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走劇のオッドアイ  作者: かさ
ダークサイドシナリオ編 特務機動隊、自動車窃盗団を壊滅せよ
85/121

ACT.78 必ずここに戻ってくるという決意

自動車部校内部室

放課後、テスト期間で1週間部活休止の筈なのだが、自動車部全員招集されていた

奈緒、多田、杏奈先輩が正座でかしこまった様子で座らせられて、その目の前に徹也が仁王立ちして3人の前に立つ


「さて、ここから今日から部活動は休止だが・・・そこの3人、なんで正座させられているかはわかっているな?」

「い、いやー何のことだがさっぱり・・・ねえ多田?」

「ああ、全くですよね杏奈先輩」

「そうね、というか先輩を正座させるなんてねぇ?」


3人ともどこか棒読みで言う、絶対心当たりあるだろ。3人の反応の流石の徹也も額に青筋立てていた

そして息を大きく吸い


「お前ら3人の成績がボロボロだからだ!!理系と数学はメカニックだけはあって平均より上だけど、他がボロボロじゃねーか!!杏奈先輩とか古典の小テスト一桁台って・・・」

「どこから私の小テストを!?」

「各教科の先生に頼み込んで自動車部全員の小テストとかの成績を教えてもらったんですよ。無論自動車部全員ですがね。まあ、特に3人が酷い!学力が全てとは言わねーが、バカじゃ車は扱えん!」


クラスも学年も違う各教科の教師に教えてもらったのは、徹也の会話術と交渉術の口の上手さだろう

ここまで強く罵倒する徹也は珍しい、いつも冷静かつ説得力のある言葉が使うのだが・・・まあ、バカでは車を扱えないのはごもっともなのだが


「そんな訳で、自動車部全員でこのテスト期間勉強会をすることにした。3人以外にも成績が怪しいのが数名いるからな、なあ石井に佐藤?」


名指しで呼ばれた2人は体をビクついて反応していた


「千歳!アンタも似たような成績だったのになんで一際いい点数取ってんのよ!!」

「い、いや楓!そ、そう言われても!?」


千歳に食ってかかる楓、裏切り者と言いたいのかお前は


「そりゃ、徹也とミーティングやらレポート提出してるからでしょ楓。ドライバーチームは練習後にそれをやっているから、特に自分で考えるようにさせているから否応なし学力に影響してるんじゃないのかしら?」

「メカニックチームにもやらせるべきだったか」


ドライバーチームの練習の基本的な流れは

基礎体力トレーニング、走行テスト、模擬1on1方式の練習の体を使って練習するものから、各ドライバーが話し合うミーティングとその日のレポート記入を徹也が部長になってから取り入れている

