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走劇のオッドアイ  作者: かさ
ダークサイドシナリオ編 特務機動隊、自動車窃盗団を壊滅せよ
88/121

ACT.81 戦いの天使の名で呼ばれるマシン

特務機動隊は、自動車に関連する犯罪、犯罪者を相手にする性質上、自動車等の機動力を持つマシンを使う必要性が想定され、追跡及び制圧を目的とした特殊な車両を使う

警察などの治安維持の組織で対処しきれない相手故に、高い機動力、制圧する為の装備を持ち、戦闘力備え、そして隠密的に活動可能なマシン

それは"地を駆ける戦闘機" "可変機構車" "ヴァリブルヴァーゲン"。略称はヴャルキリと呼ばれる特務機動隊、アルカディア機関が保有する一種の特殊車両である

一見はただの市販車と変わらないが、アルカディア機関の独自技術を詰め込んだマシン故に、市販車とは中身がまるっきり異なる

高速走行時、緊急時になればレースマシンのような形態に変形する、可変機構とはそういう意味合いであり、多数の電子機器や機能と兵装を装備している


・ありあらゆるレーダーやセンサー、カメラに映らない

・他の車種に見える、ホログラム偽装

・攻撃手段として前後にワイヤーショット、多種多彩なグレネード弾が発射可能

・高速走行モードの可変機構、空力ファンなど車体を押し込んで大幅にダウンフォース増やす機能等

・外装には、ナノマシン装甲を採用している


マシンによるが最高時速は300〜500㎞/h、加速性能、コーナリング性能において、レースの最高峰のF1マシンすら凌駕し、汎用性も高く、あらゆる道路状況に対応可能である

戦闘力においては、自衛隊が保有する最新戦車相手でも勝てる程のスペックと、砲撃に数発程度に耐えきれる防御力を備えている

それ以外に状況に応じて装備や仕様を変えることがあり、上げだしたらキリがない

表に流通していない、独自のハイテク技術を盛り込んだヴャルキリ。私たちにとっては頼りなるマシンなのだが、たかがか、自動車犯罪者にそこまで必要なのかという疑問もありそうだが、恐ろしい話、過去に何度もヴャルキリを大破、破壊まで追い込んだ者もいるのだから、決してヴャルキリは絶対的に優位ではない

人が作り出したものを、人が壊せないわけがない

人の叡智を持って、人と共に戦い、人の悪行と悪意、人の業に、モータリゼーションの社会に潜む悪魔と戦う機械

地を駆ける戦いの天使の名を持つマシン

それがヴァルキリだ



市民会館地下

会議室のさらに地下に位置する場所にて、ヴァルキリのメンテナンス、セッティングが行われていた


「スバルWRXのSTIか…スバルの現行フラッグシップスポーツをヴャルキリにしたわけか」

「今回初投入される新作だ、嬢ちゃんが乗ることを前提に合わせて制作させてもらったよ」


サングラスをかけている立花さんの表情は分かりづらいが、ニッコリ微笑んでいるのはわかる


「もしかして、立花さんの直々で作ったの?それなら、なおさら使いこなさないとね」

「嬢ちゃんなら使いこなせるさ…じゃあ、他の連中の様子も見るとするか」


立花さんは私から離れると、さっきの仏のような態度はどこに行ったのか、他のメカニックや島田さんに怒鳴っていた


「しかし、まあ…いつ見てもすごい数のモニターとコントロールパネルが多いことで」


複数の装備や制御を行う必要がある為か、レースカー顔負けのインパネとモニターが多数装備されている。最もドライバーは緊急時か必要があったとき以外は触ることはない、ほとんど音声操作で行う

エンジンをかけ、ヴャルキリを起動させる。フラット4エンジンのボクサーサウンドではなく、ヴャルキリ特有の独特なエンジン音が轟く

エンジンがかかったことで、各モニターが作動し、ヴャルキリに搭載されてるAIが立ち上がる


〈ヴャルキリの機関起動の確認、私はAIアルストリア。搭乗員の生体認証を確認〉


運転席側のダッシュボード右側に、取りつけてある球体モノアイカメラが私を見る。ヴャルキリに搭載されてるAIユニット本体がこの球体モノアイである


〈生体認証確認完了。アルカディア機関、工作員の81番(エイトワン)であることを認めます。ようこそ81番〉


久々にその名前で呼ばれたような気がする


「アルストリア、私の事は小柳加奈。加奈って呼んで頂戴。そっちのほうがしっくりくるから」

〈アナタの登録されている名前は81番、何故自分の本来の名前以外で呼ばれたいのか理解不能〉


AIアイとは異なり、アルストリアはお堅いAIなようだ。いや、アイが異常なだけか。あそこまで受け答えと意志疎通が可能なAIは世界中探してもアレしかいない。普段からそういうAIとやり取りしてきたのか、本来のAIユニットのギャップを感じてしまう


