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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

鬼捜し

作者: 多角形

作者初めての、ホラー&短編小説。ここまで長いのは初めてです。怖くないかもしれませんが、読んでください。

始まりは一通の手紙。招待状であった。内容はこう書いていた。

『8月13日金曜日。私共は、この手紙を読んでいる方々を館に招待いたします。場所は、この手紙と一緒に入っている地図を見てきてください。お友達の方を連れてきてもかまいません。ぜひ、いらっしゃってください。時間:6時まで』


 地図によると、少し山を登ったところにある屋敷。何年も前から建っていてる。そのわりには、お化けが出た。などのオカルト話は聞かない。というか、そこに行くものがいないのだ。その理由は人が住んでいたからなのか…。

 招待される理由などわからないが、まあ危ない話ではなさそうだ。友達…は誘わない。というかいない。


       そうして、俺は十三日の金曜日に、館に足を進めた。今思うと、なんであんな簡単に行ったのか、不思議に思う…。



 館につくと、何人かもう人がいた。広いホールのような場所で待たされた。


6時になった。今の人数は10人。すると、中から男の人が出てくる。

「このたびは、我らの館にいらっしゃいまし。まことにありがとうございます。あなたたちに集まってもらったのは他でもありません。」

 パーティーでもするのか?

「只今から、あなたがた10人でゲームを行ってもらいます。ルールはご自分でお探しください。ただいえることは、 死なない でください。」

 はい?

「では。ごゆっくり」 

 と、部屋の奥に消えていった。




「とりあえず周りの部屋を探してみたが、こんな紙切れしか見つけれなかった。」

 一人の男が紙を持ってきた。彼は大島海斗おおしまかいと。大工をしているらしい。その紙切れにはこう書いてあった。


『このゲームを始めた以上、全員で出ることは絶対に不可能。少なくとも一人は死ぬ。』

 

「一人は死ぬ?どういうことなんでしょう?」

「あと、この紙も落ちてた。」


『ゲームの名前は鬼探し。選ばれた人の中に鬼がいる。その人を見つけてください。なお、鬼自身にも自分が鬼ということは知らない。見つけたら…………』


「紙が途中で切れてて読めないな。なんなんだ?」

 さっきから紙切れを見つめて考えている男女二人。男の方は、熊谷大輔くまがいだいすけ。コンビニ店長。女の方は、安生美紀あんじょうみき。OL。



「それで?どうする?まだ一階も全部回ってないし、二階もありそうだ。」

「あの男探すか?奥の方にいっちまったけど。」

「そもそも、死ぬってなんなの?これはゲームのはずだけど。ゲームの中だけでってこと?」

 鬼。というのを見つけるには、何が必要なのかもわからない。他のヒントを探すしかないか。

「だったら、何人かでわかれて部屋を回っていこう。食料と寝る場所も。」

 全員で10人。ということで、一チーム二人の5組にわかれた。俺のチームは、齋藤栄基さいとうさかきという男がついた。

「よろしく。僕たちは、二階の左側を探索するらしいね。」

 階段があり、左と右に行けるようになっており、そこの左側。ちなみに、まだ三階があるらしいから、他のチームはそっちへ行った。


「ここは…図書室かな?たっくさんあるね~…」

 人が住む家にあっていいのかと思うくらいでかい図書室だ。ここにヒントはあるだろうか。

「たしかに、この本の中にあったとしても、全部確かめるのは大変だ。どうしよ…」

 だったら…。可能性は薄いけど、「鬼」とか「ゲーム」とかに関する本を探すしかないな。

「そうだね…。とりあえずそれしかないね。」

 本棚を見て行って、オの棚をみつけて~。…ないか…。

「ゲームに関する本でも、それらしいものはなかったよ。」

 あと探す場所…は。お?

