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走劇のオッドアイ  作者: かさ
ダークサイドシナリオ編 特務機動隊、自動車窃盗団を壊滅せよ
96/121

ACT.89 ヴァルキリvsヴァルキリ

ヴァルキリの地下ドックを抜けると、市民会館の地下駐車場に出る仕組みだが、当然出入り口は封鎖されている

ドックの上りスロープをGT–Rヴァルキリで駆けると、出入り口のシャッターが見えて来る


「オウガ、ホーミング弾でシャッターを壊すぞ!」

〈了解、ホーミング弾装填開始、ランチャーオープン〉


GT-Rヴャルキリの両クォーターパネルから3連装ランチャーが展開される、走りながらシャッターを迫る

迫り迫り、オウガの演算とホーミング弾の装填を待つ


〈装填完了、照準セット、最大破壊効果位置に向けて全弾発射!〉


爆発的な音ともにホーミング弾がシャッターに向けて発射され、着弾した瞬間に爆発音と共にシャッターを粉砕し、そのまま地下駐車場に出る


「オイオイオイ、オレ…こんな物騒なモノが積まれていた車から逃げていたのかよ!?」

「全ヴャルキリの標準装備だ、もっともアンタら程度じゃ使うことはないらしいが」


そりゃ、こんなものを見せられれば青ざめるよな…まさか法治国家である日本で、車にこんな過激的かつ攻撃的な武装を使われていたとしたら、その気になればあの時、インプレッサを追跡してた時、跡形もなく消すことも出来たからだ


地下駐車場から、地上の道路に出口に…同じ天使の名を持つ3台のマシンがそれを塞ぐように待ち構えていた


「…やはり待ち構えていたか…レクサスにクラウン…そしてC-HRのヴャルキリ!」

「あの2台…銀のセダンを粉々に破壊した車か!?」


3台の距離を空けて、停止する。3台のヴャルキリは追撃の攻撃形態に変形して待ち構えていた…番人のように


〈C-HRヴャルキリのシステムAI、ムラクモ…GT-Rヴャルキリの搭乗員、白柳神也。貴殿の行動は特務機動隊に対する反乱と見なす。直ちに降りなければ、実力行使を持って貴殿を止める〉


無線を通して、C-HRに搭載されているAIムラクモから降伏勧告を伝えられる


「C-HRヴャルキリのAIムラクモ…悪いが僕はこの行動を間違っていないと信じている。3台のヴァルキリを破壊してでも、そこを通らせてもらうぞムラクモ」

〈私とヴァルキリ3台…倒せるとでも?〉

「僕という人間と、オウガを舐めるなよ?」

〈…実力行使を開始〉


レクサスとクラウンのヴャルキリが激しいスキール音と共にこちらに走り出す


「オウガ!チェイスモードにトランスフォーム!」

〈トランスフォーム、オウガシステム最大稼働、ナノマシンフィールド最大出力!〉


GT-Rヴャルキリをトランスフォームしながら、一気に加速する


「正面からぶつかるのかよ!?」

「しばらく喋らない方がいい!しっかり掴まれ!須田!」


レクサスとクラウンの2台と正面から、ぶつかる

3台の電磁形成するナノマシンフィールドが干渉し合い、激しい光を放つ

2台対1台、そしてレクサスとクラウンは元々高速走行を得意とするマシン、パワーでは負けるGT-Rヴャルキリが押される

このままだと後ろの壁に追い込まれて走行不能に陥りかねない


「オウガ、ブーストモード解除しろ」

〈…了解、ブーストレバー安全装置解除…タイミングは君に委ねる〉


おそらく反対したかったのだろうが、状況を打開出来る方法はオウガも同じ結論なんだろう

ドア側から展開したレバーを握りしめて、力強く押し込む


〈ブーストモード展開!臨界までカウントスタート!!〉


GT-Rヴャルキリのリアウィングをパージし、トランク部から左右二基のブースターが展開されると同時にブースターが噴射しGT-Rヴャルキリがレクサスとクラウンを押しだし、左右に弾く

