ACT.83 出動
待機から、さらに数日後
ついに事態が動き始めたことで、会議室に招集される
「30分前に、トラップを仕掛けた車両が盗み出され、移動を開始。周囲の監視カメラで確認したところ、手口は電子機器を利用してセキュリティー及び、車を起動させた模様。10分後に、ある所定の位置で数分程止まってから再び移動を開始。おそらくナンバープレートを変えていたんだ思われます。現在犯人は東北道を北上、A県方面に向かっている思われます。ちなみに車両は青のインプレッサ」
「ここからA県まで、2時間か…リィン、抑えれるポイントはあるか?」
「はい、隊長。ポイントは2箇所、途中のジャンクションで2つの方面に分岐します。今から我々が迎う頃にには、盗難車両はどちらかには分岐しているはずです。どちらかの方面の市街地に降ろし追い込みます」
ポイントの一般道までは通常法定速度なら、1時間
ヴァルキリで制限速度を無視すれば数十分で追いつけるのだが
「リィン、なんでわざわざそんな回りくどい作戦を?高速道路上で確保してしまえば…」
「そういう訳にはいかないのよね島田君…これを見て、盗難車両が通った経路の監視カメラの静止画だけど」
インプレッサの後ろに、ピッタリと銀色のセダン車が付いていた
「…なるほど、仲間の可能性が高いか…2台を分断する訳かリィン?」
「そうよ島田君、隊長と島田君はこの銀のセダンを高速道路上で確保。インプレッサは私と加奈、そして神也で確保」
「高速走行に長けた2台と、一般道走行に長けた3台で分けるか…いいだろ、その案で行こうリィン」
風間隊長はリィンの作戦案に賛同し、他のメンバーも静かに頷く
「全員直ちに出動だ、ヴァルキリに乗り込み、犯人達を追うぞ!加奈、神也、分断後の指示はリィンに従え。頼むぞ」
隊長から出動の命を出されると、全員それぞれのヴャルキリに登場し、起動させる
〈ヴャルキリ、アルストリア起動…任務受託〉
「説明しなくてもわかってるいるようね、アルストリア」
〈あの会議の会話は我々AIも聞いています、そして情報共有して理解しています〉
「OK、頼んだわよアルストリア」
〈了解、走行アシストプログラム開始。リィン機とのデータリンク、各所への干渉開始〉
超法規的活動が許されている特務機動隊は、行政各所に秘密裏に干渉、命令が出来る
一般道、高速道路を制限速度を無視して走行可能にする為に、交通機関を制限、封鎖させたり、意図的に麻痺させる状況も作り出せる
電子機器が標準装備化している現代の一般車両にも、音声警告などで、ある程度の干渉が出来る為に、車線を空けさせる行動を誘導することができ、ヴャルキリはホログラムによる偽装を可能な為、緊急車両を装って走ることも出来る
犯人に悟られることもなく、現場へ追いつくことが可能なのである
ちなみにというか、年齢的に当然だが、私と神也は自動車運転免許証はないが、特務機動隊の任務中であれば公道で活動、走行することを許されている
まあ、そうじゃないと、呼ばれないわけだが
市民会館から出撃した5台のヴァルキリーは後ろに並び、高速道路に入る
ヴャルキリの形態を変形させ、直線を時速300㎞/h台で巡行する
C-HRのリィン機を先頭に並ぶヴャルキリは、センサーから前方にいる車両を感知し、事前に自動で避けるながら現場へ向かう
ホログラムによる偽装している為、傍から見れば、パトカーが物凄い速度で走っていると思われているだろうか
そしてターゲット車両まで、数キロまで接近すると、ホログラムを一般車両に偽装し、5台は2車線にばらけて一般車両に紛れ込むように接近する
特務機動隊と、窃盗犯のカーチェイスが始まろうとしていた