「こんなとこに本が?」

 棚の上に本がのっかっている。だいぶホコリをかぶってるな。

「…!!?」

 ホコリをはらって出てきた本の題名は。

「う…ぐ…。これは…血…?」

 読めなかった。そこには、真っ赤な手形が大量についていて。とても読める状態ではなかった。

「で…でも。中身は読めるはず…」

 分厚い本をゆっくりと開く。本の中身には手形はついていない。が、

「白紙…なの?」

 一ページ。二ページ。三四五六七八九十とめくっても、字らしきものはなく、白紙だった。

「これはいったい…。」

 不思議がっていると、手に生暖かい違和感が。手を見てみると…

「ひっ…」

 手は赤い液状のものでいっぱいだった。触っていた部分。つまり、本の表紙を見てみると

「え…?さ、さっきはたしかに…乾いて…」

 さっきの赤い手形が液体化していた。つまり、乾いていたはず血が、新鮮な血液になっていた。しかもまだ 生暖かい 。

 さっき本についていたのは手形。それが消えた。ということは…

「ちょ…君…。何を?」

 白紙のページに、自分の手を押し付ける。これで何かなるという確信はなかったが、ものは試しだ。すると、

「う…嘘…でしょ?」 

 栄基がヘタリと床に座り込む。たしかに、これを見ればたいていの精神力なら腰が抜けてもしょうがない。

 白紙についた血液が、動きはじめて字がうかびあがる。

 本に書かれた文字はこのとおり。

『生贄ノナカニ鬼アリ 鬼生贄クイタリ 生贄ガ全テ捧ゲラレルマデ』


「どういう意味だろ…?生贄って…僕達のこと?」

 そうかもしれない。とすると、俺達の中に鬼ありってことか?鬼ってなんだ?

「わからない。とりあえず皆の所に持っていこう。もしかしたら他の本を見つけている人がいるかもしれないからね。」

 本棚の上を一応全部見たが、他にはなかった。たしかに、続きが他にあってもおかしくないはず。



「全員集合したか?」

 今のところ全員を仕切っているのは、卯月真弘うずきまひろ。とある会社の部長。たしかにまとめる力はありそうだ。

「では、それぞれの班の拾得物を教えてもらおう」

 今回の探査で見つかったものは、「ナイフ二本」「メモ」「本」「鍵」だ。

「鍵…とは、どこの鍵かわかるか?」

「いえ。鍵のかかっている部屋を調べるしかありません。」

 今。俺らの足元、進行方向を照らすのはマッチ箱二つとろうそく数本。暗すぎる。

「くぅ……なんでこんな不気味なとこにぃ……、、、。明日は大事な…大事な…会議なのにっぃ…」

 隅の方で震えているのは、そのへん探せばすぐ見つかるような中年オヤジ。中井彰浩なかいあきひろ

「とりあえず、もう暗い。この明かりだけの移動は危険だ。明日を待とう。」

 来た時は夕方だった。その時に比べて外は真っ暗。腕時計を見ると、もう8時だ。

「にしても。腹減ったな…」

「あ。だったら、さっき調理場らしき場所みつけたんで、何か作ってきましょうか?冷蔵庫に何入ってるか知りませんが。人が住んでいるなら大丈夫でしょう。」

 そう言うのは、とあるレストランでコック長をしている鬼無里美祢きなさみね。なんでもいつも相棒の包丁を持っているらしい。



「み…みなさん…。料理ができましたぁ…」

 調理場がある場所から美祢が出てくる。手には大きな皿。おいしそうな肉が大量に入っている。

「れ、冷蔵庫に肉しかなかったので。肉だけの料理を作りました。」

 ?どうしたんだ?震えている。黒く光るGでも見たのだろうか。

「ありがとう。ん。美味いな。さすがだ。だが…初めて食う味だ。どんな味付けをしたんだ?」

 たしかに。この味は初めてだ。豚肉と牛肉を合わせたような感じ。ふつうに美味しい。

「ふふふ…。企業秘密ですよ~」



 一階の部屋を探すと、寝室があった。丁度二つあったから、女性と男性で分けて寝れた。



「きゃぁぁぁぁ!!!!!」

 朝。その悲鳴で起きる。声は女性のものだ。

「どうした!!」

 寝室に行くと、ベットの上で震えている女性が。この人は、鈴木多希すずきたきだ。

「どうしたんだ!」

 真弘が駆け寄る。周りを見ると、まだいびきをかいて寝ている人が一人。そして、端っこの方で黙っている美祢。

「お。お…、おぎたぁぃら…。あ…あ。ち…に…。」

 多希が窓際を指さす。行ってみると、

「うっ。これは…」

「…」

 どうやら真弘も精神力が強いようだ。そこには、頭が無残に千切られ。更に腕も千切られた体があった。今いるメンバーから考えると、この人は新井久三子あらいくみこ。昨日ナイフを見つけた人だ。

「いったい…誰が…」

 この遺体…。見ているとオカシクなりそうだが。どうも切れ口が特殊だ。ナイフで切ったのなら、切れ口がある程度整っている。なのにこれは、まるで体と千切れた部分を引っ張って切ったようだ。だがそんな力人間にはない…。

「お前も気づいたか…。だが、もっと不思議なこともあるぞ。」

 もっと不思議?

