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走劇のオッドアイ  作者: かさ
榛奈自動車部騒動
23/121

ACT.21 眼鏡を外すのは眼鏡キャラの必殺技 2

商店街外れ 公園

飛び出してしまい、自宅近くの公園のベンチに座った。とても見せられる顔をしていないのは自分でもわかっている。しかし飛び出した所でどうしようもないのはわかっている、とりあえず後で徹也はしばく

しかし徹也があんな行動をしたのも、阿部にあんな目に合わせてしまったのも自分のせいなんだろう

本当どうして私は、こう素直になれないんだろう。勇気が羨ましい


「やっぱりここにいた、奈緒」

「ゆ、結衣!?」


結衣の登場に驚きつつこんな顔を見せるまいと手で顔の涙を拭おうとしたら、作業していたことを忘れていた。手についていた細かい汚れが目に入る


「いだだだだ、め、目がああ!」

「奈緒ちゃん、とりあえず顔と手を洗おうよ」


微笑気味に結衣は言い、タオルを渡す

公園の水飲み場で顔と手を洗い流し、少しは見せる顔になっただろうか。ベンチに戻る


「話は聞いてるよ。しかし、仲は良かったのはわかってたけどまさかそこまで進んでいたとはね」


結衣がニヤつい来る、これではいつもと逆の立場だ…というか、結衣は恋沙汰には鈍感すぎるが


「いや、別にそんな阿部が好きだとかそんなことを思ってたり、そもそもそんな恋仲とかそんな仲に進んでいるだなんて」

「私はそんなことを言っていないけど?否定する割には顔が赤いよ奈緒?」


しまった、何言ってんだ私


「奈緒、ここは「素直に好きだー!!」って感じでアタックすればいいんじゃないの?」

「いやいや出来ない出来ない、いやなんというか小っ恥ずかしいというか…こっちから告白するのはなんか、その…」

「つまりあっちから告白して欲しいという乙女的な思考?」

「うぐ!!」


当たってる、阿部と口論になったのもそれが原因だった

お互いに好意を持っていたのはわかっていたのに、一向にあっちからハッキリとしたことを言ってこない。そんな受け気質で乙女思考と自らの性格が災いして今に至っている


「だけどこれはチャンスでしょ?ここで自分から行かないとまた後悔することなると思うよ?」

「い、いや、確かにそれはそうだけど」

「はぁ…普段から一緒にいるのに友達として気付かなかった私も悪いよ?奈緒の普段の明るさで気付かなかった。だけどこういう時こその友達でしょ?頼りにしてよ奈緒?私も後押しするからさ」


なんて頼りになる言葉を出してくるんだ我が友は、結衣らしかぬ発言のオンパレードで…

ん?おかしい、結衣は確かにケンカとかイジメの仲裁とか得意だけど、恋愛事情とかそういうのには鈍いし結衣はこういう時は饒舌じゃない、饒舌でお喋りになるとしたら車の話題かホークマンの話題だぞ鷹見結衣という女の子は

