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走劇のオッドアイ  作者: かさ
新生榛奈自動車部編成
61/121

ACT.57 地区大会終結

新章、新生榛奈自動車部編成編

試合終了後の整列の際に、行衛と安道真里の姿は見えなかった。行衛の奴は大体考えはつくが・・・


「・・・私、真里を探してくる」

「私も、やっぱり、ちゃんと話さないといけない」


結衣と奈緒はまだ会場にいるであろう、真里を探そうとピットガレージを出ようとする。気持ちはわかるが・・・


「結衣、奈緒、やめておけ」

「でも徹也、放ってはおけないよ。これは私と奈緒の問題だから・・・」

「そうよ、だから・・・」

「そいつは根本的に勘違いしてるぞ、結衣、奈緒。アレはそういうものじゃない。それに気付けなかったお前達では、安道真里という人間は救えない。どんな話や、会話を重ねた所で分かり合うことなんて出来ない」

「なんですって?どういう意味よ徹也!」


激昂する奈緒に対し、結衣はコチラの顔を見て、何かしら納得しているようだった。オレがそんなことを言うには意味がある。そんなことを考えているんだろうな、この一ヶ月打ち合わせとか、いろいろ戦術で話し合っていたから、お互いの信頼はあり、ある程度の思考は理解出来る


「・・・徹也なりに、なにか気づいたってことなの?」

「結衣、お前は薄々勘づいていると思っていたが・・・それにな、今は自分たちのことをしなければならない」

「そうよ二人共」


上村先生が、二人の肩をがっちり掴んで、ピットガレージから出て行くのを止める


「結衣、奈緒。次の試合はすぐなのよ?アルトのセットアップに、メンテナンス。今、大事な事を放っていくなら、さっきまで応援してくれた皆に顔向け出来ないでしょ?」


そう言われると、大人しくなる二人。だが、お互いに不服そうな表情だ。その顔には、安道真里を放っておけないという気持ちは伝わる


「このまま放っておくのも、オレも目覚めは悪い。結衣、奈緒。安道真里については、オレに預けてくれないか?」

「・・・わかった、徹也を信じる。奈緒ちゃん・・・」

「・・・わかったわよ、先生の言うこともごもっともだし、結衣が信じるって言うなら、私も信じるしかないじゃない」


仕方なくという感じの奈緒


「徹也、そこまで言うなら、絶対真里を救って」

「ああ、まかせろ」


関係を戻したい、仲直りしたいでもなく、救って。奈緒にとっては今でも安道真里は大切な存在なんだろう

やるべきことはやった、正直、このラッシーチームとヴェルサイ学園チーム1、この地方大会でもっとも障壁となる相手は倒した以上、決勝戦は結果を見ずともわかる。こちらに勝てる程の実力を持ったドライバーはもういない。オレたちのチームの優勝は間違いない

そして、オレは充電が切れたかのように、倒れこむ。相当な無理してきたのだ、当然だろう、次起きるときはまた病院の天井だな・・・




目をゆっくり開けると、案の定白い天井だ。病院だということはわかった


「夜か・・・」


半日以上寝ていたのか?体を起き上がらせると、不思議なぐらい体が軽かった、熱もダルさも感じない


「時間通り・・・流石、森先生だな」


部屋に誰かいた、声に聞き覚えはある、後ろ姿にも・・・だが、誰だ


「・・・教頭先生?」

「めずらしいかな?それとも、なぜ私がここにいるのか?そんなことを考えているのかな?山岡徹也君?」

「・・・一体に誰なんですかあなたは?少なくとも、昨日会った人物とはまるで別人、悪意のある教頭先生ではなく」


人を見る観察眼には自信がある、そこから読み取れる洞察力にも自信がある。あるはずだったのに、目の前にいるこの人間に正確に読み取れない。なんというか、複数の顔でも持っているのか、多重人格なのか・・・こんなの人間じゃない


「まるで、バケモノを見ている表情だな。君のその言葉は正しい、そしてそれは私に対する正しい評価だ・・・知っていると思うが、私は鷹の再臨計画で呼ばれた、早瀬教頭という役目に過ぎない。そして私そのものに明確な名前がないが、こう呼ばれている・・・小柳。アルカディア機関の小柳」

