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走劇のオッドアイ  作者: かさ
ダークサイドシナリオ編 特務機動隊、自動車窃盗団を壊滅せよ
100/121

ACT.93 犯罪組織ヴィシュヌ殲滅戦4 作られた鋼鉄の怪物と造られた遺伝子の化物

後に、船倉内で硬化したトリモチから救出及び、逮捕された構成員の証言である

ヴィシュヌの幹部であり、暗殺者…というよりもはや兵器と呼べるサイボーグのガーネェヤ

構成員達は彼女の実力、そして恐ろしさと彼女の狂気をよく知っている、知っているからこその信じられない光景であった

ただの人間、少年がガーネェヤと互角の戦いを繰り広げている光景、目で追えない速度の格闘戦を二人は繰り広げていた

翠と金色の化物は、ガーネェヤの全ての攻撃を避けながらカウンターで拳や蹴りを叩き込む

ガーネェヤは化物の攻撃に怯むことなく、倒れることなく、何度叩き込まれても、サイボーグの鋼鉄の怪物は腕と拳を、超高速回転させたスピニングナックルで襲い掛かる

身動きが取れないまま…その光景を焼き付ける。もし仮に加勢出来たとして、あの化物を仕留めることが出来ただろうか、怪物と化物の常軌を逸している戦いに、割り込めただろうか



船が大きく揺れるような爆発と、船上部での銃撃が聞こえる中、サイボーグの怪物と交戦していた

ガーネェヤの戦いは格闘戦に持ち込む…否、むしろそれしかまともに戦える手段が手持ちにないのが現状だ。45口径のハンドガンの弾丸すら弾き、電撃を通さない特殊金属の体ではスタンナックルの電圧による攻撃も効かない

スタンナックルの手甲による物理的な打撃、己の肉体と体術のみが頼りにしか出来ない

腹部や、一見生身であろう顔に拳を叩き込むが…怯む程度で効果が薄く、すぐさまスピニングナックルによる反撃が来るが、未来が視え、並外れた動体視力はそれを見てから避けれる

スピニングナックルは、その性質上デメリットがあるのは読めていた、おそらく連続で使い続ければモーターが焼けて腕も使い物にならないということを

自滅を狙おうかと考えたが、ガーネェヤもそれをわかっていたのかスピニングナックルの使用頻度を変え、通常の格闘戦に持ち込んでくる

スピニングナックル抜きでも、ガーネェヤの攻撃の一撃は驚異的であり、生身の人間が喰らえば骨を砕かれるか、内臓を破裂させられるほどの威力、当たるわけにはいかない

一度、お互いに距離を取った


「…まさかここまで私が苦戦するなんてね。ボウヤ、一体何者かしら?ただの人間の動きではないし、臨機応変に対応して動き、頭もよく回る…そしてここまで動いて息すら切らさない」


ガーネェヤが問いかけてくる、ニヤリと微笑んだまま、楽しそうに


「生憎、貴女のようなサイボーグではない。遺伝子的に造られた存在ではあるが…しかし、サイボーグ技術が確立しているとは言え、顔の骨格まで鋼鉄とは…」


殴った時に鈍い感触で、十中八九そういう改造を受けているとは思っていたが、ニヤリと反応したガーネェヤに推測は当たっていたようだ…当たらない方が良かったが


「しかし、そこまで改造する人間がいるとはな…」

「そうね…私の体の8割はこのサイボーグの鋼鉄の体、女としての機能も人らしい生活もほとんど出来ない…でもね、私をこんな体にしたのはアナタのような若い日本人なのよ?」

「どういうことだ?」


ガーネェヤは表情を変えずに、ニヤついたまま…殺気、殺すという意思と態度が伺える


「私は、無責任なアナタのような若い日本人によってこんな体になるしかなかった。私はアナタのような若い日本人が憎い、憎くて憎くて…だから殺すのよ、私が受けた痛みと苦痛を死をもって」


決心を固めたように、ガーネェヤは高速で一気に間合いを詰めて再び襲い掛かる

今度は避けるだけでは間に合わず、攻撃を受け流すという手法を取らざる得ない激しい攻撃を繰り出すようになるガーネェヤ

近未来視の眼とそれに対応できる動体視力と身体能力をもってしても、躱しきれない程の猛攻

躱しきれない、防御も難しいのなら攻めたほうが身を守る手段として最適解と判断し、カウンターを腹部に叩き込み、数メートル吹き飛ばし船倉の壁に叩きつけさせる

人間離れしたサイボーグの動きについてくる者と戦うことで、ガーネェヤも勘づいた様子だった


「…なるほど、なるほど、ボウヤは未来が視えているのね。そうでなければ説明がつかない動作と動きをしてくる。守りに入れば厄介な力ね」

「…気づかれたか」

「ふふ、流石にここまで殴り合えばね…未来が視える能力…相手の動きや動作、その僅かで、瞬間的な情報からどういう動きをするのかを見えているわけね。私と戦う時の立ち回りも、必ず私の体を視界に入れているし、私が動く前に視界がその方向に向いている」


