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走劇のオッドアイ  作者: かさ
ダークサイドシナリオ編 特務機動隊、自動車窃盗団を壊滅せよ
98/121

ACT.91 犯罪組織ヴィシュヌ殲滅戦2 妖艶たる怪物

加奈から報告を受けて、神也にGT–Rヴァルキリに一人で乗せられる


「ホントに大丈夫なのか?これがインプレッサに見えるているとは思えないんだが…」

〈安心しろ、このホログラム擬装は完璧だ。直接触れられたバレるかもしれないが、見てる分には簡単には見分けはつかない、それに最善と考えられる手段がこれしかない以上仕方あるまい?後は君の頑張り次第だ須田良輔〉


そう、藁にも掴むような思いで彼らを付いてた結果、今に至る。信じるしかない、ここで来たのなら

インプレッサの偽装したGT–Rヴァルキリの自動運転で、貨物船の入り口に着く



須田を乗せたGT–Rヴァルキリと同時に、見つからないように船倉内に潜入

車両出入り口が慌ただしい反応をしていた

どうやらインプレッサに擬装したGT–Rヴァルキリが奴らの前に現れたからだ、来るはずのない奴が来るのだから、そんな反応をするだろうが…正直、ここからは賭けだ、すんなり通すか、それとも…

息を呑んでその様子を伺い待つと、GT–Rヴァルキリが船倉内に案内され進む

思わず、ホッとするが…安堵してる暇はなく、物陰に隠れながら後をつける

そしてヴャルキリは数人の構成員たちとこの場所に似つかわしくない姿の女の子の待つ場所に停車する、構成員の中には特務機動隊の会議室で見た妖艶な女性もいた…


「ヴィシュヌの女幹部…アイツがガーネェヤ、そしてあの娘が須田莉々か?」


須田莉々は下着姿で、手首を拘束された状態で立たされていた

こちらの資料で見かけた写真よりやつれていた…体には暴行を受けた痣の痕がところどころあり、体の状態から酷い仕打ちを受けていたのが遠目でもわかるが、その瞳と表情はまだ死んでいないようだった


「強い女の子だな、須田莉々は…」


そう思っていた瞬間、船が揺れる…貨物船が出港したのだ


「出港が早い!?…須田が来たことで早めたか?」


加奈はまだ機関室を破壊できていない…彼女の心配はしつつ、須田達の様子を伺いながら装備と体制を整える

目の前の僕のやるべき最善を尽くすしかない 




「よくまあ、ここまで来たわねボウヤ?てっきりもう2度会うことはないと思ったけど?」


車から降ろされ、数人の男たちが銃をこちらに向けながらガーネェヤの前に立たさる


「…莉々を見捨てていけるか」

「ふふ…どうやって逃げ出したのかしら?たしか日本の特殊部隊に捕まったって聞いたけど?」


恐い…この女に恐怖を刻まれている、だけど、だけど…ここでその恐怖に負けられない、莉々を助けられる機会をここで逃がすわけにはいかない

気合を入れろオレ!震える体と、精一杯、声を絞り出すように言葉に出す


「オレは…オレは、逃げ出してきたんだよ…なんとかして、ここまで…約束通りに車をここまで持ってきたんだ…だから!」

「いいわ、ほら」


ガーネェヤはオレの方向に莉々を放り出すように押し出し、倒れそうなる莉々を抱きしめる…強く、強く…ああ、やっと会えた


「お兄ちゃん…!」

「生きていてよかった…よかった…!」


一ヵ月以上振りの再会、ここまで随分長かった気がする…この時をどれだけ耐えて待ち望んだか


「…麗しき兄妹愛ね?だからこそ壊したくなる」


再会の干渉に浸ってる暇もなく、ヴィシュヌの構成員達に銃を向けられる


「私達には、あなた達を生かしておく必要なんてない…安心しなさい、あなた達はここでバラバラにして中身活用させて、皮と肉は海の魚の餌にしてあげるわ」


これは、神也に言われていたことだ…奴らはオレたちを生かして返すつもりなんて全くないということを、まあこれまでの行動から約束を守るような奴らではないことはわかっていたが

