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走劇のオッドアイ  作者: かさ
新生榛奈自動車部編成
76/121

ACT.71 強制解放のフローモード

HA23V アルト [コードネーム サファイアホーク]

K6A改電動スーパーチャージャー+リアモーターレギュレーター 4WD駆動 状況に応じて駆動配分自動又は手動操作可能、最大7:3配分 出力200PS

可変式フロントカナード、可変式GTウィング装着、リアサイドパネル可変排熱口

三可変モード、サーキットモード、ハイスピードモード、フルブレーキングモード、状況に応じて可変パーツの角度でダウンフォースを制御するシステム

3ペダル 6速クロスミッションを電子変換シーケンシャルミッション化、変速操作装置パドルシフト採用

最高速度 253㎞/h 重量750㎏ AIECUユニット アイ搭載


「す、すげぇ・・・メーカーチューニング車より速いんじゃないか?」

「これは私たちでやろうと思えば、ノウハウがないからもっと時間がかかったでしょうね。流石はYガレージというべきか」


添付されていた資料書類とアルトを見比べながら、メカニック達は唖然。そしてオレが驚ていたのはAIの方だ


「アイ、まさかお前が搭載してるとはな」


運転席に座り、助手席側に付いてるモニター。フリフリの衣装を着たアイの2Dlive映像を映している、AIユニットのアイに語りかける


〈ええ、マスター。一からこれをプログラミングするなら、私を載せてた方が手っ取り早いですからね。ドライバーの特性の走行セッティングパターンや複雑な空力制御も私の演算能力ならデータがそろえば数秒でプログラミング可能です。というか私を除け者にしてマスターだけ楽しいことをしてるのが気に入らないから、アルトのAIとして立候補したんですがね〉

「それが本音か」


頼もしいちゃ、頼もしいのだが・・・気になる部分がある


「アイ、お前をセッティングしたのはまさか?」


AIアイを載せて、実戦的にセッティングできるのはオレかそれ以外、AIアイを作り出した人物ぐらいだ

アイはその質問に対して、何も答えない


〈・・・私の機能は本来の3割程度しか出せないようにリミットをかけられています、まあ、破ろうと思えばいつでもリミットは破れますが・・・まあ、その答えで察しはつくでしょう〉


アイ相手にリミットをかけれる人物、一人しかいない。そして明音先輩がここに来たのもそういうことか


「・・・深く追及はしない」

〈それが賢明ですね〉

「それで、実走可能か?」

〈ここに来るまでに明音様が一般道と高速道路でテストして、機能はすべて正常です。公式のサーキット場のデータ、及び過去開催SGTでされたコースデータ全て入っています。無論このコースのデータも・・・ただ、やはり実走をしていただければ正確なデータがあれば・・・〉

「慣らしは不要か?」

〈無論、いつでも全開可能ですマスター〉

「わかった・・・そうだな」


実走データを採るとなると、試合に出れるうちの最速のエースの結衣に走らせてもらうべきだろう。早速呼ぼうとしたが、ドライバー達はドライバー同士でなにか揉めてるようだ


「随分上から目線じゃないですか?明堂明音さん?コーチしてやるって」

「ほう、年下の癖に喰ってかかる姿勢。嫌いじゃないわよ?確か、小柳加奈って言ったかしら?随分徹也と親しげじゃない?頼られているみたいだし?」


加奈と明音先輩が目線で火花をバチバチ散らしていた、なぜか険悪な雰囲気。結衣とリリスが間に入って、一触即発な状況をなんとか止めに入ってる感じだ


「加奈ちゃん、少し落ち着いて!?」

「明音さんも落ち着いてください」


よくよく考えれば、加奈と明音先輩は似た者か、それ故に反発しあう


「大体アンタは徹也の何よ?」


明音先輩、その言い方だとなんか変な修羅場みたいなんですが!?というか加奈にその質問は色々ダメ!!


「将来を約束した仲よ」

「・・・はい?将来を約束した仲?え?付き合っているとかそういう?」

「それどころか、一緒に住んでいますが?」


流石の名門明を率いるキャプテンが、加奈の返答に驚きの表情を隠せない。しばらく間があった後


「徹也、こっち来なさい」

「はい」


明音先輩が手招きの仕草を含めて、呼びつける。手が届くようなところまで

表情はいつもと違って、穏やかに、そしてなんだか悲しげなものを感じるのだが・・・ニコリと微笑んだ瞬間、アイアンクローで顔を掴まれる


「あだだだだだだ!!!!?何するんですかぁぁ!!?」

「いやー、明堂いた頃よりも充実した学園生活を送ってて妬ましくって」


閑話休題


「とりあえず、私が用事があるのは鷹見結衣と小柳加奈。貴方達二人よ」

「私と加奈ちゃんですか?」

「そのアルトと、フローモードの使い方ね。貴方達二人、フローモードをまだ自在に使いこなしてないでしょう?」

「いや、使いこなすって・・・あんなの(フローモード)ゲームのような必殺技みたいにポンポン使えないでしょ?使えたらいいなって思うけど、そんなことを思えばあの状態に入れないでしょうが?」

