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走劇のオッドアイ  作者: かさ
ダークサイドシナリオ編 特務機動隊、自動車窃盗団を壊滅せよ
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ACT.80 隊員達

I県 特務機動隊活動拠点

アルカディア機関が有する特務機動隊の活動拠点は全国各地に秘密裏にいくつかある。大体が何処のホテルや企業のビル、公共施設の地下にある。

I県の活動拠点は市民ホールの地下、当然関係者以外は入ることは不可能である

アルカディア機関の関係者や工作員が、公的機関、企業、政府に至るところに潜り込んで、建物の建設時に活動拠点を作るように仕向けているという話を聞いたことがある

アルカディア機関はそれだけ強力な組織であるのだ


特務機動隊活動拠点 会議室


「要請により本日から小柳加奈、白柳神也両二名、特務機動隊に配属になります。よろしくお願いします」


会議室を通され、既に集まっていた隊員達に自己紹介される

集まっている隊員は私と神也含め7名


「よく来てくれたな、私がここの特務機動隊の隊長を務めている、風間速人(かざまはやと)だ」


小柳父さんよりもガタイが良く、いかにも頼りになる風貌。そして風間速人という人物は、面識はなくともSGTに参加してる者なら誰でも知る人物である


「光栄ですよ。第一回SGTのチャンピオンに会えるとは、噂には聞いていましたが、本当に特務機動隊に一員だとは」

「昔の話だ、白柳神也。君の方がドライブテクは上だろ?」


最初に行われたSGTの初代チャンプドライバー風間速人、それが時を過ぎてアルカディア機関の特務機動隊に所属し、率いているのだ

私と神也、隊長の風間速人以外のこの場にいるメンバーは、私にも面識がある人物ばかりだった


電子戦の得意な黒髪の中華系の美人 リィン・リン

元白バイ隊員のサングラスをかけた強面の大男 島田三郎(しまださぶろう)

マシンのメカニックの長、通称、親方 立花文雄(たちばなふみお)

そしての親方の弟子のようなメカニック 柴田勝野(しばたかつの)



「主要メンバーが揃いましたので、作戦を説明します」


リィンがスクリーンの横に立って、作戦会議が始まる


「まず今回の事件について、三ヶ月ほど前からこの地域と隣県にて車両盗難が多発し、そして実行犯の容疑者が何者かによって殺害。警察上層部は我々特務機動隊に協力要請されました」

「警察が我々に協力要請するには、随分早い気がするな?いつもなら収拾がつかないような事態になる頃に、すがるような形で協力を頼むのに」


島田の言い方にやや悪意があるが、その通りである。警察も滅多なことでは協力を頼まないし、頼むにしても、今回の事件の内容を聞いても、今回はあまりにも特務機動隊への要請が早急すぎる気はしていた


「今回は盗難というより、盗難実行犯の殺害方法が原因でしょうね。スクリーンを」


スクリーンに凄惨な殺害現場画像が表示される、凄惨な殺害現場。さすが慣れているのか、誰一人目を背けることなく画像を注視する


「この通り、窃盗犯達は腹部に大穴を開けられて絶命しています。それも銃火器などの凶器を使った形跡もなく、ほぼ一撃で・・・解剖や鑑識でもどのような手段を使えばこんなことが出来るのが不明であり、そして驚異的な殺人犯である可能性が考えられたからでしょうね、人ならざる者というべきでしょうか」

「リィン、お前は見解と推測はどうだ?」


隊長の問いに対し、少し考え込むリィン


「そうですね・・・鑑識からもらったデータやこの現場で考えるありとあらゆる可能性を模索しましたが、非常に馬鹿らしい見解ですが、非常に恐ろしい怪力を持った人間が腹部を殴ったとしか」

「お前がそんなことを言うとは・・・だが、当たらずとも遠からずかもな。もしそういうことが可能な人間だった場合、この場対処できるとしたら。工作員としての訓練を受けている加奈と神也の2名だろう」


特務機動隊のメンバーは、元自衛官や元警察官等の公的機関出身の者や、民間からスカウトされた者やアルカディア機関の工作員で構成されているが、戦闘力だけなら、工作員が圧倒的に強い

神也以外なら、この場にいる人間全員無力化することは可能ではある

小柳父さんも言っていたが、その為に私たちはここに招集されたのだ。驚異的な力を持つ可能性がある殺人犯に対しての対抗手段として


「とは言え、脅威が不明な殺人犯との対峙は一番最悪なケースです。私達の役目は窃盗犯の確保、これを第一目標とします」

「それで、どうやって確保を?」

「これを見て、彼らが窃盗している車両の傾向よ加奈」


スクリーンに映し出された車両はインプレッサやスカイラインGT-R、S2000、シビック、インテグラ等のスポーツモデルばっかりだ


「見事にスポーツモデルばっかりね。でも、この車種って盗難されることが多いんじゃ?」

「いや、これらの盗難の割合がここの近県地域に集中しすぎているの。そして殺害された窃盗犯も前日これらを盗んでいる。いくら人気車種でもスポーツモデルばっかりというのは不自然なのよ」

