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走劇のオッドアイ  作者: かさ
SGT地区大会編
35/121

ACT.32 SGT地区大会 本戦準備 回想 電動スーパーチャージャー

SGTの地区大会のスケジュールは地域によるが、主に2日間、トラブル等で延期を考慮し最大3~4日間かけて行われる

1日目

午前 タイムアタック予選

午後 トーナメント抽選、本戦一回戦

2日目本戦決勝まで行われる


地区大会 ピットガレージ

本戦出場チームはレース場のピットガレージが使用出来るようになり、メンテナンス及び待機場で扱われ、本戦トーナメント抽選の間に各チーム、車のメンテナンス、タイヤ交換、休憩や昼食をとるなどチームによって様々、本戦を待つ


ピットガレージ 榛奈商店街チーム

アルトをリフトに上げ、奈緒と阿部で足回りのメンテナンスと本戦用のSタイヤに交換作業を行いつつ、上村先生と杏奈はエンジンルームを開き、端末をECUユニットに繋ぎ、目視と端末上に異常がないか確認する

リリス、上村、勇気、AIアイ、箱崎夫婦達が各チームのタイムアタックを録画したデータを徹也がまとめながら、結衣、勇気、リリス達のドライバーチームと一緒に本戦での打ち合わせをしていた



アルトのエンジンルームを開き、今まで見たことのない独特かつ大幅に改造されたエンジンルームになっている

バッテリーやウォッシャータンクなど助手席側に移設され、余ったスペースに電動スーパーチャージャー必要装備などを入れていた

エンジンオイルを確認し、エンジンプラグの焼け具合をみる


「すごい、走って間もないのに綺麗に焼けてる・・・こんなの初めて」

「杏奈と私の頑張りもあるけど、徹也のECUユニットのセッティング具合と乗り手の結衣の踏み込みがよかったというべきかしらね」

「なんというか、あの二人がいたからこのエンジンとアルトがあるって感じますね」


しみじみ、いいドライバーに出会えたと感じる


「しかし、杏奈先輩もよくスーパーチャージャーを採用しましたね。確かにターボは気に入らないとは知ってましたけど」


タイヤ交換作業をしながら、奈緒がコチラに聞いてくる


「徹也に自分なりに組んでいいって言われたから、自分の趣向優先かつレギュレーションに合わせて作った故にこれを採用したんだけどね」

「ただ普通のスーパーチャージャーだとどうしても、高回転域が弱くなるから、ホームストレートとハイスピードセクションでパワー不足が否めなくてどうにかならないもんで、これで走らせるのはどうだろうって私も杏奈も悩んだけど。徹也の提案でこの電動スーパーチャージャーを持ってきた訳なのよ」

「そういえば、電動スーパーチャージャーなんて技術聞いたことないですけど、どこから持ってきたんですか?これ?」

「後から知ったんだけど、Yガレージの試作品らしいのよね。しかも設計と提案は徹也」


少し話は遡って、エンジンのベンチテストの時の話 箱崎自動車エンジン室


「うーん・・・やっぱり高回転域のノビがわるいわねぇ、タイトなコースならこれでいいんだけどハイスピードセクションのある今回のコースならじゃ厳しいね・・・排気量あればカバー出来るんだけど」

「スバルのヴィヴィオで参戦するチームもスーパーチャージャーとっぱらってターボ化してる理由はこういうことなんですね・・・うーん、参ったな自分なり組んでいいとは言われたけどターボに戻すべきですかね」


この調子だと、自分の趣向にこだわってる場合じゃないだろうって思うが・・・たぶんその思いが、アルトワークスの時の満足の行かないエンジンに組み上がったのだろう


「へぇ、パワーグラフを見れば面白い仕様ですね。ジムカーナーとかのレースとかなら結構良さげな気もしますが・・・よいっしょっと!」


大きいダンボールを机に置いて、パワーグラフを見る徹也


「あら徹也、来てたの」

「ええ、上村先生。エンジンのベンチテストしてると聞いて・・・その様子だと微妙みたいですね」


私と上村先生の表情を見て、様子を察する徹也


「聞いていましたが、杏奈先輩がターボ嫌いとはね・・・」

「ターボどころか、過給器そのものはあまり好きじゃないのよ。妥協案でスーパーチャージャーな訳だけど・・・戻してターボ化すべきかなって考えてたけど」

「特性故に高回転域がどうしてもターボに劣る・・・なら、これを試しみませんか?」


徹也は持ってきたダンボールのガムテープは剥いて、開ける


「なにこれ?スーパーチャージャーのキットっぽいけど・・・この構造とか見たことないし」

「試作品の電動式スーパーチャージャーキットですよ」

「電動?・・・もしかしてクランクシャフトじゃなくて、モーターとかで過給器をブン回すってこと!?あ!この部分モーターね!」

「その通り、クランクシャフトでエンジンパワーをロスさせずに、モーターで全回転域を過給させる仕組みなんですよ」


これは凄い、電動ターボなら知っていたが最先端技術の塊をこの場で見るとは


「ただ、フラットにパワーを出せるけど、どうしても高回転域だとターボに劣りますけどマシでしょう・・・ドライバーの腕次第なら互角にハイスピードセクションとホームストレートで速度を伸ばせるはずです。ただ、別枠でバッテリーとか搭載させたりと重量増加に結構大幅な改造前提の装着になりますが」

「徹也、それ試させて!」

「わかりました、それじゃ組み立てますか」


さぞ、私のその時の顔はいい笑顔だっただろう。すると上村先生は不思議そうに徹也にたずねる


「徹也、これ試作品って言ってたけどどこから持ってきたのよ?」

「知り合いの店に限られた排気量でフラットなパワーを出すことをコンセプトにオレが大雑把な設計と提案して、実用化しのは良かったんですけどね・・・さっきの言ったとおりに大幅な改造でコストが高くつくから試作品を数個作って、限られた人のみしか売らなかったんですよ・・・」

「あ・・・なんかごめんね徹也」

「いいんですよ、赤字になったとかそんな悲しい話があったぐらいですよアハハ・・・」


思い出したくない話だったのか、徹也の瞳のハイライトが消えていた


その後のベンチテストでいい数値が出たことで、電動スーパーチャージャーを採用し

山岡トオルさんが来た時に制作に携わっていたのがYガレージというを知ったのだ


そして、現在に至る


「そういう経緯があったんですね、というか徹也万能ね・・・」

「本人曰く簡単な設計ぐらいだったらしいけど」


そうこうを話している内に、メンテナンスを完了し、アルトをリフトから降ろしタイヤウォーマーを装着し本戦に備える

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