表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
走劇のオッドアイ  作者: かさ
浮上島編
114/121

ACT.102 海上サーキットシティ

いずれ、大幅に改稿する予定ですが、一部設定や名称、キャラの名称が変更します

SGT → ~stGTエストゥジーティー (student Grand Touringの略)

660クラス → ライト級 上限馬力300PS

1200クラス → メイン級 上限馬力500PS

2000クラス → フラッグ級 上限馬力600PS

榛奈高等学校 → 蒼鷹高等学校

榛奈町 → 蒼鷹町

榛奈自動車部 → 蒼鷹自動車部

フローモード → 聖域


箱崎勇気 → 箱崎優輝

7月上旬頃、東京湾に二つの人工島が浮上する。それは高層ビルやその合間に、高速道路、首都高環状線に似た道路等、都市の形をしているが、その実はサーキット場、サーキットシティ

stGT前期全国大会ライト級、メイン級の舞台がこの都市海上サーキット、浮上島とも呼ばれる、巨大な人工島の上で、1on1レースが行わられるのだ

A島、B島に分けられ、それぞれ島にシティコースとハイウェイコースの上下に2つのコース、合計4種類のコースが用意される

シティコースは、都市の道路を再現され、通常観客席の他に、ガードレールの外側、歩道から観戦が可能になっている

ハイウェイコースは、シティコースより道幅が広く、速度が乗りやすくなっており、日本の高速道路を再現し、空中庭園のようなコースとして作られている

ライト級は夏休み始めの1週間、この浮上島で行われる

強い日差しと降り注ぎ、灼熱となったアスファルトと、反射熱がマシンとドライバーに試練を与える

地区大会を勝ち抜いた全40チームがこの浮上島に集まり、学生レーサーと、学生メカニック達の灼熱の戦いが幕を開けようとしていた


浮上島B島 第一コース

大会初日はプラクティクス、半日かけて二つのコースの練習とセッティング時間が設けられるが、B島の第一コース、市街地コースを模様をしたコースでは、観客とマスコミやレース業界関係者と、他チームの偵察がそこに集結していた

B島の第一コース、10台の車が練習している中、その集まった人間が注目していたのはただ一台の車、L700系のダイハツミラを、原型を留めない程にstGT用にチューニングされた一際速いマシン

ライト級初参戦、私立明堂学園、前人未到のメイン級の二連覇を達成した名門校は注目の的であった


ミラを操るのは、レーシングカート、スーパーカート時代からトップの座を譲らず、最強最速と謳われ、昨年のメイン級のstGTを二連覇に大きく貢献したドライバー、海王渉

サブドライバーでありながら、実力は海王渉と同格とされる、椎名陽葵

実力を兼ね揃えたメカニック達と、設備にバックアップにも隙がなく、そして今年の明堂学園の監督として就任され、一番の注目とされるのが、伊集院翠(いじゅういんつばさ)監督

20代後半でありながらも、stGT時代は高校、大学でメイン級とフラッグ級を制し、一時期プロとしても名を馳せていたが、現在は明堂学園の監督として、指揮をとっている

おまけに美女である


「現在の明堂学園はそんな状況って訳だな」


A島のシティコースの蒼鷹自動車部のガレージで、状況を整理しながらプラクティクスを行っている

そう、B島の状況そんなことになっているせいで、我ら蒼鷹自動車部が配置されたAブロックのA島のプラクティクスには、ほとんどの観客が入ってない状況かつ、注目すらされていない

だからといって偵察や関係者がいない訳ではないが、大抵注目されているのは一つ

昨年、ライト級前期覇者、後期では優勝の座を逃したものの優勝候補チーム、"私立儀臥(ぎが)学園"

ライト級に参戦した明堂学園に対抗出来るであろう、チームとされている


「雑誌の評価も、周囲の評価もそんな感じね…まさかの優勝候補が、うちの一回戦の相手とはね…運が悪いと言うかしら、徹也?」


そう、よりによって優勝候補チームの一つが、蒼鷹自動車部の一回戦の相手なのだ。上村先生の言い方も間違っていないが


「上村先生、どのみち明堂学園を打倒するなら、遅かれ早かれ立ち塞がる相手だろうし、それに一回戦ならこちらの手札を伏せたまま戦えるという戦術的にアドバンテージがあります」

「それは、あっちも同じことを言えそうだけど…徹也が手札を晒すようなことはしないって訳ね」


そう、このプラクティクスで既に布石は打っている。予定通りにいけば、明日は万全な状況で戦えるが、気がかりなこと、伊集院翠、彼女についてだ


「上村先生の頃なら、現役の伊集院翠を見たことって?」

「何度かね、速いというのはあるけど…なんというか、勝負強さがあるわね。徹也に似ているというのか、今ならタクティカルドライバーとして分類されていたでしょうね」

「戦術的な走りをする…明堂学園も、考えたものですね。完全にオレの代役、そして対抗手段として用意してきましたね」

「やはり彼女がオペレートを?」

「でしょうね」


ライト級での、地区大会戦の明堂学園の戦いを映像で確認したが、戦術的な戦い方を全試合で行っていることで、薄々誰かがオペレートしているだろうと思っていだが…伊集院翠という人間であれば納得がいく