「外を見てみろ。まだ………暗い…」

 !!?今の時間は…確かに朝の6時…。なのに暗い?



「というわけだ。一人死んだ。」

 全員起こして集会。昨日の本に書かれていた、「鬼生贄クイタリ」のことなのか?

「その本を信じると、鬼はこの中にいる。見つけるまで食うそうだな。」

 そういうことになる。だけど、見つけるって?

「それが問題だ。見つける方法がわからん。ふつう、犯人を見つけて、証拠なしにお前が犯人だと言ってもしょうがない。その証拠を見つけるのだが。」

 全員の衣服を知らべたが、血液らしきものは見つからない。なぜ…。

「い…いやだぁっ…こ、こ、こんな恐ろしい所ぉ…。か、か、会議…そうだ。会議に行くんだぁっ…」

 中年オヤジの彰浩が震えている。無理もないか。他のやつらも、震えている。だが、扉も窓も開かない。

「ということで、危険だが。もっとヒントを探そう。なるべく危険なことはせずに。殺された原因もわからないんだからな。」

 


 図書室の隣の部屋は空き部屋。使ってなかった家具を置いているようだ。

「ここには何もなさそうだね」

 一応家具を全部見るか…。

  ガタッ

 後ろで家具が動く音。なんだ?

「誰かいるのかい?」

 …、誰もいない。地震かな?すると、

 バッタンッ!!

 扉近くにあったタンスが倒れた。

「…?」

 …何かある…

「見てみるよ。」

 ゆっくりと栄基が近づく。そして、

「う…うわぁぁぅぇぃ!!!?ぐがはぁッ!!」

 後ろにしりもちをつく。そのまま気絶した。なんだ?と、見てみると、

 千切られたはずの久三子の頭と腕があった。血は流れていない。




「……ん?ここは…?」

 栄基が起きる。とりあえず皆に報告した。そして、栄基と久三子の頭と腕を回収した。

「僕…さっき…」

「何も思い出すな。つらかったろう」

 

「だがしかし、なぜ二階に…」

 この犯行じゃ矛盾が多い。普通、千切ったなら血は出る。それが一滴もたれていない。しかも、見つけたときの遺体は乾いていた。が、首の血は乾いていなかった。そして、乾くまで待ったとしても、流れる血はそんなちょっとじゃ乾かない。しかも遺体は暖かい。なぜ乾いていたのに暖かい…?

「ま、ドライヤーでもない限り無理だな。そんなものはないが。」

 


「こんなものを見つけたぞ。」

 あんな叫び声が聞こえたのに起きなかった女性。麻野凛々《あさのりり》が持ってくる。

「この本。お前らが見つけたのと同じでは?」

 確かに。これは似ている。ということは、同じことをすればまた文字が。

「だが…表紙に血なんてないぞ?」

 本当だ。前の本は変化ないし…どうすれば………!!

「お前も同じことを考えたな…」

 だけど…そんなこと…



「本当に…すまない…!!」

 久三子の頭があった首。つまり切れ口に手をつける。使える血はここにあった。自分達の血を使うこともできたが、手にべったりつく血の量を出そうとすると、止まらなくなる。ここには病院も医療セットもない。へたすれば大量出血になりかねない。

