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走劇のオッドアイ  作者: かさ
榛奈自動車部騒動
12/121

ACT.11 方針1

翌朝 アパート 徹也部屋


「うーん・・・」


時刻は朝7時、デスクトップの前で寝ていたようだ・・・辺りにはプリントアウトした紙が散らばっていた

あの後喫茶店を解散した後、自室で今後どうするかというプランを立てていた。

車の改造プラン、図面、発注、コース攻略、練習内容などを


「へぇ〜23型か、競技車としてどうなのよ?」

「改造制限が厳しいレースで選ばれて活躍している話を聞くと元々の走行ポテンシャルは高いだろうな、全高が低いのもいい」

「そこからのアルトは大きくなった印象だもね、現行機は軽いけど大きい印象が」

「新規格車体と当時の購入層を考えれば順当な進化だがな、現行機でそれにあの軽さでRSとワークスモデルは驚いたけどな。ただコペンとS660相手だとな」

「やっぱ厳しい所?」

「そうだな、大衆車ベースと元が走ること前提で作られた車じゃ大違いだな・・・」


ここで我に帰る、誰と会話してんだって目線を上げる


「うおぃ!?加奈!?なんで!?」


散らばったプリントを見ながら加奈は笑いながら言う


「チャイム鳴らしても出てこないし、鍵空いてたから入ったわ。不用心ね」

「勝手に入ってくる奴が言うことじゃねーだろ・・・昨日のことで聞きたいのか?」

「察しが早くて助かるわ・・・でもこれを見たら少し安心した」


安堵の表情の加奈、敵ながら安心したか・・・


「SGT、出るんでしょ」

「いや、出て勝つ。それしか選択肢はないからな」

「強気ね・・・やっぱり似ている」


?今ボソッと言った加奈発言が引っかかった。似ているだ?


「とにかく、戦う意思と走る車があるなら心置きなく対決できる」

「楽しみにしていいぞ、驚く車に仕上げてやるさ」



午前9時 箱崎自動車


「んで、昨日の夜まで原型があったアルトがなんで既にバラバラになってんだ?」

「いやー・・・どうも寝付けなくってね、お父さん」

「そうそう仕方ないよ、車をこれから改造するって興奮が収まらなくなるのは仕方ないよな?なぁ奈緒?勇気?」

「お姉ちゃんとお父さんのペースに巻き込まれて」

「「「あははははは!」」」

「・・・人の事言えたもんじゃないが、無理はしないでくれ」


アルトはエンジン、ミッションどころか、内張り、電装まで殆どはがされていた

まあ、そこの箱崎親子は目にクマができているが


「とりあえず、これからの方針を言うぞ」


箱崎自動車に集まっているのは、杏奈先輩、結衣、奈緒、勇気、箱崎父


「まず、車の仕上がる予定だが・・・大会の日にロールアウトする」


そう言うとみんな驚く


「調整も練習もなしにぶっつけ本番で!?そんな無茶苦茶な!」

「流石に初見の車を乗りこなすのは・・・」


奈緒と結衣は不安そうに言う、周りも同じ意見だろう


「確かに無茶苦茶って思うよな。ただ、また車を破壊される可能性がある事を忘れちゃいけない。どんな手を使ってくるのがわからない以上ギリギリまで手の内を明かさない」


それを聞くと全員「ああ・・・」という感じに納得したが、不安は隠しきれていない。特に結衣


「大丈夫だよ結衣、その為にな・・・これだ」


結衣にコースをプリントしたものと3Dゴーグルとタブレットを渡す


「これって・・・」

「プリントには予選コースのマップ、要所にブレーキングポイント、パッシングポイント、想定されるトップスピード、そしてもっとも重要なコーナーポイント。タブレットにはコースの3Dデータが入ってる、ゴーグルに繋げれば3D視点で追体験できるようになってる。頭に叩き込むんだ」

