惑星カイモンズ
「どう言う事だよ!アンタ何で俺の事知ってんだ!?それ以前に何であんなにも正確に俺の事を書けたんだ!?」
「だから言っただろう?創造神の後継者と」
「だったら何だってんだよ!」
「落ち着いて考えてみなよ。創造神の後継者だそ?普通の人間だと思うのか?」
なにが言いたいんだ?いや、なんとなく創造神はつく。だが一応とぼけてみよう。
「はあ?普通の人間じゃないのか?どっからどう見てもただの綺麗な女の人なんだが?」
「ありがとう。素直に礼を言わせてもらおう」
そう言って少し頬を赤く染めた。
「いやいや、礼とかいらないから。状況説明早くして。てか、何照れてんの?」
「面と向かって綺麗と言われる事に慣れてないんだ。すまないな」
「アンタくらいの美人ならどんだけでも言われるでしょう?それともご自慢?」
「いや、本当に言われ慣れてないんだ。その事も順を追って説明しよう。」
何が言いたいんだこの人は本当に。とにかく話を進めてもらおう。
「まず私ミネルヴァ・テラースは人間ではない。神様…女神ってやつだ」
「いきなり女神様とか言われても信じられると思います?だいたい俺は無神論者なんだよ!」
「ああそう言うことか。地球に神様なんていないと」
「当たり前でしょ。神様なんて見たことないし」
「目の前にいるが」
「ぐっ…」
──絡みづれぇ。
「正確には地球の神ではないんだかな」
──ん?今なんて?今なんつった?
「パードン?」
「だから私は地球の神ではないんだ。」
「あぁなるほどなるほど。違う星の神さまなんですね…ってなるかい!!!ならどこの女神様なんだよ!」
「私はこの星、カイモンズの神なのだよ」
「どこの星だよカイモンズて。…ん?アンタさっきこの星って言わなかったか?」
「言ったが?」
「は?ここ地球じゃないの?」
「そうだぞ。ようこそカイモンズへ!」
いやいやいやいや、ちょっと待てちょっと待て。落ち着け俺落ち着け俺。両手広げて何がようこそだ。女神様キャラブレてんぞ。そして落ち着け俺。
地球じゃない?なんかのドッキリかなんかか?
「ドッキリ…」
「違います。ようこそ!カイモンズへ!!」
食い気味に来たな…そして今度は両手広げて座ってた椅子に片足立てて言ってる。その美しい見た目と合ってないぞ。このふざけたキャラが本性なのか?でも少し乗っかって聞いてみるか。
「わかりました。わからないですがわかりました。ここは惑星カイモンズなんでしょう、きっと。」
「お?理解が追いついてきたかな?」
なんかこの人フランクになってきたな…
「俺は地球の自分の部屋で勉強してたんだけど、いつカイモンズに来たの?これって小説にありがちな異世界転移とかってやつ?」
んなことあるわけないけどね。想像は良くするけれども。
「そこまで理解したか。なら話が早い。いつまでも君と言うのもよそよそしいから久我君…いや…久我と呼ぼう!」
「…続けて…」
噛み合わねぇ…だがここは合わせておこう。
「本当なら神である私に呼び捨てなんてさせないところどが、久我と私の仲だ。無礼講といこう!」
「…続けてミネルヴァ…」
どんな仲なんだよ。さっき知り合ったばっかだよ。
「厳密には久我は異世界転移ではない。異世界召喚だ!君は自分の事が書いてある投稿小説を読んだだろう?」
読んだけど?それが何か?
「アレは異世界召喚に耐え得る素養のある者にしか読めない召喚式なんだ。そして素養のある者の中でも1番早くに読んだ久我がカイモンズ召喚されたと言うわけだ。」
何を言ってるのかはイマイチわからん。だが自分の事が書いてあるミネルヴァ・テラース名義の小説の冒頭を読んだのは事実だ。
ええ〜いワカラン!
「久我は小説を読んだ後に何か起きなかったか?」
「あ…そういえば物凄く体調が悪くなって、心臓の鼓動が大きく早くなって、鼓動と耳鳴りがして…」
「そうだ。その時に異世界召喚されたわけだ。気づいたらこっちにいただろ?」
え?てことは…
「ミネルヴァが…アンタが俺を喚んだのか?」
「そうなるな」
「何勝手な事してくれてんだよ?帰せよ!今すぐ地球に帰らせろよ!!」
あまりの唐突な女神の理不尽に俺は怒りを隠せなかった。
「すまん…だが帰らせられない。今は…まだ…」
「どう言う事だ!!」
怒りに任せて怒鳴り散らしてしまう。
ミネルヴァは申し訳なさそうに、そして少しだけ悲しそうに話し始めた。
「今すぐは帰す方法がない。私もまだカイモンズの完全な神じゃないんだ…すまん」
「…今すぐじゃなきゃあるのかよ?」
「ある。私に力を貸してくれ。そしてとあるミッションを2人してクリア出来たなら久我を地球に帰してあげられる。」
「…完全な神じゃないって何さ?」
さっきまで神って言ってたのに。
「カイモンズの創造神様が先日亡くなられてな。神とはいえ不死ではないんだ。そして創造神様が亡くなる前に仰ったことが、異世界から人を喚んで、その者とコレをクリアした者を次の完全な神とする…と」
神様不老不死じゃないのかよ。まぁ、不老なら見た目爺さんの神様なんているはずないからなぁ。
「わかった。全然わからないけど分かった。んで?創造神様は俺たちに何をクリアしろと?」
どうせ帰れないなら、チャッチャと要求クリアして帰ろう地球に。
そしてその質問に対してまたもあの美しい笑顔でミネルヴァが答えたのは…
「創造神様が創ったボードゲームよ」