「どうだ?」

 本に手形をつけると、やはり変化して文字が。


『鬼ハ生贄ガ眠ル時生マレル 鬼ヲ殺セ シタラ生贄ハ自由』


 …。

「鬼を…殺す…か。」

 ということは、鬼はこの中にいる。それを見つけて殺せ…と。

「お?まだ動くぞ?」


『マタ 生贄ガ死ヌ時 最後ニ残ッタ生贄ハ自由』

 …。それは…仲間われを…しろと。か。

「そんなことは許さない。早く鬼を見つけるぞ。」

 でも、結局何を手がかりにすれば…

「おぉぉーい!!鍵が空いた部屋見つけたぞぉぉ!!」

 二階から声が。前見つけた鍵が使える部屋があったようだ。



「ここか…」

 部屋の中は、梯子があった。上に何かがあるっぽい。

「誰が行く?」

 上は暗い。上った後に明かりをつけるしかないな。

「…誰もいないか。が、全員行くのは無理だし…。じゃんけんだな。」

 じゃんけん。の結果。

「ひっ…俺…かよぉ…」

 彰浩。中年オヤジ



「…何も…なかった…」

 降りてくる。

「ただ。これがあった。」

 彰浩が出してきた紙の束。それには、文字がびっしりだ。

「これは…日記じゃないか。」

 日付は書かれていないが、たしかに日記だ。一日の出来事が書かれている。


『10人集められた。今日は他の人間を探した。が、いなかった』

『次の日。人が一人死んだ。犯人はだれだろう。今日は犯人捜しをして終わった。』

『次の日。また一人死んだ。前日にナイフを見つけた人が怪しいと、攻めた。』

『次の日。また一人死んだ。もう我慢できないと、リーダーが怪しい人を殴った。』

『もうだめかもしれない。リーダーも他のやつらも狂い始めた。俺も正常を保てるかわか』

『なか まわ  れだ このやか たはきけ ん   だ。おにも でた ここがみつかるのも  』

『もうだめだ。下で鬼が扉をたたいている。    今扉が破られた。終わったな。最後にこれを見るやつに伝える。な○×▽     』

 

 6日目から様子がおかしい。そして、次の日の日記はひどいな。最後に書こうとしたのか、字がぐちゃぐちゃで。最後の方は血がべったりついて読めない。

「俺達以外にも…いたのか?」

 それより気にするのは、三日目と四日目。どちらも人が死んでいる。ということは、明日また死ぬ可能性がある。

「くっ…早く見つけなければ…」



 結局。他のヒントは見つからず、食事をし、寝ることになった。が、ほとんどの人が、恐怖で眠れなかっただろう。が、その恐怖も増える一方となった。


 朝(暗い)

「くそっ…。起きていても…か。」

 起きてみると、ベットの上で血だらけの男。大工の海斗だ。一番最初に紙きれを見つけたのに…。

「海斗は、たしかに起きていた。だが…。おかしい。俺も起きていたのに、気づいたら死んでいた…」

 俺は寝ていたがな。だが、気づかないとは…

「くっくっくっく…ふふふ…」

 なぜか笑っている彰浩。なんだ?

「はっはっは!!こんな!こんな恐ろしいとこいられるかぁ!!俺は…俺は全員殺して外に出るぞぉ!!」

 手には昨日の本。全員殺せば自分は出れると知ったわけだ。

「落ち着け。第一。どうやって殺す気だ?俺達はこぶし一つで死ぬ輩じゃねえぜ?」

 ナイフは、真弘が持っている。あいつは武器一人持っていない。


「ふっふっふっふっふ…。それはどうかなぁ!!!」

「な!!?」

「お前!!?それをどこで!」

 やつの手には、猟銃。これなら人は殺せるだろう。

「梯子上ったらよぉ。あったんだよ!これがぁ!俺だけでも生き残ろうと隠したが!まさか他のやつら殺して出れるとはなぁ!好都合よ!」

 銃を持つ彰浩の手が震えている。どうやら慣れていないな。これなら…

「どうしたの!!?」

「うっせぇぇ!!」

 ズドンッ!!

 え…?


 扉の向こうで美紀さんの声があったかと思うと、そこに向かって彰浩が撃つ。そのまま倒れる音。

「あ…あ…美紀…ちゃん…?嘘で…しょ…?」

 扉の向こうでまた一人。多希の声だ。

「てめぇ!本当に撃ったな!」

「お…お…俺は悪くない……。悪いのは……こ、このゲームだ…」

「ぐッ…殺してやらぁぁぁ!!!」

 大輔が真弘が持っていたナイフを奪ってとびかかる。

「やめろ!大輔…!!」

 ズドンッ!!