特にミーティングやレポートは自分で考えて発言、文字にする、それだけでも学力向上に影響を及ぼしているのだろう


「顧問としては賛成ね、学生の本分は学業だし、今の電子系やナノマシンのハイテク技術が盛り込んだ自動車はバカでは扱いきれない」

「上村先生までそこまで言います!?」

「とりあえず杏奈は赤点だけはなんとかしないと」


かくして、自動車部総出で勉強会が開かれるのであった。後に、というか結果的に私以外の成績が4割上昇したのは語ることはないが


「ところで徹也の小テストの成績はどうなのよ?私達だか正座で罵倒されるはズルいわよ!」

「そうだ!そうだ!」


再び溜息をつきながら、鞄から各教科の採点された小テストを見せる徹也。3人とも眼を丸くして唖然とする、他数名も徹也の小テストの点数を見る


「ほとんど90点台と80点台・・・数学と歴史に至っては100点叩き出してる。すごいお兄ちゃん」

「えーと、ごめんなさい徹也」

「わかればいいんですよ杏奈先輩」


勉強会終了後、アパートに戻り直ちに装備を整えてから徹也の部屋に行った。あの部屋に行く必要性もあったからだ

アパート 徹也の部屋


「・・・ほぉ?男装の黒いスーツ姿も似合うもんだな加奈。それがアルカディア機関の工作員としての制服ってやつか?」

「まあね、この服装自体にもいろいろと機能が付いてんのよ」


徹也には粗方の事情は話していた。私をこういう立場に追いやった彼には伝える義務があるのもちろんだ


「しかしまあ、案外速かったな。工作員としての小柳加奈が要請されるのは」

「聞いた通り、ただの自動車窃盗団じゃないからね。超法的活動が容認されている特務機動隊の私達が使われるのも理になってる」

「下手すれば命を落とす可能性があるか・・・その割には、そんな感じに見えないな?なんというか、死地に赴くのに自信に溢れているというか」

「まあね、自分の力強さの自信があるにはあるけど、アルカディア機関のバックアップと装備があればね?ちょっと携帯端末のカメラで私に向けてみなさいよ?」

「?わかった」


言われたとおりに徹也は携帯端末のカメラを私に向けると、最初はよくわかっていないようだったが、だんだん驚き納得する


「こりゃ、お前がカメラに写っていない」

「私が身に着けているスーツと装備には、カメラや赤外線やソナーと言った最新のレーダー、専用の衛星GPSじゃなければ私達の姿を視ることが出来ないのよ」

「つまり証拠が残らないということか、どうりで噂だけの存在な訳か特務機動隊は」

「証拠が残らないのは警察や政府にも隠蔽工作しているのもあるけどね。これは装備の一つに過ぎないし」

「現在流通してる技術より、遥かに上のハイテク技術力がアルカディア機関の工作員と特務機動隊の武器という訳か」

「そういうことよ。そうだアンタの部屋に来たのは忘れ物を取りに来たのよ」


徹也の部屋の隅の床を浮かせて、剥がし、銀のトランクケースを取り出す。中に入っているモノをショルダーホルスターに入れる


「おいおい、なんて物騒なモノがこの部屋にあるんだよ!?」

「去年まで空き部屋だったでしょ?私の武器を置いてたのよ。いざどういう時の為もあるけど」

「まさか自分の住んでる部屋にハンドガンとか大型ナイフが置いてあったとは・・・」


45口径の大型自動拳銃と、スタンガンの機能があるスタンナイフ、それに予備のマガジンがトランクの中に入れていた

一年前にこのアパートに来た時に、奈緒や結衣が遊びに来た時とかに自分の部屋に置いておくと不都合な可能性があった為に現在の徹也の部屋に武器を隠していたのだ。現在徹也が住んでそのままにしているのは、そこまで回収は難しくないのと、私以外じゃ扱えないような細工もしてあった為だ


「こう見ると、本当にスパイものの物語の主人公みたいだな加奈」

「まあ、こんな物騒なものはなるべく使いたくないけど。使い慣れてると安易に人を殺めることが出来るからね。とは言え、撃つときは躊躇なく撃つけど」

「手慣れてるな・・・しかし、オレもそういうスパイみたいな業種とは関わったことがなかったからアレなんだが、やっぱアルカディア機関の人間は凄いな、よく非日常の裏世界に居ながら、日常の表世界に馴染むもんだ。人を視る目には自信があったんだがな・・・」

「そういう訓練をしていたからね。私たちの役目というより、スパイというのは表世界に違和感なく溶け込むことが大事だから。もっともアンタ相手だとヒヤヒヤしたけど」


徹也は私と初対面の時から違和感は少なからず感じていたらしいが、アルカディア機関の工作員という想像以上の正体、信じられない存在故に見抜けなかったのだろう。私もそう思ったから積極的に接していたのだ

装備を整え、徹也の部屋に置いてあった武器を回収、そしてここからが本題だ


「さて、徹也。私はこれから死地に赴くわけだけどね」

「この現代でそんなセリフを聞けるとはな」

「まあまあ聞きなさい。アンタの愛しい愛しい人がそんなところに行くわけよ」

「うん、そうだな」

「将来を約束しあった愛しい人がね?」

「その話長くなるか?つまりなんだ?」

「なんかお守り的な形見かなんか頂戴」


自分でも少々間抜けな言い方だと思ったのだが、身構えて聞いていた徹也も肩を落とす反応


「いやほら、好きな人の形見のおかげで助かったとか。お守りが銃弾を防いだとかあるじゃない?」

「そんな非現実的なロマンの為にかよ!?」

「半分冗談よ。後で返す為に、持っていきたいのよ」

「返す?・・・なるほど、そういうことか」


言う前に徹也は気づく。どうしてそういうものを欲しがるのか


「必ずここに戻ってくるという決意か?」

「そう、死地に赴くからこそ、必ずここに生きて戻ってくるという理由付けと、決意、覚悟・・・まあそんなところね」

「そうか・・・しかしそんなことを急に言われてもな、うーむ」


徹也は少し悩んで、そしてなにかを閃いたように自分の鞄の中を漁って何かを取り出す


「これならどうだ加奈?」

「これって、アンタの自動車部用の認証用のUSBじゃない?」


徹也が取り出しのは認証用のUSB、自動車部にあるアルトやS660にセッティングパターンも入ってるSGTドライバーの必須かつ、大事なものだ


「まあ、無くなれば困るものだからな」

「これじゃ銃弾は防げないわね」

「おいおいおい壊すなよ?」


冗談交じりでいうが、確かに壊されれば困るものだ。それは同じドライバーだからこそわかる、だからこそこれを渡した徹也の思いがわかる


「・・・ありがとう徹也」

「帰って来いよ加奈、待ってるからな」


徹也に見送られ、任務へ向かう。いざ東北の地へ

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