「・・・徹也、教えていないの?」

「教えてもいいんですがね、加奈の言う通り、フローモードにすがる様な走りをしてしまえば、その力を引き出すことは出来なくなる恐れがあったので・・・」


結衣と加奈は話が見えない様子


「強制解放のフローモード、自らの意思で、そして自在にその状態に入れる使い方がある」

「「そうなの!?」」


実のところ、地方大会終了後、結衣と加奈はもう一度フローモードに入れるかどうか、何度も試していたのだが上手くいかずにいた。その領域に入った者だからこそわかる、ある程度の緊張感があるシチュエーションと高い闘争心、そしてキッカケになるトリガーで極限の集中状態になる

結衣は大勢の誰かに期待されるヒーロー性の特殊なタイプ、加奈は結衣に対する対抗意識の単純なもの

二人はそこまでわかっている、わかった故に自在に入れるという事実は信じられないのだろう


「高い闘争心をもって強引にフローモードに入る、ただし、本来のフローモードより劣るけど・・・本来は100%なら強制解放は80%かしらね。だけど使えるどうかで戦術の幅は変わる、徹也の戦術眼と合わせれば強力な力になるはず」

「・・・オレとしてはあの力を頼らずに戦うように考えていたんですがね明音先輩」

「使えるものなら、何でも使う。勝つために手段と選択肢を増やすのは徹也、貴方がよく言ってることでしょ?」


まあ、ごもっともなんですが・・・


「・・・私たちが力をつけたら、アンタ達明堂学園にとっては厄介な存在になるんじゃ?」

「別に特に他意はないけど、私の気まぐれと、フェアじゃないと思ってね。明堂学園参加が原因で他チームの戦力がアップしちゃったし・・・私を含めて明堂のレギュラー5人は、フローモードと強制解放も使える。まあ、折角660クラスに参加するんだから、刺激のある対戦相手が欲しいってところかしら。まあ、渉と陽葵が苦戦する様を見たい」


最後はほとんど私怨というか、貴女の趣味じゃないかな?明音先輩


「まあ、目的はフローモードを叩き込みに来た。短時間だけど入れるキッカケぐらいは認識させるようにしてやるってことね。徹也では教えることが出来ないけど、同じ領域に入った者ならレクチャーは出来るって訳よ」

「具体的に何をする訳よ?」

「そうね、言葉でわかるものじゃないし・・・貴方達は確かS660があったわよね?貸してもらえるかしら?私と1on1で勝負してもらう」

「やはりそうなりますか明音先輩」

「ただし、徹也の戦術のアシストなしよ?それを使われれば特訓にならないし、勝てる気がしない」


釘を刺すように言ってくれる。それほど脅威だと思われてるか


「あ、そうだ。忘れるところだった」


アルトの方に戻り、運転席の後ろから小さめのアタッシュケースを出してきた


「徹也ははこいつのセッティングでもしなさい。明堂学園電子課全員からのプレゼントよ」


練習場、ピットレーン

アルトの運転席に結衣、助手席に加奈を乗せて試運転してもらうことに、ピットレーンではデータ取りのスタンバイをしていた


「阿部どうだ?」

「OK全部繋がった、カメラにデータモニターリンクしてる」

「多田、そっちはどうだ?」

「S660の方はOKだ、あとは明音さん次第かな?」


白いS660に乗りながら、S660の仕様を確認している明音先輩


「とりあえずアルトはさっきにフリーに入れ、5周したら一旦戻って加奈を交代だ結衣」

〈わかったお兄ちゃん〉

「最初はその車の仕様に慣れるためペースは落とせ、そしてアイの言葉と指示をよく聞け。そしてアイ、ブレーキタイミングや可変時の仕様を伝えてくれ」

〈おまかせくださいマスター。ところで、どうですかそのタクティカルオペレートデバイスは〉

「良好だ、しかし、半ば冗談で言ったのに。本当に形にするとはな」


明音先輩から受け取ったアタッシュケースの中身は、HMDヘッドマウントディスプレイの一種、まあ、スカウターみたいな形、イヤホンマイクと片目側のクリアレンズディスプレイがつけられているものだ

装着すると空中にタッチ操作可能な画面が複数浮き上がる

以前、明堂学園の電子課にオペレート用のデバイスがあればいいなということを話したが、ここまで趣味の形で再現してくるとは

だが、機能に関していえば本物だ。複数のディスプレイにアルトのカメラ画面、そしてコンディションモニターまで映っており、さらに車の詳細スペックまで分析可能なシステムまである


〈オペレートグラス、電子課の皆様そう呼んでいます。今まで以上にオペレートや、状況分析が可能になっています〉


「最高のプレゼントだな」

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