そのままの勢いでC-HRに突っ込んで突破を試みるが、レクサスとクラウンの動きに勘づく

いや、視えたのだ、両車がワイヤーを撃ってきたことに


「ブーストモード緊急停止!」

〈了解!走行セッティングパターン変更!〉


レクサスとクラウンのワイヤーを避け、地下駐車場内を走り回る

高速で、狭い市民会館の地下駐車場で3台の車の追走劇が行われる、レクサスとクラウンはワイヤショットを撃ちながら、コンクリートの柱や壁を砕く

各種センサーとミラーとフロントの視界情報から、動きを把握し2台の追撃と攻撃を避ける


「…?オウガ、随分反応が良くないか?前より動きがダイレクトというか…」

〈AIアイの仕業だ…あのAI、私を乗っ取た際にプログラムを整理したんだ。悔しいが詰めれる部分があったんだな〉


僕の反応速度と、未来を視る眼を応用して走ることを前提のプログラムをAIアイは短時間でさらに効率よく整理したのか?兄さんのAIは末恐ろしい

AI制御で無駄な動きが少ないレクサスとクラウンのヴャルキリだが、ただの人間であれば呆気なく制圧されていただろうが、僕は未来を視える眼とそれに対応できる反応速度とそれについていけるマシンがあればこそ、2台のヴャルキリ相手に逃げ切れているが…長期戦はこちらには不利な状況である

隣に乗っている須田の体力が持たない、横にも縦に動くGに彼の体が耐えきれないのだ

元々暴行で衰弱してる上に、ヴャルキリという特殊な車両であり、高速の加速減Gに耐えきれる体と正確に動かせる技量を持つこと人間が操ることを前提されているマシン

須田の顔は既に顔面蒼白である


「オウガ、使用可能な武装は?」

〈ワイヤーショットは逃げている状況では使用は難しい、ランチャーに発射可能で装備されているのは、トリモチ弾、スモーク弾、徹甲弾が各6発づつ…ホーミング弾は先程で弾切れ〉

「有効なのは徹甲弾かワイヤーショットだが…」

〈どちらも使用に難有り、ワイヤーショットはこの状況下では使いどころが難しく、徹甲弾はこの狭い場所で使用すれば地下駐車場施設を貫通して、地表の関係のないところに被害が出る可能性があり〉


ヴャルキリのランチャーの発射原理は二つあり、その中の徹甲弾に関して言えばレールガンと同様の技術であり、威力は絶大であるが、目標を貫通して周囲被害が尋常ではない

通常は使用には発射許可が必要である代物であり、こんな地下空間で使えば、下手すれば施設を崩落させてこっちが生き埋めになりかねない程の破壊力を誇る


「出口を塞いでいるC-HRを何とかするしかないか?」

〈いや、どのみち追撃されればあの2台相手に逃げ切れない上にますます武装の使用に制限がかかる〉


2台の追撃を避けながら、オウガと考えていると、出口を塞ぐように止まっていたC-HRに動く…ルーフからレドームを展開する


〈警告!警告!神也アレはまずい!!ムラクモはECMを使うつもりだ!〉


電子機器に対する攻撃は、ハイテク装備をしている現代車とヴャルキリにも有効な攻撃手段かつ切り札であり、制御不能に陥れるのが基本的な用途だが…C-HRのムラクモに装備されているのはそんな生易しいものじゃない


「AIのプログラムごと破壊する気か!?」

〈このオウガには、アレに対抗する手段はないぞ!?〉

「射程範囲はどこまでだ!?」

〈少なくともこの地下駐車場全域だ!止めなければマズイ!このGT-Rヴャルキリの電子系等全てが使い物にならないレベルで破壊されるぞ!!〉


AIである彼が焦り、恐れる程、ムラクモのECMは電子機器全ての天敵である

対処しようにも、駐車場を2台のヴァルキリ相手に逃げ走るの手一杯な状態

万事休すか…!