〈登録名を81番から、小柳加奈に変更します〉

「頼むわね、アルストリア。早速このWRXの仕様を教えてもらえない?」

〈本車両に搭載されているのは、偽装ホログラム、ワイヤーショット、3連グレネードショット両リアサイドに装備、スモークグレネード弾が実装、高速形態のチェイサーモードの変形機能。市街地での追跡戦を前提に設計、装備されております〉

「走行スペックは?」

〈500PS、ノーマル時は最高時速280km/h、チェイスモードは700PSで最高時速350km/h程〉


市街地戦を想定しているだけはあって最高速とパワーは控えめであるようだ

車体と足回りの出来は実際に走ってみないとわからないが、どこかでテスト走行する訳にはいかないだろうし…


「どう?加奈、WRXとアルストリアとは上手くやっていけそうかしら?」

「どうかしら?アルストリアは堅物過ぎやしないかしらリィン?」


リィンは、自分ヴァルキリのセッティングが終わったのか、こちらの様子を見に来たようだ


「まあ、この子はまだ作られたばかりだからね。そこは上手くやって頂戴。大体、話に聞くAIアイだっけ?にわかに信じられないのよ、人間のような思考や性格を持ち、勝手に判断したりとか…」

「非合理かしら?」

「プログラマーとしてはね」


リィン・リン、特務機動隊の電子戦のエキスパートかつプログラム設計制作、ヴァルキリのメカニックも出来る才女

ヴァルキリに搭載しているAIユニットは全て彼女が作ったものである

そして、私の相談相手でもある

一年前から、結衣の監視で榛奈高校に通うようになってからも、定期的に相談に乗ってもらっていた。日常生活や流行りとか、どういう風に振舞えばいいのか、好きな人の話とか…私にとってはお姉さんのような人である


「小柳加奈、加奈か…81番と呼ぶよりいいわね。それに、しばらく見ない内に、綺麗になったというか、女として魅力的になったわね」

「そう?それはうれしいけどね」

「やっぱり、彼氏がいるからかしら?」


無論、リィンには徹也の事も話している。あの告白された日の内容も


「いいわよね加奈、直接的にハッキリと言葉と行動で言ってくれる彼がいて」

「島田さんとは上手くいっていないんですが?」


リィンと島田さんは、お互いに好意を持っているのだが


「そ、そうね…いや、なんというか…」


なんかこのいまいちハッキリしない関係性をどこかで見たことあったような、奈緒と阿部と似たような関係なのだ、リィンと島田さんは

アンタら大人なんだから…


「うーん…」

「?どうしたのよリィン、急に私をジロジロ見て」

「いや、ツインテールも似合うし、可愛いと思うけどね…特務機動隊としたら、ちょっと大人な感じでもいいんじゃないかしら?ちょっと髪いじるわよ?」


嫌と言わせずに私の髪を弄りだすリィン。ツインテールで纏めていた髪をほどき、後ろに髪を纏めなおす


「…おお?いいじゃない、大人っぽくて、色っぽいわよ加奈」


手鏡で、私の姿を見せるリィン。アップスタイルに後ろ髪を纏めたことで、自分で思うのもあれだが、確かに雰囲気は大人っぽい


「んんん?ありゃ?加奈なのか?」


こちらに用事でもあったのか、こちらに声をかけようとして困惑している神也


「どうよ神也君?加奈のこの髪型?」

「え?あ、うん…凄く似合う…」


らしからぬ反応をして意外だった。神也もこういう反応をするんだなって


「これなら、彼氏の徹也君もいい反応するんじゃない?」

「どうかしら?アイツは可愛い系のほうがいい反応するだろうし」

「……え?ちょっと待て、リィンさんいまなんて?」


さっきのしおらしい反応はどこ行ったのか、鳩が豆鉄砲を食らったような表情しだす神也


「いや、加奈の彼氏の徹也君、アナタのお兄さんもいい反応するんじゃないかなって?」

「え?彼氏?え?兄さんと加奈って?」

「そうね、徹也とは将来を約束しあった仲よ?」


私の口から、ハッキリと交際していることを神也に言い放つ

そして、失神して彼は倒れこんでしまう


「「し、神也ぁぁぁ!?!?!?」」


この時に初めて知った。神也は私に好意を持っていた事実

だが、自分より先に徹也と付き合っていた事実にショックを受けたのか、燃え尽きたように

徹也や結衣、どうにも私は彼らの同じ遺伝子を持つ者と惹かれ合っていることを考えれば、神也も私に好意を抱いていもあり得る話だった


ちなみに意識を取り戻した後に、神也曰く


「兄さんなら仕方ない」


とのこと




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