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走劇のオッドアイ  作者: かさ
新生榛奈自動車部編成
75/121

ACT.70 闘走の明堂明音の来校

「徹也、少しいいかしら?」


4時限目授業終了後、阿部と駄弁りながら昼食とろうとした所に上村先生に声をかけられる


「Yガレージで預けていたアルト、明日に来るって連絡来たんだけどね」

「随分早いですね、まあそれを見越して、改造でしたが」

「それが、アルトとついでに臨時のコーチも来させるということらしいのよ」

「臨時のコーチ?」


また勝手なことをするな、うちの叔父は


「誰が来るとは?」

「来てからのお楽しみということらしいわ」

「まったくあの人は・・・まあいいや、練習メニューを変更しておきます」


「それじゃ、よろしくね」っと報告を済んで立ち去る

折角の土曜日という練習内容を考えていたの台無しになると思いつつ、何か企みがあるんだろなという期待を込めることにする、うんそうしないとストレスになる


「アルトか・・・どんな風になってるか、徹也は聞いてないのか?」

「詳しくは聞いていないが、大雑把に1200クラスに匹敵する仕様にするとかは聞いているがな。メカニックの方は大変だと思うぞ?今までにないノウハウや仕様を覚えることが増えるだろうし、メンテナンスの手間も増える」

「メカニックとしては望むところだけどな、ドライバーとしてはどうなんだ?いきなり仕様が変わったアルトで」

「慣れさせる時間はあるから、なんとかなる。というかする」


昼食のサンドイッチを頬張りながら、タブレットを開いて予定を考える

そんな様子を、阿部がじっと見ている視線を感じた


「・・・男に見つめられる趣味はないが?」

「いや、そんな変な意味で見ねーよ。ただ、よくの食事量で足りてるなーって思って」


今時の男子校生の弁当の阿部に対し、オレの昼食は手作りのサンドイッチが4つ

確かに阿部の言う通り、本当は物足りない


「まあ、腹5分目ぐらいにしないと放課後の練習に耐えられないからな」

「ドライバーだと、やっぱ減速時のGか?」

「阿部も経験したことはあるだろ?nabナノマシンブレーキングシステムを採用している車の瞬間的な減速Gは想像以上に負担がかかることを」

「オイラの場合、200km/hからのフルブレーキングで失神しかけた。あれって3か4Gぐらいかかってらしいって聞いたけど・・・よくもまあ、ドライバー達は耐え切れてるものだよな」

「大体4G近くかかってるな、ウチのアルトのフルブレーキング時で。1200クラスでのフルブレーキングで5G以上出てる。速度が乗るせいとダウンフォースが強烈にかかるからな」


ちなみF1のフルブレーキングは4〜4.5G程らしい。nabナノマシンブレーキングシステムはF1のフルブレーキと匹敵するらしい

自身の体重の4倍以上の負荷が体にかかるようなものなのに、SGTの1200クラスはそれを上回る。耐久レースやフォーミュラレースではnabナノマシンブレーキングシステムを採用しないのは減速Gに人が長時間耐えきれないということだ


「強烈なブレーキングと加減速と横Gで体に負荷がかかるから、走る直前の食事には気を遣う。あまり食いすぎたり、変に胃に重たい食事を採ると、胃のギアがバックに入るか、最悪失神する」

「よくまあ、うちの可憐な女子ドライバーはそれに耐えれるな・・・」

「まあ、元々の体格的な適性があったり、練習で慣れていればな。逆を言えば、SGTの参加できるドライバーの入門はnabナノマシンブレーキングシステムの減速Gに耐えきれるかどうかだからな」

