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ささくれ黙示録 ~ショートショート集・ソノ1~

ショートショート010 願い

作者: 笹石穂西

 そいつは突然現れた。


「な、なんだ、お前は。人の家に勝手に現れやがって。何の権利があって、いや、そもそもお前はいったい誰なんだ」


「それにお答えすればよろしいんで?」


「ああそうだ。とっとと答えろ」


 するとそいつは、「あいよ」と言って答えた。


「わたしは悪魔でさぁ」


「なに、悪魔だと。この世に、そんなものが存在するわけがない」


「そう言われても、実際にここにいるんだから、仕方ねぇでしょう」


「うるさい。ふざけるのもいいかげんにしろ」


「別にふざけているつもりは、ねぇんですがね」


「とにかく、その、人をばかにしたような口調をやめろ。どんどんいらいらしてくる」


「口調を変えればよろしいんですね。あいよ」


 少しの間をおいて、そいつは再び口を開いた。


「では、他に何かご用はありますでしょうか」


「なんだ、てめぇ。口調はまともになったようだが、態度はふざけたままじゃねえか」


「私は、はじめからふざけた態度なんてとっておりませんが」


「もういい、たくさんだ。頼むから消えてくれ」


「消えればよろしいんですね」


「ああそうだ。消え失せろ」


「あいよ」


 三つの願いを叶え終えた悪魔は、その言葉とともに姿を消した。

023『すれちがい』に続きます。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  8~12まで読ませていただきました( ´∀`)  どれも魅力的ですが、今回は《願い》が一番印象的でした。比較的短い文章ですが、そのぶん、読者に結末を予想させにくいというメリットがあると思…
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