「ハンドルの舵を何度に切るまで書いてる・・・」


SGTのコースは一ヶ月前には決まる、過去のコースデータから探し出し算出しコーナーにナンバーを振った


「結衣は良くも悪くもセンス任せの走りだ、そこに戦術の要素を入れる。いまのこのチームの主軸は結衣だ」

「でも徹也、結衣には無理させられないよ?」

「わかっている、そもそもそんな攻撃的なパッシングとオーバーテイク技術は今の結衣では不向きだ」


奈緒の言うとおりに前日の加奈と1on1のような状態にさせる訳にはいかない


「それなら結衣に向いた戦い方をするんだ、なにもSGTの1on1は速く走るだけで勝負が決まらん。詳細はこれからの練習次第って所だ」

「練習って・・・どうやって?車は?」

「箱崎のお父さん、なんでもいいんで車って用意できます?」

「そりゃ自動車屋だぞ?うちは何台でも用意できるぞ」

「なら2日に一度に違う車に用意できます?」

「うん?まあ、できるが・・・」


箱崎父は首をかしげるが、杏奈先輩は気づいたようだ


「なるほど、慣れない車に何度も変えて短期間で車を乗りこなせるように結衣に慣れさせる気ね?」

「ご名答ですよ杏奈先輩、ぶっつけ本番と言っても予選は最初タイムアタックがある。ローリングスタート形式でコースを3周することになる。2周で車のクセを掴ませる」

「で、できるかな・・・」


結衣は不安そうに言うが


「運転は慣れだがな、走り方は車から教えてくれるものだ。車に対する思いと優しさば車は応えてくれる。自信を持て」

「なんかそう言われるとちょっと照れるというか・・・」


不安そうな表情から少し赤らめた表情になる結衣、それでいい不安を和らげ自信を持つ方がいい


「上村先生から連絡きたら、ワークスのエンジンとミッションを外す。恐らく調査は入らないと思うが、エンジンとミッションをオーバーホールを杏奈先輩お願いしていいですか?」

「オーバーホール・・・事故のダメージが心配?」

「万が一がありますからね」


杏奈先輩は承諾してくれた


「次に改造・・・ボディ補強がメインになるが箱崎さんこれを」


箱崎父にプリント、というより制作図面を渡し奈緒と勇気は図面を覗きこむ


「ほう、スポットと補強箇所にロールバーの図面まで・・・このエアロパーツはどうするんだ?」

「エアロパーツは知り合いに発注した、とりあえずツケ払いでいいって言われたんで資金面は気にしなくていい」


エアロパーツ自体かなり高額な為、用意出来なければ用意しなかったが


「これハッチバックどころかドアまでウレタン素材じゃない・・・これ数日で用意できるものなの?」

「近年は3Dプリンターによるエアロパーツ制作があるからな、一週間ぐらいでできる」

「よく、そんなアテがあったわね・・・これなら前のアルトワークスどころか次元が違うアルトに仕上がりそうね」

「ガラスも全部アクリル素材を用意するして軽量化できる部分は軽量化する。その分補強はガッツリやるから重量自体はあんまり変わらないと思う」


奈緒は図面と隣のワークスを見比べる


「確かに、ロールバーとかワークスに比べたらかなり入れてる・・・だけどここまで軽くするなら軽さで勝負するべきなんじゃ?」

「でもお姉ちゃん、軽ければ不安定さも出てくるじゃない?」

「前輪駆動よ?FRやMRならともかく、ハンドルから手応えはあるんじゃない?」

「奈緒の言うことも間違いじゃない、前輪でトラクション出すしエンジンも前に重量かかるから安定性はある。だがそれは前輪側のタイヤに一方的に負荷がかかり過ぎる。それにSGTで走るステージは富士のようなサーキットじゃない、群サイのような公道に近いシチュエーションかつアップダウンが激しいコースだ、そういうのに求められるのはトータルバランスが重要になる」


SGTのコースは既に使用されなくなった公道をサーキット化した所が大半である


「上は軽く、下は重く、重心を低くするイメージで前後は偏らせない重量バランスに仕上げるのが理想だ」

「重量バランス・・・そういえばワークスの評価した時もそんなこと言ってたわね徹也」


「ところでセッティングはどうするの徹也?ECUユニットの燃調データとか足回りとか、実走でのセッティングなしで行くのは無謀よ?」

「ECUユニットは高性能の物を用意する、予め燃調データを予測して入力データと学習機能で最適化を図る。足回りのセッティングは結衣の練習を見て合わせる」

「つまり、予想だけで実走セッティングしてしまう・・・出来るもんなの?」

「予想じゃない、データに基づいた予測だ」


ここまで言うと結衣は気づく


「そういえば徹也君はどうするの?昨日はメカニックやるって言ってたけど?」

「リリス先輩が走れない以上俺が走るしかないだろう。とは言え練習している暇はないだろうが・・・」


SGTの試合形式はタイムアタックと1on1形式の2種類

タイムアタックの上位8チームに絞り1on1のトーナメント戦

最初のタイムアタックで勝たないといけない


「タイムアタックは純粋な速さ勝負になり、最初の壁だ。このチームで速さだけなら結衣の右に出るものはいないだろ?」


杏奈先輩と奈緒はうんうんと頷く


「チームどころか、この学校で速さで結衣に勝てるのいないもんね・・・」

「下手したらこの地区で最速かもね・・・」

「速さでの勝負は結衣、戦術的な勝負は俺がやる」

「なるほど正統派の結衣に対して。悪知恵とパッシング技術は前日の加奈と試合を見てれば文句がつけようがないし」

「奈緒、褒め言葉として受け止めてやる」


思考能力と知恵は人間が持つ最大の武器、悪知恵と呼ばれるのも悪くない


「車の製作に関わるから、ある程度は車の感覚は掴める。結衣にはコース攻略と戦術を叩き込ませる」

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