らしくもなく、怯える莉々に対し…オレは奴らを睨みつける、莉々を強くに抱きしめながら

その態度にガーネェヤは不審に感じたようだ


「…妙ね、これから殺されるような人には見えないわね?なぜかボウヤには、何か希望があるのかしら…気に入らない、気に入らないわね…そんな目をするボウヤのような若い日本人は」




まずい状況だ、あれは本気で殺す気でいるようだ

ここで飛び出したところで、須田兄妹が殺される方が早い…何か気を逸らすようなきっかけがなければ

オウガで行動を起こすには早いし、危険を晒す

外で待機している、WRXヴァルキリに通信を送る


「アイ、聞こえるか?そこから車両のハッチを破壊できるか?奴らの気を逸らしたい」

〈ええ、大体の事情はわかってます、ホーミング弾の射程圏内〉

「オウガ、破壊のタイミングで偽装を解除。トリモチ弾を打て、銃を構えてる人間の動きを封じろ。その後須田兄妹を乗せて脱出してくれ」

〈了解だ、神也〉

〈神也様、こちらの準備はできました。あとはそちらでタイミングの指示を〉


特務機動隊の格闘近接戦闘装備、スタンナックルのスイッチを入れ準備をする

公安や隊長達を一撃でダウンさせた武器だ、奴らを無力化するには十分な武装だ


「アイ、頼む」

〈了解!ホーミング弾発射!!〉


船後方から、爆発音が轟き、船内が揺れる

ガーネェヤを含める構成員全員が驚きと、後ろを振り向く


「今だ!オウガ!」

〈了解!擬装解除、トリモチ弾発射!!〉


ホログラム擬装を解除した瞬間に、GT–Rヴァルキリのランチャーからトリモチ弾がガーネェヤを含む構成員達に着弾する


「なんだこれ!?」「か、体が動かねえ!?」「というか、あの車変身した!?」


白色の粘着性のある特殊なトリモチは、本来は車の動きを止めるもの

人の力程度では振り解けるものではなく、構成員達は引き金すら引けず、身動きが取れないままもがいていた


〈須田良輔!乗り込め!〉


オウガに言われ、莉々を抱きしめながらGT–Rヴァルキリに乗り込む須田

須田兄妹を乗せたGT–Rヴァルキリはそのまま走り出そうとした瞬間、その怪物は立ち塞がった

その人の姿をした妖艶な存在は、GT–Rヴァルキリを吹き飛ばした…いや、殴り飛ばした、1.5トン近くある車を数メートル、船倉の壁に叩きつけたのだ


「不思議な感触ね、私の拳を受けて吹き飛ぶ程度で済むなんてね?」


それはトリモチ弾の直撃を受けたはずのガーネェヤだった

バカな!人間の力でトリモチを抜けたというのか!?