「厄介な相手ですが…まあ、今は目の前の戦いに集中しないと。負ける気はしないですが、油断もする気はありませんが」


目の前のプラクティクスに集中することにするが、オレの立場は指揮することである

本来プラクティクスは、マシンの調整やセッティング、そしてドライバーをコースに慣れされる為の練習時間であり、コース上の各チームのマシンの位置、そしてラップタイムを公表される

プラクティクスの時間は3時間、そのうち1時間経過し、強豪チームはセッティングを出し終え、全開走行を行いタイム叩き出しに来ている

儀臥学園は、もちろんラップタイム1位であり、対する我が蒼鷹高校8位という下位順位を維持している、さらにタイム差を言ってしまえば最下位とそこまで差がない

これは、必然的に結果である、なぜなら


「杏奈先輩、次のピットイン時にドライバー交代とタイヤはこれで行きます。用意を」

「了解…って、また中古タイヤか。結構ギリギリじゃないこれ?」

「うちのドライバーなら、行けますよ。今日までそういう練習をしてきたんですからね」


そう、プラクティクスで、アルトに装着させているのは中古タイヤである。必然的にタイムが出るはずがない、というより出させないようにしているのだ

タイムを出すということは、マシンのスペックと、ドライバーの技量を暴かれることになりかねない

なぜこういう行動をしたのか、それは情報戦において蒼鷹自動車部は圧倒的なアドバンテージがある。まず、蒼鷹自動車部は現在進行形で他チームにほとんどマークされていない、いるとしたら明堂学園ぐらいである。とは言え、地区大会の時の映像で見られている可能性はあるが、現在のラップタイムと走りでどういう判断をするか、恐らく警戒が薄れるか混乱するであろうと読んでいる

他チームに、何一つ有益になるデータを与えないことで、奇襲な戦術を組み込むことが可能になっており、レースを有利に立てれるという状況である

無論、それは優秀なドライバーとメカニック達が揃って成り立つ、蒼鷹自動車部は優秀な人材に恵まれている

一見では、全力で走っていないと思われるかもしれないが、そういう訳でもないのだ


「優輝、結衣の区間タイムはどうだ?」

「予定通りです徹也先輩。単純な各区間タイムはトップと変わらないのと、狙い通りにタイムを出せるようになってます」

「流石だな…ここまで綺麗にタイムを揃えて走るなんて芸当、世界中探しても結衣しか出来ないな」

「それだけコースとマシンを理解している、ということですよね?」

「ただ単に、タイムを叩き出すのがプラクティクスの目的じゃない。セッティングを出し、コースを理解して攻略に繋げることが出来るか…この大会までの間、よく理解できるようになったものだ。やっぱ、結衣は天才だよ」

「あら、それじゃ私はそうじゃないと?徹也?」


リリス先輩が、意地悪く絡んできた


「自分の可愛い妹を過剰に評価したいのは、兄としてのサガですよ。それに、天才だからと言って、それが勝敗に優劣する話でもない。このチームの要はリリス先輩、貴方なんですから」

「人を持ち上げるのは上手いわね徹也は」

「悪い気はしませんでしょ?結衣には結衣の強さ、リリス先輩はリリス先輩なりの強さがあるんですから、オレはそれを活かす舞台を作り出すだけですよ」

「逆を言ってしまえば、弱点も抱えているのも現状ということね?」

「その通りですね」


要になるのはリリス先輩であるが、最終的なうちの切り札はマシンを最速に操ることが出来る結衣であるが、弱点もある

勝負強さが低いということ、かなり改善されたとは言え、心理的なことによる、接近戦による苦手意識と経験不足による駆け引きの弱さがある。ホントに速さだけなら、他に比べることもないのだが


「徹也、貴方はこの大会をどう戦うか、聞かせてもらっても?」

「…いかに情報を与えずに戦えるかですね、オレたちが持つ、唯一のアドバンテージを活かすべきでしょう」


ホントは思っていることを口に出さなかった、なまじ予測出来るからこそわかってしまう事実を…

リリス先輩と会話しているうちに、アルトがガレージに戻り、結衣とリリス先輩がプラクティクスを交代する


「結衣、お疲れ様。どうだ?コースの感触は?」

「うん、お兄ちゃん。手ごたえがあるよ…だけど、少し気になることが」

「どうした?」


結衣は水分補給をしながら、報告をする


「どうにも、私の走りを計測している人がいるだよね。なにかストップウオッチみたいな…区間ごとにいたね」

「ホントか?」

「うん、私が通過した時にストップウォッチのスイッチを押していたもの」

「マジか」


マジか、結衣の超人的な動体視力的な意味で。そんな所まで見えているのか結衣は


「…区間タイムを測られていたかのか?」

「うん」


オレたちをマークするとすれば、明堂学園であり、そして区間タイムに目をつけてきた…つまりこちらのカモフラージュを読まれたということか


「やるな、伊集院翠監督は…」


挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