コント 「悪の組織」
ゲラゲラコンテスト用投稿作品の第八作品目です。
ボケ 「おい、今朝の経済紙の1面見たか? 株式会社『悪の組織』が『ヒーロー協会』を買収したってさ、いいよなー大企業は資金が豊富で。」
ツッコミ 「おい、滅多なことを言うんじゃないよ、うちの上司に聴かれたらどうするんだよ、ただでさえウチはあそこと業種が被っているんだから。」
ボケ 「悪い悪い、うちも一応悪の組織なんだけ、でも、やってることがセコイよなー。」
ツッコミ 「仕方ねえよ、最近じゃ大口の案件は全部『悪の組織』に取られてるからなー。」
ボケ 「こっちに回ってくる仕事と言えば、政府側の選挙演説に横断幕とヤジで妨害するとか、デモ行進の人数水増し工作とか、せっこい仕事しか無いからなー。」
ツッコミ 「仕事があるだけいいじゃねえか、スポンサー企業から結構な額の日当が出るんだし。」
ボケ 「日当1,000円だっけ?」
ツッコミ 「10,000円だよ、馬鹿、桁を間違えんなよ、きょうび日当1,000円で働く奴なんていねえよ。」
ボケ 「でもビラ配りとか安いんだろ?」
ツッコミ 「ポスティングと崇高な我々の仕事を一緒にすんな!」
ボケ 「デモ行進に崇高も何もねえ…。」
ツッコミ 「思ってても言うんじゃねえよ! 仕方ないだろ?」
ボケ 「へいへい、せめて業種被ってるんだから社名ぐらい変えて差別化をした方がいいんじゃねえの?何だよ『悪党本舗』ってどっかの俳優事務所みたいじゃんか。」
ツッコミ 「そういうのは上司に言えよ! 仕方ないだろ、代々続く老舗だとかで変えられないんじゃ。」
ボケ 「せめて給料だけでもあげてくんねえかな~。」
ツッコミ 「今でも十分もらってるだろ。」
ボケ 「いやー、このあいだチョット良いい腕時計を買っちゃってさー金欠なんだよねー。」
ツッコミ 「またキャバ嬢に貢いだのかよ!懲りないやつだな~。」
ボケ 「いや~、あの娘が『今月ノルマがピンチなの~助けて~』とか言うからついへへへ。」
ツッコミ 「普通に利用されてるだけじゃねえか!全くしょうがねえな…ほれ。」
ボケ 「何だこの紙。」
ツッコミ 「また沖縄への出張依頼だよ、大手は手を引いてるから人手が足りないんだと。」
ボケ 「うお!日当10萬?随分気前がいいんだな~。」
ツッコミ 「大陸系の企業から結構な金額が振り込まれてるからな、またテントに張り込むだけだし、楽な仕事だよ。」
ボケ 「えー、でもこないだテレビ見たら警備隊とかと揉めてたぞ、大丈夫か?。」
ツッコミ 「大丈夫大丈夫、たまたまカメラに入っただけだし、メディアの買収工作は大手の『悪の組織』がやってるから、都合の悪い部分は流れねえよ。」
ボケ 「ならいいか、で? いつから行けばいいんだ?」
ツッコミ 「んー、たしか国際会議が近いうちにやるからそれに合わせて。」
ボケ 「え、3日後じゃんか、早速申し込んでくるわ。」
ツッコミ 「おー、頑張れよー」
ボケ 「おまえはどうするんだ?」
ツッコミ 「留守番が居ないと連絡取れないだろ?上司は接待で忙しいし。」
ボケ 「その割にはパソコンをいじってるけど、何やってんだよ。」
ツッコミ 「SNSで政府系の情報にちょっと細工してデマ工作、一件につき10万だよ。」
ボケ 「えー、そっちの方が楽そうだな~」
ツッコミ 「楽じゃねえよ! 正論で突っ込まれたら削除して逃げないといけねえからアカウントがいくつあっても足りねえよ!」
ボケ 「そこにある大量のスマホがその証拠か、元取れてるのか?」
ツッコミ 「格安で手に入れたやつだから心配ないって上司が言ってたよ、どうせ名義貸しのブローカーから仕入れたんだろうけどさ。」
ボケ 「悪いやつだな~。」
ツッコミ 「悪の組織だしな。」
ボケ 「出張の件はいいとして、今日中に出来るやつとかない?」
ツッコミ 「あーそれなら、国会前のデモ活動に行ってこい、この紙見せれば参加できるから。」
ボケ 「日当は?」
ツッコミ 「前払いで5千円、時給換算で1時間当たり1万だってさ。」
ボケ 「お、出張先で遊ぶ金が稼げるじゃねえか、じゃ、早速行ってくる!」
ツッコミ 「気をつけてなー、サングラスとマスク着けるの忘れるんじゃねえぞー!っとじゃあこっちも
もうひと踏ん張りしますかねえ、ん?電話?」
ツッコミ 「はい、株式会社『悪党本舗』です、あ、いつもお世話になってます…はい?あ、そうですか、では上司にはそのように伝えておきます…はあ、大国の経済制裁でスポンサー企業が倒産か…これで沖縄出張は無しだな、悪党は辛いなー!」
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