「どんな細工か知らないけど、インプレッサがR35に化けるなんて…そしてこんな武器まで、お陰で自慢の髪を千切る羽目になったわ」


ガーネェヤは、GT–Rヴァルキリに近づいていく

いくらヴァルキリでも、あの女怪物は危険と判断し、ハンドガンを懐から出し、ガーネェヤに向けて発砲する

放たれた弾丸は、ガーネェヤの体に当たったが…金属音がぶつかって弾かれた

そして僕の方に顔と体を向ける


「……なるほど、あのコソ泥ボウヤの差し金はあなたね?小さなボウヤ?」


銃を構えているこちらが有利にも関わらず、ガーネェヤは余裕の態度と表情で、ゆっくりこちらに歩んできて…


「どうやって忍びこんだのかは知らないけど、お姉さんにこんな仕打ちをする悪いボウヤは…」


僕の瞳に彼女の動く先の未来が視えたが、それは考えられない未来、人の動きとは思えないものだ

超高速で接近し、腕を超高速回転しながら殴ってくる…というものだ

戸惑ったが…反射的に体が動き、視た未来通りにガーネェヤの攻撃動作を避け、後ろにあった積荷のコンテナに超高速回転するガーネェヤの拳が、大穴が明ける

鋼鉄の強固なコンテナが人の拳で貫通どころか、大穴を空けることなんて不可能だ。そう、ガーネェヤは妖艶たるただの美人ではない

先程から見ていたガーネェヤの身のこなしの違和感はそういうことだ


「…鋼鉄の両腕かつ怪力、銃弾をはじき返す体…貴女はサイボーグか。しかもただのサイボーグではないな。非合法な違法改造サイボーグ…!」

「へぇ…どうやらただのボウヤではないみたいね?その通りよ、私は殺しと暗殺に特化し、改造された女…ヴィシュヌの幹部のガーネェヤよ」

「須田を除く、今までの窃盗実行犯を惨殺したのはアンタだな?その超高速回転する腕なら人体に大穴を明けるなんて造作でもない」


指摘すると、ガーネェヤはニヤリと微笑む。今までの猟奇的な惨殺を行っていた者が、サイボーグであるのなら全て納得がいく

目の前でその威力を見せつけられたら尚更


「初めてね、私のスピニングナックルを初見で避けて生きてる人間がいるなんて…そして私の動きについてくる、とんでもない反射能力と身体能力ね

「その二つには自信があるんでね」


スピニングナックル…おそらく、鋼鉄の腕に超伝導モーターか何か組み込まれ、それに耐える頑丈強固な材質だからこそ成り立つ攻撃方法

直撃は勿論だが、特に顔を辺りを掠められたらひとたまりもない

超高速の振動で、脳震盪を起こすか、完全に耳がやられる可能性がある

考えてるうちにガーネェヤは再びスピニングナックルを仕掛けてくる、それも両腕で

ハンドガン程度では太刀打ちが出来ないが、反撃しなければ、倒さなければならない、ガーネェヤの拳を避け、カウンターに彼女の腹部にスタンナックルを叩き込み、ガーネェヤを吹っ飛ばすが違和感があった

電圧は感電死するレベルの威力に上げていたが…


「電気が、流れない!?」

「…私の体は、電気を流さない特殊な金属で出来ているのよボウヤ?」


並みの人間なら立ち上がれないダメージのはずだが、サイボーグのガーネェヤは平然としていた


「ふふふ…この体で、格闘戦で私と互角に戦う人間がいるなんてね?ボウヤ、一体何者かしら?殺す前に聞いておくわ?」


余裕…いや、楽しんでいるのかこのガーネェヤという女は


「…特務機動隊、白柳神也…アンタを倒す前に名乗っておくよ」

「特務機動隊…へえ本当に実在しているなんてね、舐めていたわ。まさかサイボーグと戦える人間を所有しているとは」

「生憎、アンタ程じゃないが、体の一部をサイボーグ化している兄を知っているんでな」


殺傷能力ならガーネェヤの方が厄介だが、身体能力ならそいつの方が遥かに上回る


「オウガ、応答しろ。大丈夫か?」

〈…ああ、装甲にダメージがあるが、走行に支障はない〉

「須田達は?」

〈先ほどの衝撃で気を失ったが、大丈夫だ生きてるしケガもない〉


二人の安否と、オウガが生きていることで安堵する


「オウガ、この女の相手は僕がする。お前は逃げろ、人間サイズでヴャルキリにダメージを与える相手は相性が悪い」

〈了解、死ぬなよ神也〉

「誰だと思ってる?僕のあの父親の子供、そして尊敬するあの兄の弟だぞ?」


GT-Rヴャルキリは激しいスキール音とエキゾースト音と共に走り出す

ガーネェヤはそちらに目もくれずに、僕の方を対峙する


「あっさり通してくれるんだな?」

「ふふ、今更あの二人を逃した所で私達の方が不利な状況だもの。ボウヤが単身で乗り込んできたと考えづらい、ならボウヤとその仲間を全滅させるか…」


ガーネェヤは身構える

ここでこの女を倒さなければ、潜入している加奈では到底太刀打ち出来るようなものじゃない

この怪物を倒せるのは、化物たる存在の僕だけだ

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