「ランクル系やプリウス、クラウンの盗難ワースト勢のトヨタ系列ではなく、スポーツモデルのみを狙った窃盗団ということですかリィンさん?」

「データを参照すれば、そう考えるしかないわね神也。スポーツモデルを狙うならそれにトラップを仕掛ける」


リィンはニヤリと微笑み、スクリーンに地図を表示し、所々に赤点が点滅している


「被害多発エリアに数台、私達が買い取ったスポーツモデルの車を用意し、発信機を取り付けてあるわ。盗難犯が盗み出し、彼らが搬送中に確保する」

「搬送中に?盗み出す前に確保すればいいんじゃ?」

「いや、それだとダメなのよ加奈。万が一、他の仲間や買取先に連絡とかされてしまう恐れがある。そうなったら足取りが掴みめなくなる可能性がある。通信妨害で連絡手段を断ち切る手もあるけど、それを容易に準備出来ないからね。一定エリアに誘い込む必要がある」

「なら、いっそうのこと買取先に持って行かせれば?そうすれば窃盗団のアジトを突き止めれるんじゃ?」

「それだと、窃盗犯が用済みで殺される可能性があるからね。犯罪者とは言え、可能な限りで人命を守れるのはこの作戦がベストなの」

「窃盗犯をこちらで確保して、アジトと組織を吐かせて、後の手柄と始末は警察連中がする・・・上層部が考えそうなことだな」


リィンはあえて言わなかったことを、島田さんは皮肉を込めて言い放つ


「島田君、いくらあなたが警察という組織を嫌っても、私情を挟んで言うのは良くないわ」

「わかっているさ、手柄や誰かにチラホラされたいが為に特務機動隊にいるわけじゃない」


特務機動隊にいる人間は、自動車等の機械、自動車社会に運命を狂わされた者、それに携わって裏切られた者・・・そのような仕打ちを受けた者は少なくない

島田三郎はその両方である、運命を狂わされ、所属し、信じていた正義に裏切られた経緯を持つ。彼が警察という組織を快く思っていないが故に、そういう言葉を言ってしまう


「今回の我々の役目はあくまでも窃盗犯の確保だ。それ以上のことは警察組織や政府まかせることにしている。特務機動隊は超法規的活動を容認されているが故に、表立って事件を解決することや、目立った行動は極力抑えなければならない。神也、加奈、それは肝に銘じておけ」


風間隊長は釘を指すように、私と神也に言う


「車で逃走する窃盗犯を確保するということが予想される為、可変機構車(ヴァリブルウァーゲン)の使用を認められてる。ここからは立花さん、いいですか?」

「あい、わかった。よっこらせっと」


歳のせいか、年寄りな立ち上がりをする立花の親父さん


「今回はこちらは4台、そして1台持ち込み含め全5台の可変機構車(ヴァリブルウァーゲン)・・・ヴァルキリを用意した。隊長はレクサスLC、島田はクラウン、高速走行担当だ。リィンは電子戦特化のC–HR、市街地走行担当、小柳加奈はWRX、そして白柳神也は、持ち込んできた自前のGT–Rだ」

「自前?持ち込み?神也、どういうことよ?」

「僕と白柳教授で制作したヴァルキリだよ。実戦投入は初だけど、他のヴァルキリと遜色のない性能だよ」


可変機構車ヴァリブルウァーゲン、略称ヴャルキリ。これについて話せば長くなるが、特務機動隊が使用する車両であり、見た目・・・というより一見は一般の市販車と変わりないように見えるが、高速走行やハードな走行をする形体に変形するマシン。それがヴャルキリであり、ありとあらゆる最先端かつ、独自の技術やつぎ込んでいる。それを作ったというのか、この白柳神也は


「AIとか電子系は、オレはエキスパートではないが、坊主の作ったヴャルキリはいいマシンだ。オレが保証するよ」


厳格な性格かつ、滅多に人を褒めることが少ない立花さんが、素直に認めるマシンとは・・・お墨付きのようなものだ


「リィンが仕掛けた車が盗難され、そして窃盗犯の動き次第で作戦を決める。各自担当ヴャルキリのセットアップ後は待機だ。おそらく長丁場になると思え、以上!解散!」

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