閑話 背中を見つめたままで
「ミネルヴァ…」
去っていくミネルヴァの後ろ姿を見つめながら、目には涙が浮かんでいた…。
どれだけ会いたかった事か。
どれだけ不安と戦っていたのか。
どれだけアナタを頼りたいと思った事か。
だが、それは出来ない。
あの日、創造神様に誓ったのだから…
「私はミネルヴァの力になりたい」
――それでいいのかと、苦難の道を選ぶのかと、自分の願いはいいのかと、何度も何度も確認される。
「あの子の願いを叶えたいの」
それが私の自然で、たった一つの望みだった。
出来ることなら、昔遊んでいた頃のように、一緒にボードゲームをプレイしたい。
でも、今となってはそれはもう叶わない。
もう創造神様はいない…。
ボードゲームも、あの頃のようなオモチャじゃない。
私は何があったのか知っている。
私は何が起きるのかを知っている。
私はあの子が知らない事を知っている。
あの子の進む道は、決して楽な道じゃない。
あの子が全てを知ったとき、絶望して歩みを止めてしまわないように。
あの子が全てを知ったとき、道に迷ってしまわないように。
私は力をつけよう…アスカロンを託したあの男も、全てを理解した上で、力を貸してくれる。
私は力をつけよう…最後の最後まで、あの子が諦めなくてもいいように。
私は力をつけよう…最後の最後で、あの子が迷ってしまった時に、選択肢を増やしてあげられるように。
「本当に、それでいいんじゃな?」
ええ…だって…私の望みは…
「あの子の願いを叶えたいの」
ただ、それだけなのだから。




