、責めないで。
悪いのは、みんなを利用して悪事を働いた佐々木くんだよ」
「うう、うう~~」
彼女は堪えきれず、声をもらして泣いた。
5分くらい泣きじゃくって、落ち着いた様子で、花枝がポツリと言った。
「実は、体調不良って、生理が遅れてたの」
「えっ!!」
私達は仰天した。
「ちょっとそれ、大丈夫なの!?」
美里は強く問い詰めた。
「……もう来たから、大丈夫。
でも一週間もずれたことなかったから、焦っちゃって。
失敗しちゃったかなとか、どうしようとか、いろいろ考え過ぎちゃってーー」
「そりゃビビるでしょ!
一人で抱えてたの?」
花枝の口調は落ち着いていた。
「佐々木くんにも言ったんだけどね、まだわかんないし様子見るしかないじゃんってだけ。
飲み会も断行されたし……」
「花枝、佐々木くんと別れないの?」
美里はストレートに言った。
「今回のことで、はっきりとわかったよ」
断言しなかったけど、きっともうそういうつもりなんだろう。
「あれ、花枝さん?」
その時、一人の男子学生が声をかけてきた。
あれ、見たことあるようなーー。
「あ、森くん」
花枝は知っているようだった。
「俺、佐々木の友達の、森です。
この前の飲み会は都合がつかなかったって、次楽しみにしてます」
「え、森くんが急にバイト入ったって聞いたけどーー」
「うそん!?
佐々木がそんなこと言ったの!
えーー」
人の好さそうな森くんは、佐々木くんの最後の嘘を証明してくれた。
「森くんありがとう、本当のこと言ってくれて!
今度奢るから、うちらと飲み会しよう?」
「え、めっちゃうれしーー!!」
そう言って花枝と森くんは連絡先交換し、森くんはうれしそうに去って行った。
私と美里は、花枝の驚くべき行動力に圧倒されていた。
「あ、もちろん、二人の分もごちそうするから!
今抱えてる案件片づけたら企画するから、よろしくねっ」
さっきまで大泣きしていたと思えないくらい、彼女は満面の笑みでデザートを食べていた。