「小柳・・・小柳加奈・・・」


加奈と同じ苗字


「・・・まずは、優勝おめでとうと、言うべきか。君たち榛奈自動車部商店街チームは晴れてSGT全国大会の切符を2日前に手にした」

「2日前!?・・・そんなにオレ、寝ていたのかよ」


優勝することは想定内、2日間も寝ていた事実の方が驚く。驚いてるオレにお構いなしに小柳は続ける


「鷹の再臨計画を知り、ここまで来た君にはこの計画の本当の目的を知る権利がある。いや、知らなければならない」

「ただの年寄りの道楽だと思っていましたが・・・いや、上柳さんは全てを把握していない・・・」

「元会長の道楽と、アルカディア機関の目的の利害が一致した結果が、鷹の再臨計画だ。私から話すより、彼から話させたほうが手っ取り早いだろう」

「・・・彼?」


病室の扉が空き、その彼が入ってきた。白い学生服と白薔薇の花束を持っていた


「そうだね、小柳。僕も兄さんと話したい」


彼の顔を見て、目を疑った。自分のと同じ顔・・・だが、瞳は金色と緑色のオッドアイ。自分より少し幼いか?一つ下か?


「僕の顔を見て、驚いてるね兄さん。いや、いろいろ考えているのかな?」

「・・・そうだな」


結衣を見たときも驚いた、オッドアイの日本人はかなり稀な存在。それが目の前に3人目・・・偶然でも、意図的なものを感じた。昔から考えていた仮説が、証明されるか?


「今、兄さんと言ったな?まあ、生んだ親は知らないから、生き別れの兄弟がいるかも知れないが・・・そもそも、生んだ親なんておらずに、作り出された・・・か?」


母さんの養子になり、数年たった後に、自分の出生について調べたことがあったが、全く手がかりが掴めなかった。可能性としての仮説としてこう考えたことがあった、何者かに作られた存在では?ないかと


「2000年代後半ぐらいか?クローン技術の一部を解禁、人体の四肢や内臓、骨を人工生体生成することを許可された。だが、完全なクローン人間の生成は禁止されているが・・・現代、当時の技術でも作り出すのは十分可能だろう・・・まあ、そんな大掛かりなことを出来る組織や機関なんてそうないだろうし、オレがそれに関わっているなんて、妄想も甚だしい・・・だから考えられない仮説だったが・・・ナノマシン技術を確立させたアルカディア機関なら、資金的にも、技術的にも可能なんじゃないか?一応既存技術だからな」


自分でも馬鹿馬鹿しい推理だ。だが、金色と緑のオッドアイの少年は感心したような反応だ


「流石兄さんだ。その通り、僕たちはアルカディア機関のクローン技術と遺伝子操作技術によって作り出された、デザイナーベビー。SSR計画、正式ナンバー5。僕は白柳神也、初めまして、兄さん」


嬉しそうに、自らの名前を喋る。そして白柳神也からコチラの想定を越えたワードが次々に出てくる、クローンに遺伝子操作・・・そしてデザイナーベビー


「デザイナーベビー。遺伝子操作で優れた人間を人工的に作り出す、所謂、強化人間というべきか?」

「そうだよ兄さん。英雄性があり、優れたレーシングドライバーのクローン情報を元に遺伝子操作を加え、より優れたレーシングドライバー作り出す計画、スーパー・スター・レーサー計画、通称SSR計画」


英雄性のある、優れたレーシングドライバー・・・いくつか心当たりがあるが、その中でアルカディア機関が関わるとなると・・・


「まさか、そのクローン情報の人間・・・もし、そうだとしたら、なんつーおぞましいことをしやがる。アルカディア機関・・・!」

「気づいたようだね、兄さん。そう僕たちのクローンの元・・・父親というべき存在」


信じたくない、それだけは信じたくない、オレの憧れの存在をそんなことに使うなんて


「ミスター・ホークマン。僕たちはホークマンの遺伝子を持ったデザイナーベビーの兄弟達だ」

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