「考えてみれば、うちの女性陣は男顔負けの腕っぷしばっかりだよな・・・」

「そりゃ言えてるな」


男ながら情けない話を笑いながら語り、練習内容や戦術を考える昼休みになった

加奈か奈緒に、この内容聞いたらドつかれそう



「くっしゅん!!」

「やーね加奈、風邪でも引いたの?」

「いや、そういう訳じゃないけど・・・誰か噂でもしているのかしら?」

「大方、お兄ちゃん辺りが言ってそうな」


校内の自動車部の部室、最近は結衣と奈緒と一緒に昼休みはここで過ごしていることが多い


「しかし、今でも信じられないよね・・・幸せそうに頬張ってる結衣がホークマンのクローンで、かたや加奈は秘密工作員とはなね・・・」

「秘密工作員・・・まあ、あながち間違いじゃないけど」

「奈緒ちゃん、私そんな感じに見えるの?」

「小動物みたいで可愛いという意味合い的で」

「私はペットじゃないよ!?」

「そのまま餌付けしたい」

「加奈ちゃんまで!?」


いつも通りに結衣をからかう、確かにとてもホークマンという偉大なドライバーのクローンに思えないだろう、私もそう思うぐらいだ


「奈緒から見れば、友人はクローン人間で、もう一人は秘密工作員という、ラノベのタイトルが作れそうな状況だもんね」

「メカニックが主人公ポジションっておかしくない?主人公は花形のドライバーでしょ?」


ラノベの主人公ポジションの会話をしていると、スマホからショートメッセージの通知


「おやおや?それは愛しの徹也からかしら?」

「そうね、私と将来を約束した相手からメッセージ、明日アルトが来るってさ」

「え!?本当!?」


目をキラキラさせながら、こちらのスマホを覗いてくる結衣

本当にこの娘は


「それに伴い、臨時コーチが来るってさ。詳細は放課後・・・」

「臨時のコーチ?一体誰だろ?」

「さあ?徹也の人脈は広いからね・・・プロでも来るかしら?」


母親が探偵だったり、叔父はチューニングショップを営んでいるし、未だに明堂学園との関係が続いている。どんな人脈が繋いでいてもおかしく無いが


「加奈って、徹也の部屋に住んでるんだよね?」

「まあね、しばらく厄介になってるけど」


というか、年頃の学生男女が同じ屋根の下で暮らして、一週間以上経過してるけど


「徹也が明堂学園を辞めた理由って知らないの?」


浮かれてる結衣を放ったらかしにして、シリアスな話題を振ってくる奈緒。そういえば、同じチームメイトにすら話していないのかアイツ


「一応、徹也を監視していたんだから、理由ぐらいは知ってるんじゃ?」

「いや、私も聞かされてない。徹也に聞こうにも、それだけは頑に語らないし・・・」


意外かも知れないが、徹也が明堂学園を退学した理由は何故かお父さんに聞いても、知る必要はないっと一蹴された程


「事情を知るとしたら、上村先生ぐらい?あの人の口を割らせるのは簡単じゃないし・・・しかし、どうしてそんなに喋りたくないのかしら?」

「余程な事情がある・・・そう思うとますます知りたくなったわね奈緒」


奈緒と一緒に、悪い顔になって意気投合する


「お兄ちゃんは明堂学園時代に行衛に殺されかけていたから・・・あまり思い出したくないから言わないんじゃないかな?変に探らない方がいいんじゃないかな?」

「徹也は過ぎたことで、へこたれるような奴じゃないと思うけどねぇ」


少なくとも、この中で接した時間が長い私が思うに、徹也はさほど自身の過去に囚われるような奴じゃない・・・合金のようなメンタルだし


「・・・そういえば、加奈。アンタいつから手作りの弁当を作るようになったのよ?というかここ最近一緒に昼休みを過ごすようになってからだよね?」


手にしているサンドイッチに指をさす


「前までは、商店街の半額の弁当とかおにぎりとかだったのに」

「ああ、これ?徹也の手作りよ」

「・・・はぁ?え?徹也が作ってんの!?」


私が作っていると思われていたのか


「まさかこれまでの手作りの昼食も?」

「というか料理も、家事全般も徹也。家事スキルで徹也に勝てる気がしないんだけど」

「え?徹也って案外女子力高いの?」

「それを言うなら、主夫適性があるって言ってあげた方が」


徹也曰く、母親である山岡華は探偵という仕事上、多忙かつ家事や料理の腕は壊滅的だったらしく、家にいる時間が比較的に多い徹也が、家事全般の技術が磨かれたそうだ


放課後、徹也から部員達に明日のことを伝えられ、反応は様々だったが、さらに改造アルトと臨時コーチが何者なのかという期待に思いを膨らませていた

特に結衣はその日の夜、興奮してなかなか寝付けなったらしい



翌日、榛奈自動車部練習場


「・・・結衣が練習時間ギリギリに来るとは、珍しいな」

「あははは、楽しみで寝付けなくって・・・ごめん、お兄ちゃん」

「修学旅行前日かよ」


結衣の寝坊を指摘していると、校舎側から高揚感あるエキゾースト音がこの練習場に聞こえてきた、そしてエキゾースト音だけじゃない


「アルトってこんな音混じってたっけ?」


結衣も気づいたようだ、エキゾースト音と共に独特な駆動音が入り混じっていた

チーム全員でアルトの到着を待ち、そしてその時が来た

色は綺麗な青色・・・いや、ややグラデーションがかかっている色合い、宝石のサファイアというべきか?そして形状もいくつかに変わっているがうちの榛奈自動車部のアルトというのはわかった。そして走ってる姿で誰が乗っているのかもわかってしまい、反射的に加奈の後ろに隠れる。



「ちょ、ちょっと徹也どうしたのよ?」

「い、いや反射的に・・・叔父もなんて人を臨時コーチに寄こしてくれたんだ!」


アルトが目の前に止まると、目を輝かせるメカニック達に対し、ドライバー達はただならぬ威圧感を感じ取っているのがわかる。そりゃそうだよ、乗ってる人があの人だもん


「せっかく、私が直々に車を届けてきてあげたのに、随分な反応ね?徹也?女の子の後ろに隠れていないで出てきなさい!情けない私の後輩!」

「は!はい!!すみません!!!」


アルトから降りてきたのは、綺麗な黒髪のナチュラルヘア、強い眼差しのツリ目。堂々とそして周りを圧倒するような威圧感。最もオレが尊敬する先輩


「明音先輩・・・お久しぶりです」

「そっちこそ、ぶっ倒れた割には元気そうでなにより」


明音先輩と何気なく挨拶していると、リリス先輩が隣に来て聞いてくる。おそらくこの場にいる全員が思ってる疑問の確認


「徹也、聞き間違いじゃなければ、今、明音って言ったわよね?いや、私たちも一応雑誌とかの写真で見たことはあるけど」

「ええ、明堂学園モータースポーツ部門キャプテン、闘走の明堂明音・・・最も尊敬している先輩ですよ」

「初めまして、この間の試合を観させてもったわよ榛奈自動車部の方々。私が明堂明音、貴方達をコーチにしに来てやったわ」

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