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走劇のオッドアイ  作者: かさ
ダークサイドシナリオ編 特務機動隊、自動車窃盗団を壊滅せよ
94/121

ACT.87 ”正しい” ”正しくない”という判断

ヴャルキリGT-Rとオウガ

これらは特務機動隊とは別に、白柳教授と僕を中核に白柳学院内で作り上げたヴャルキリ

性能面は他のヴャルキリよりは高性能かつ、アルカディア機関の独自技術の最先端を入れている最も汎用性が高いヴャルキリである

AIのシステム面も自信作であったのだが…


〈AIユニットとしての性能はともかく、この程度では私の敵ではないですねオウガというAIは〉


この、AIアイと名乗る者に乗っ取られていた


「お前は一体なんだ!?」

〈ご安心してください神也様、私は貴方と加奈様の味方です。このAIアイは貴方が兄と呼ぶ、マスターに育てられたAIユニットです〉

「兄さんのAIユニットということか?しかし、一体どうやってオウガを…というより…」

〈まあ色々言いたいことや聞きたいことがあるでしょうが、時間がないので手短に…私は既存のAIユニットは異なる存在…まあ、加奈様が持っていた携帯端末でずっと話を聞いていたのです、そして、今私の力が必要であると判断したので出張った次第ですよ〉

「…もしかして、お前はネットワークのサーバーが本体か?」

〈おおよそ正解です。とりあえず、先ほどの話…加奈様と小柳様、どちらも貴方に対してのメッセージを送っていることに気づきませんでしたか?〉

「オレに対して…?」


会話を振り返る…最終的に加奈と小柳が口論になったが、そこに僕に当てたメッセージだと?


〈頭は良さそうですが、生真面目な性格なんですかね…御自身の立場を考えてください、貴方はSSR計画とやらで最も重要なピースであるなら?迂闊に処分は下せないのでは?〉

「……なるほど、そういうことか。こういう手段で僕を利用するとは、加奈も小柳も人が悪い」


”余程の特例がない限り…な”小柳はその言葉は僕に向けて言っていたのだ

SSR計画の最高傑作である僕なら、命令違反であろうが始末は出来ないということだ…なら、僕はやりたいようにやろう

目の前救いを求める者のを見捨てるなんて、僕には出来ない、我慢できない



少し時間を遡る


窃盗実行犯の須田良輔の発言から、私の感じた違和感は間違いではなかった

何かを守ろうとする、守りたいとした必死な行動と表情…それをあっけなく倒してしまったことへの罪悪感というべきだろうか、知らなかったとは言え…徹也と付き合ってるせいで、やや洞察力と観察力が鍛えられたか

ふざけた外人どもを、尋問から拷問に切り替えて真相を吐かせたことで、ほとんど真実である確証は得れた

だが、特務機動隊という組織では須田莉々を助けることは出来ないという現実も予想出来ていた

須田良輔と外人二名が本当の事を言っているのか?

仮に人質がいたとして、既に殺害されているのでは?

不確定要素、懸念される事態がある上に、組織で救出作戦で動かすにも脅威性が不明なだけに危険性が極めて高く、人質救出出来る可能性が不明確で確実性がない

そして、準備するにもあまりにも時間も少ない


「あんな顔をされちゃ、放ってはおけないわよね…」


最悪、単独で救出する手もあるが…確実に命令違反の処罰か始末されるであろう


「こういう時なら、徹也をアテにしたいけど…」


一応、徹也は表の世界の人間

そんな彼の力や知恵を借りるのはダメだと思う

しかし、私一人の知恵でどうにもならない

特務機動隊以外の人間で、この状況を打開出来る案を出せる人間なんて………徹也並みの思考能力や洞察力、会話術に長けた人間……


「いや、一人だけいた!」



〈なるほどなるほど、それで私に相談したわけね加奈ちゃん。嬉しいわね〉

「ええ、華さんなら私の事情を知っているなら、今更巻き込んでも問題ないかなって」

〈私一応、表稼業の人間なんだけどなー…まあ、貴方達のスパイ活動に協力していたから今更と言えば今更ね〉


徹也の母親であり、鷹の再臨計画の協力者だった山岡華に、ダイヤルを回した


〈事情はわかったわ、大人としては加奈ちゃんには危険な目に遭ってもらいたくないというのあるけど…信用したいという気持ちも揺れ動くわね〉

「やっぱり、華さんも大人の判断をするんですね」

〈須田莉々を見捨てるという、無難な判断。小柳さんも辛い立場ね、そういう事態なら尚更放っておけないタイプなのに〉

「案外お人好しですからね、小柳父さんは…」


合理的かつ、確実に役割を演じるが

その実、工作員に真っ当な人生の道を用意したり、説いたりするぐらいにはお人好しなのだ


「だけど、特務機動隊としての指揮官として演じてる以上、合理的な判断を下すと思いますけどね。それがあの人の立場なんですから」

〈そうね、だからこその今回はイレギュラーである彼を入れているんじゃないかしら?〉

「彼?…もしかして神也の事ですか?」

〈もしもの時、彼の存在を使うことも考慮していたんじゃないかしら?特務機動隊という組織外の人間、そしてアルカディア機関として価値のある彼を〉

「どういうことです?」

〈組織として動かせない事態が起きた場合に彼の立場を利用する、私ならそれを考えるわね。徹也から彼の人なりは大体わかってる、彼も見捨てるという選択肢は不本意だと思う〉


流石に、ここまで話せば企みがわかった


「なるほど、神也を主犯で動かせばお咎めは低くなるか…最低戦力は確保も出来る」

〈彼に脅されたとか、脅迫されて協力させられたという形なら、小柳さんも咎められないでしょうね…ただ、小柳さんから言質を取る必要と、こちらの思惑を悟らせてもらうしかないわね〉