戦い慣れているのか、それとも情報を与えすぎたか…ガーネェヤはおおよその僕の近未来視の能力を言い当てる

ガーネェヤは微笑んだ表情は変わらないように見えるが、背筋を凍るような嫌な悪寒を感じた、何かか違う。本能か

再びガーネェヤが仕掛けるが、これまで以上の速度と動きで接近する

一定距離を取ろうとする僕の動きに、前へ、前へと近づき…恐れていた事態が起きる。近未来視はガーネェヤの姿が映らなくなる、いや、この眼の欠点を突かれる

気付いた瞬間に、下からスピニングナックルが顔を掠める。それがまずかった

視界が歪み、耳鳴りを起こし、立ち眩みを起こす


「…死角から攻撃すら、カウンターしてくるんて、大したボウヤね」


至近距離からしゃがんで、死角に入ったガーネェヤを、直感的か反射的に蹴り飛ばしたことでスピニングナックルの狙いが逸れて、顔に掠める程度で済んだが、超高速回転かつ超振動する物体が脳の付近を掠めれば軽い脳震盪を起こすのは当然であった

歪む視界に映るのは、再び接近してくるガーネェヤらしき姿、耳鳴りがしていてもわかる、超高速回転超振動を起こしている腕の音…トドメを刺すつもりだ

殺される。脳裏にこれまでガーネェヤに殺された被害者の状況の写真がフラッシュバックし、そしてそれが自分の姿に置き換わるイメージが浮かぶ

死ぬ…

死…死…死…

ガーネェヤの惨殺する理由はわからないが、恨みか復讐か…殺人動機がただの快楽や享楽じゃないのは、なんとなくわかる、殴り合っていてそれだけはわかってしまった、あんな体になってまでも格闘戦の技術は本物だ、そしてそれを積み上げた何かしらの執念が

ふざけるな、僕にはまだ生きる理由がある。否、まだその存在意義すら証明できないまま死んではいけないんだ

僕は死んでいった兄弟姉妹達の血の大河の上に立っている…それだけじゃない、これまでにコイツに殺された人たちも、こいつらに大事な愛車を奪われた人達の為にも…

車で悪事を働き、愛車を奪ってそれを食い物にする奴らに、そんな奴に殺されるわけにはいかない!まだ兄さんと勝負もしていないのに


「死んでたまるかぁ!!!」


歪む視界に激しい頭痛だが、体を強引でもなんでも動かす、僕自身、一体どんな動作をしたのかなんて考えてもいなかったし、わからなかった、本当に無我夢中の本能的な動きと行動

それは僕の生存本能が起こした奇跡か偶然か、歪む視界がクリアになると、その結果が見えた

ガーネェヤの鋼鉄の右腕が、反対方向に向いたままショートを起こし動作不良を起こしていた…いや、僕が破壊したのだ


「ク…!まさかそんな状況で私の腕にナイフを刺すなんて…」


ガーネェヤの右腕の肘関節近くにスタンナイフが突き刺さっていた

確証はなかったが、スピニングナックルという動作で腕を回す以上、どこか隙間があるとは思っていたがまさかこの土壇場でその隙間にスタンナイフを僕がその腕の隙間に差し込んでいたのだ、いや叩き突き刺したというべきか

サイボーグ程ではないが、常人以上に腕力と握力があり、腕の内部に突き刺せるぐらいなら造作でもなく、スタンナイフ事態も頑丈な代物だった為に成り立った

スタンナイフが突き刺さったガーネェヤの右腕がショートを起こした所を見ると、内部の配線か回転に必要なパーツと腕の可動部を壊れたのだろう

腕は反対向きに向いたまま、力なく、垂れ下がっている

流石のガーネェヤも驚きが隠せない状態だった、微笑む余裕がなく、真顔でこちらを睨む


「片腕が潰れた程度で、私の優位は変わらないわよボウヤ」

「まだやる気か…!」


残った左腕でも、スピニングナックルが使用できる以上、十分な脅威である

再び身構えるようとした瞬間、一条の光のような弾丸が壁を貫き、ガーネェヤの残った片腕を吹き飛ばし、その反動でガーネェヤも吹き飛び、その鋼鉄の体がコンテナに叩きつけられる


「レ、レールガンか!?」

〈間に合ったようだな神也、リベンジはさせてもらったぞ〉

「お前かオウガ、よくその状況で撃ったな」


GT-Rヴャルキリのレールガンによる狙撃は、流石のサイボーグであろうが耐えれるものではない


〈少し狙いが逸れたようだが…〉

「いや、両腕が壊れた以上、もう奴は…しかし、オウガ。お前どうやってレールガンをアレ相手に発射出来た?特殊な仕様のはずだが、人間相手に殺傷可能武装は直接的に狙えないはずだったが?」


ロボット3原則という訳ではないが、AI、AIユニットとしては人の脅威になるような行動を独断で行えないというプログラムは実装している。例外的な状況を除くが


〈照準は私だが、引き金を引いたのは私ではないよ。須田良輔、彼だよ〉

「…なるほど、手動発射によるものだったか」


両腕を封じた以上、もはやガーネェヤは脅威がないと思っていたが…その考えは甘かったとすぐに認識する


「…冗談だろ?」


コンテナに叩きつけられ、両腕を失ったガーネェヤは尚、立ち続けた…殺気、殺意の雰囲気をさらに増して

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