それにこっちがいう前に図星なことを言い当てる、どこかで

そして会話のペースを引き込むこの感覚


「ねぇ結衣、随分今日は饒舌な気がするけど気のせいかしら」

「気のせいだよ」


今、一瞬だが動揺してた


「まさかだと思うけど結衣、今この場で話を聞いてるの私達以外にいるんじゃない?」

「んん?!い、いやソンナコトナイヨー」


あからさまに視線が泳いで、動揺し始めた結衣


「例えば私たちの会話を聞きながら、スマホの通話で結衣に発言の指示してるとか…結衣、さっきから片耳見せないようにしてるよね?振り向きなさい」

「え?え?ちょっと奈緒ちゃん」


結衣の耳をみたら小型の無線のイヤホンが付いていた。それをとりあげ自分の耳につける


「さっきから喋ってるの徹也アンタでしょ!!」

〈ゲェ!?バレた!〉


声主はやっぱり徹也だった。こんな会話のペースを持っていける人間、コイツぐらいしかいない


「結衣もアンタもツメが甘いわね、結衣は私のことを「奈緒ちゃん」って呼ぶのよ?」

結「あ」徹〈あ〉


徹也が言うセリフをそのまま復唱したから、私の名前を呼び捨てで呼んだのだろう結衣は


「徹也、後でアームロック覚悟しなさい」

〈なんでこのチームは関節技をキメるの好きなんだよ!?〉

「おおよそ結衣なら上手く話が進むと思ったからこんな手を使ったんでしょ?まったく…でもまあ、ここまでみんがお膳立てしてくれたんだから乗らないとダメだよね」


ペースに流されるのようで癪にさわる部分がある、だけど悪くはないと思った。それに勇気を我が弟の恋路を応援してるの自分がこんなんじゃダメだよね


〈どうやら、阿部と話せる心の準備はできたか?〉

「あっちも今でも同じ気持ちなの?」

〈嫉妬かヤキモチでオレと奈緒が近づかないように自動車部に入らせないようにしてたぐらいには〉


なんだそりゃ、女々しい所もあるのね阿部


「まあ、急に接近とかはないかな。口を聞く程度なら」

〈素直じゃねーなオイ〉

「これが私なんだから仕方ないでしょ?…そういえば阿部って他のチームに入ってたのよね?確か阿部のお兄さんがリーダーの」

〈ああ、事情を話したらノリノリで承諾してもらったよ。将来可愛い義妹が来る的な説得したら〉

「…おいこら」

〈そんなこと言ってるが照れてるだろ?〉


そりゃ照れるわアホ


「戻ろうよ奈緒ちゃん、さっきも言ったように私も協力するから」

「…ありがとう結衣」


箱崎自動車ガレージ

の手前

ガレージの手前まで来たが、どうも入る気が起きないよ


「ちょっと奈緒ちゃん、ここで止まるのなしだよ!」

「ちょ、ちょ、押さないでよ結衣!まだ心の準備が」


私の背中を結衣が押してくる


「もー!もう準備は済んだでしょ!押してダメなら引っ張る!」

「ゆ、結衣!!」


結衣は私の腕を強引に引っ張ってガレージに入る


「みんなー奈緒ちゃん連れてきたよ!」


結衣がみんなを呼ぶと、作業台の所に集まっていたみんながこちらを振り向く


「あら、丁度いい所にきたわね奈緒、結衣。こっちは準備OKよ♡」


準備?何の?上村先生何をしてるの?


「それじゃ、阿部ちゃんあっちを向いて」

「え、ええ…」


阿部が顔をこちらに振り向くと、周囲の背景が煌めいて見える程の眩いイケメンの姿が


「「いや誰だこのイケメン!?」」


思わず結衣と一緒にハモって叫ぶ、この自動車部どころかこの学校にこんな超絶イケメンいったっけ!?


「なーに言ってるのよ、眼鏡を外した阿部ちゃんに決まってるじゃない?」

「え?え?阿部君!?たしかに普段から眼鏡をかけてるけど、外すとこんなことになるんですか!?」

「ほら、眼鏡を外すのは眼鏡キャラの必殺技。外したらイケメンなのは定石じゃない?元から阿部ちゃんはダイヤモンドの原石のような容姿だけど、こうやって私がセットすればこんなカッコイイイケメンが完成しちゃう訳」


もう、結衣と上村先生の会話が耳に入らなず固まってしまい、阿倍の方をガン見してしまう


「え、えーと奈緒?なんというか…今までゴメン!!これからは前みたいに話せたらいいなってオイラは…おーい奈緒?聞いてるか?」

「あ、あ…あ…り」

「あり?」

「ありがとうございます神様!」

「な、奈緒ーーー!!?!?鼻血出してぶっ倒れたぁぁぁ!?」

「あーちょっと刺激が強すぎたかしら…」

「奈緒ちゃん!!しっかり!阿部君て、ティッシュを!!なんか奈緒ちゃん真っ白に燃え尽きたみたいになってる!!」


徹也、結衣ありがとう…上村先生ありがとう…



数十分後、鼻にティッシュを詰めながら作業をする奈緒ちゃん。ちなみに阿部君の顔はあまりにも破壊力があるために眼鏡を外すことを禁じられた

でも二人のモチベーションの高いのか作業は前と比べてかなり順調に進んでいた、

ちなみにその後、徹也は奈緒ちゃんにキャメルクラッチをキメられたて制裁を食らったとさ


「こんな苦痛程度で済むなら、安いものか。大事なチームメンバーを確保出来たしな」

「でも徹也、奈緒ちゃんと阿部君の関係、恋仲って感じの仲になった訳じゃないしいいのかな。なんかあの二人ソワソワしてるような」

「いいじゃないか?あの二人のペースってもんがあるだろうし、見守るぐらいでいいだろ。オレがいる限り仲違いなんざ二度と起こさせないし、ここまで面倒をやったオレの責任だ」


本当、徹也は頼りになるというか

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