それならなんとなる…だが問題はそれだけじゃない


「確実に特務機動隊を敵に回すことになるか…厄介なのはリィンね、電子戦で制御されたら終わりね」


電子戦のエキスパートであるリィン相手では、ヴァルキリを封じられる可能性が高いし、それどころかありとあらゆる電子機器で制圧される

少なくとも、ヴァルキリが無ければヴィシュヌという組織とマトモにはやり合えない


〈電子戦ね…加奈ちゃん、確か徹也からUSBを預かっているでしょ?〉

「徹也から聞いていたんですか?」


徹也から預かっていたというより、私がお守り代わりに徹也に要求して、渡したのが彼の認識用のUSBメモリーだ


〈実のこと言うとね…徹也に頼まれていたのよ。『いざという時、加奈は必ず母さんに頼るから伝えてくれ』ってね、流石私の息子ね〉


アイツはどこまで予測していたんだ…神也は数秒先未来を視るが、徹也は将来的な未来を予測しているというべきか…やはり兄弟ということなのか

懐のポケットから、お守り、そして決意として預かった徹也のUSBメモリーを出す


「でも、このUSBがなにになるんですか?」

〈そうね…徹也のUSBって少し特殊なのよね〉

「特殊って…まあ、普通に使う認証用USBメモリーとしては大きい気はしますが」


そう、徹也のUSBは従来品よりひとまわり大きいのだ、ただそこまで不思議に思ったことはなかったが


〈それ、記憶容量ってテラサイズなのよ〉

「え?このUSBそんな容量あるんですか?」


認証用かつ、競技用の走行セッティングパターンデータ等入っていも4G~32GBクラスで十分なのだが、これは明らかに過剰容量すぎる


「一体なんでこんなもの使っているのかしらアイツ?」

〈そうね…それを話す前にアイちゃんの話をするべきかしらね?加奈ちゃんは電子戦に不安があるんだろうけど…あなたは既に最強のカードを知らずに得ているのよ?〉

「…どういうことです?」

〈AIアイちゃんは知っていると思うけど、ただのAIユニットではない…いや、AIとしても規格外すぎる性能と存在…私もあまり詳しくことはわからないけど、あの子が本気になれば人類ぐらい殲滅出来るかもって…〉

「…つまり、何が言いたいですか?」

〈冗談に聞こえたかしら?まあいっか…AIアイはストレージやAIユニットの機材に存在しているわけじゃないって事、彼女は常に電子の海…インターネットのクラウトサーバーに存在している〉

「あ、それなら…」


一応、徹也から聞いている…AIアイはYガレージのサーバーに繋いで同期しているという話なら


〈彼女は常に学習して機能を拡張している…ありとあらゆるサーバーやネットに進入してね…彼女にかかれば電子機器のハックなんてお手の物よ、それは携帯端末のような小さいものにもね。加奈ちゃんが徹也の電話番号を登録した時点で、AIアイはアナタを見ている…この会話もね?〉

「まさか…!?」


驚きというより、背筋が凍るような寒気が感じた


〈お母様。それを暴露しまいますか?加奈様がドン引きするじゃないですか?〉

「うわぁぁぁ!!??」


華さんの電話に、AIアイが割り込んでくる


〈アイ、事情は私より理解しているわね?〉

〈大丈夫です、ここからは私が加奈様の力になりましょう〉



華さんが後の事をアイに任せ、電話から退出する


「まさか、アイ…アナタがここで出てくるなんて…心臓に悪いわよ?」

〈まあまあ加奈様、プライバシーな事までは覗き見する気はありませんがね…今は私の力が必要なんですね?〉

「アイ、アナタの性能で特務機動隊のハイテク装備類を制圧することは?」

〈可能ですが、流石にネット経由でのハックは難しいですね、試みたところプロテクトが流石に厳しいですねが…物理的なデータを送れる方法があれば出来ます…まあ、その為のそのUSBですがね…それには私のデータが一部入っております、ネットワークに繋げられる機材のどこかに指していたたければ、そこから侵入します〉


思った以上におっかない代物を預かっていた、つまりこのUSB大半の容量はAIアイのデータということである


〈神也様にも我々の意図を知らせる必要はありますが〉

「ネットワーク環境に繋げられる機材か…神也のヴャルキリからは?私達のヴャルキリにはネットワーク環境に繋げられる装置は付いているけど、神也のGT-Rヴャルキリは特務機動隊とは別管轄の存在」

〈確かにヴャルキリのAIユニットなら私をフルで扱えるだけのスペックがありますね…悟られずに私を侵入させれるには丁度いいですね…私のデータを入れるには時間がかかりますが〉

「3時間しかないわよ?」

〈1時間下さい、その間に彼のヴァルキリーを乗っとります。加奈様は何とかしてでも小柳様から言質を取ってください〉

「任せて……」


ここまでノリノリに乗ってくるのは助かるが、疑問はある


「ねえ、アイ…どうして私に力を貸してくれるのかしら?アナタなら何が正しいのかというのわかるでしょ?」

〈”間違ってはいる”という判断なら出来ますが、”正しい”、”正しくない”という話であれば個人の主観か立場によって変わりますから何とも言えませんが…加奈様、私はあのマスターから生まれたような存在ですよ?マスターならどういう判断をするのか、わかるんじゃないんですか?マスターなら絶対に救えるべき存在を救います…それは加奈様が一番わかっていることじゃないんですか?〉


徹也に告白された時を思い出す

徹也も同じ選択をするという確信が、アイの言葉で思い出される


「…GT-RヴャルキリにアナタのUSBを差し込むわ、あとは頼むわよアイ」

〈お任せください〉

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