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珊瑚

翠の花嫁を選ぶにあたり、楓の父柊王は国中の美しいと評判の娘を王宮に集めた


『美しきものには力がある』

その考えから柊王は次期国王になる翠には国で一番美しい娘を花嫁として与えようと思っていた


白国の七つの山から十人ずつ山長の推薦する娘が王宮に届けられた


広間のツヤツヤに磨き上げられた白木の床を静静と歩き、王の前に現れた七十人の娘のなかでひときわ目を引く娘がいた


詮議の必要がないほど飛び抜けて美しい


王宮のある湖の辺りのわずかばかりの平地に近い一番低い山の娘であった


こんな近くにこんな美しい娘がいたとは


柊王はこの娘の評判が都に届かなかったことを不思議に思った


娘の名を珊瑚と言う


珊瑚は造形も美しかったが、それよりも質感が飛び抜けて魅力的だった


肌は今剥いたばかりの桃の身のように内側から白く輝いていたし、その唇は蓴菜のまとうゼリーのように潤い、光を反射している


黒目がちの瞳には夜空のどんな場所よりも星が密に瞬いているている


また瞳を縁取った長い睫毛が落とす影も顔にメリハリを与えていた


ふわり緩くウエーブのかかった長い黒髪を無造作に真ん中あたりで分けた髪型がよく似合っていた


華奢で小柄ではあったが不健康な感じはしない


誰もが美しいと感じる17歳の娘だった


ただ少し右足を引きずって歩く癖がある


子供の頃に大きな怪我をしたらしい


先天性のものではなかったので問題なしと判断した


性格はおとなし目であったが、問われたことにはしっかり答えられる


この娘を翠の花嫁にしようと柊王は決めた


翠がさぞや喜ぶであろう


柊王は光り輝く珊瑚を眺め、広間の王座で満足げな笑みを浮かべた


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