WRXヴァルキリの目の前で、銃をこちらに向けたリィンと対峙し続けていた

上の市民会館の地下駐車場で、激しいエキゾーストとスキール音がこちらにも響いてた


「狭い空間で3台のヴァルキリ相手に、よく逃げているわね神也…だけど、この手はあまり使いたくなかったけど」

「ムラクモのECMか…リィン、ここを通してくれないかしら?」


リィンに頼むが、彼女は首を横に振り、断る


「加奈…らしくないわよ、貴女は命令に逆らうような…いや、ここまで行動的じゃなかった」

「そうかもね、結衣達に出会う前までの私はこんなことはしないだろうね…だけど、私は結衣達が愛する自動車社会を守りたい、自動車で不幸になる人を少なくする為に、アルカディア機関の工作員、特務機動隊として」

「それなら、尚更わかるでしょ?組織は命令に忠実に従わなければならないということ、そして特務機動隊はある程度の秘匿性がなければならない」

「救える可能性がある、救いを求める者に手を差し伸べられないんじゃ、何の為の特務機動隊よ、守る為にある力をここで使わないんじゃ、誰の為の力なのか…私はこの特務機動隊員として、小柳加奈という人間として恥ない選択をする。私は須田良輔も須田莉々を救って、そしてヴィシュヌも潰す」

「…それは傲慢、思い上がりよ加奈。現にこの覆しようのない状況を乗り切れないようでは、誰も救えない」


神也は無人のAI制御のヴァルキリ3台相手に戦い、私はリィンに銃口を向けられている

そして、ムラクモのECMを使えばGT–Rヴァルキリは戦闘不能になる、詰んでいる


「ムラクモ、ECM作動しなさい」


リィンは片耳につけているインカムから、ムラクモに指示を出す

……が、様子がおかしい。相変わらず激しいエキゾーストとスキール音が響いていた


「ムラクモ?どうしたの?ECMを…?」

〈悪いですが、ムラクモと3台ヴァルキリは私の手に堕ちましたよ?ムラクモにレクサスとクラウンもリンクしていたのが失敗でしたねリィン様?〉

「え?誰!?」


動揺したリィンの隙を、見逃すことなく仕掛ける

拳銃を上に蹴飛ばし、間髪入れずにリィンの腕を掴み地面に投げ伏せる

硬いコンクリートの地面に叩きつけられたリィンは悶絶した後に気絶した

リィンのインカム取り、耳につける


「助かったわアイ」

〈すみません、遅れて。私も本気を出さないとここのシステムとヴァルキリを制圧出来なかったので…全サーバーをフル稼働させるのに時間がかかりました。システムに繋がっている物はほぼ制圧しました〉

「…ということは、道路管制システムも?」

〈無論。港まで道路規制及び一般車両の高速道路封鎖も完了、いつでも行けますが…〉

「どうしたの?歯切れが悪い言い方だったけど?何か問題が?」

〈AIアルストリアでしたっけ?彼だけ特務機動隊のシステム外の仕様で…干渉出来てないんですよ〉

「…つまり、WRXヴァルキリは…」


アルストリア次第ということだが、そんなお堅い思考のAIが私に協力するなんてことはなく


〈搭乗員、小柳加奈。貴方の行動は特務機動隊の任務とは逸脱した行為、命令違反と認定。直ちに降りて投降せよ。繰り返す…〉


起動させた瞬間にこれだ、アルストリアが制御している以上このヴァルキリは動かせない


「アルストリア、このヴァルキリのドライバーは私よ?言うことを聞かないのであれば、アンタを引っ込めてでも動かす」

〈…理解不能、理解不能。小柳加奈、貴方の行動と考えは私には理解出来ません。何故リスクのある行動をするのか理解出来ません〉

「人命優先よ」

〈生存が絶望的かつ、容疑者の言うことに信用性があるとでも?〉


話にならないのはわかったし、時間もない

認識USBメモリーを差し込み、強行手段をとる


〈不正なメモリーデータを確認…ウィルスが…進行…セ、セイギョ…ケイ……〉


認識USBメモリーを差し込むと、アルストリア及びヴァルキリのシステム全てがダウンし始め


〈インストール完了。わからずやのアル君には引っ込んでもらいました〉

「アル君…?アイ、どう?ヴァルキリの制御は可能?」

〈私を誰だと思ってます?マスターの最高の女かつ、最高のAIですよ?軍艦すら制御制圧出来ますよ?〉

「そこまで言えるなら、心配無用か。頼むわよアイ!」


AIアイという最高の味方と共に、WRXヴァルキリが翔ける


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