「あ…ぐ…」

 撃たれた。また。

「ふ…ふは…。そうだ…このまま全員殺して……俺だけでもっ……―――   」

 彰浩がしゃべっていると、扉から包丁が飛んできた。そして、彰浩の頭に刺さる。

「こうするしか……こうするしか…ないでしょぉ…」

 投げたのは美祢だった。あの刺さり具合だと、即死だろう。

「あ……。そうだ。大輔!多希!」

 


 美紀は、頭に銃弾をくらい即死。無残にも顔の原型がなかった。大輔は腹にくらった。血が流れ、危険な状態だ。



「どうする?これで…。残りは、7人だ。この中に鬼はいなかったか…。」

 これは。やばいかもしれない。日記に書かれていた仲間割れが生じている。く…

「これは地獄のゲームだ…。人間が人間を疑って…そして、自分のために人を殺す。最悪だ…」

「私達は…一体何と…何と戦っているの……」

 


「ねえ。僕…まだ死にたくないよ…。なんで…こんなことに…」 

 栄基が丸まって震えている。すると、真弘が

「おい。お前ら、美紀の死体をどこへやった?見つからないんだが…」

「見つからない?たしか、空き部屋に死体は全部置いたはず…」

「美紀のだけないんだよ。どこへやった?」

 まさか死体が一人で歩くはずがない。なのになんで…



 夜になった。どうすれば殺害を止められるか…

「…よし。今日は、寝ずにいよう。全員。そして、全員集まっているんだ。」

「なるほど。それなら誰が殺したかわかる。しかも、うかつに鬼も動けないな。」

 そうだ。この中に鬼はいることは確か。しかし、さっきのように気づかないうちにやられる。ということが起きるかもしれない…。

「それもそうだ。どうやって殺したかもわからん。しかし、昨日は暗闇であった。なら、これならどうだ?明かりをつけておくんだ。マッチが残り2本。無駄のないようにしたい。」



「くそぉぉ!!なぜなんだ!なんでだ!」

 朝。これはもう怪奇現象だ。絶対に皆見える範囲にいた。なのに、気づけば一人死んでいた。本当に不思議だ。自分でもわからない。なぜ、その人をその瞬間見ていなかったか。

「一瞬。少し見ないだけでだぞ?しかも、この中のやつが動く気配もなかった。なぜなんだぁ!?」

 死んだのは多希だ。やっぱり血は乾いていた。


「くっ…。はっ…。お前が鬼だな!?」

 だいぶ落ち着いてきた大輔が指をさしていう。それは、美祢だ。

「お、お前は。あんなに遠い位置から包丁を投げて正確に頭にあてた。だったら、動かずに狙えるんじゃねえか!?」

「な、何を言っているの?それが本当なら、包丁が死体に刺さっているはずよ!そんなあなただって怪しいじゃない!動けないとか言って、暗闇の中を動いて殺したんじゃない!?皆は怪我人だから油断していた!」

「何を言う!そんなこと言って俺をはめようってことか!包丁なんて、お前の言う通り暗闇を通れば回収できるだろぉ!?」

 言い争う二人。すると

「仲間割れはやめろ。」

 真弘が言う。そう。仲間われをしてもしょうがない。今は何の証拠もないのだから。



 栄基がずっと震えている。大丈夫か?

「無理だ…もう。僕…怖い…。ぐぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

 栄基が走り出す。もうその目は正気の目ではなかった。ろうそくなしで階段を上がっていく。

「待てぇ!栄基!危険だぁ!追いかけるぞ。」

 

「どこへ行ったんだ?この辺のはずだが…」

 すると、奥の部屋から物音が。

「そこにいるのか。大丈夫だ。」

「そうよ。きっと出られるから。」

 そうだ。これ以上犠牲者を出せない。 真弘が扉を開ける。と、

「ぐっ…。栄基…」

「もう判断できる状態じゃなかったのね…」

 そこには、栄基がいた。ただし、首に縄がまかれていた。つまり、首つり自殺をしたのだ。物音は、縄が切れて体ごと落ちた音であろう。



「ねえ。私達。本当に脱出できるの?」

 璃々が言う。

「5人。結構減ったな。」

 半分か…。と考えていると、美祢がしゃべりだす。なぜか目からは涙がでている。

「ダメだわ…。ここまで減ったら…言うしかないじゃない…」


「どうした?美祢。言うって…」

「みんな。騙してごめんなさい。この紙を読めば。全てわかるわ。私は、これ以上……これ以上…」

 どうしたんだ?

「恐怖と罪に耐えられない!!!」

 そういって紙を渡す美祢。そこには、他の紙に書かれているカタカナとは違い。はっきりと書かれていた。


『これを最初に見た者につたえる。人数を10に合わせろ。すぐにこれの意味はわかる。合わせる方法はいろいろあるが、ここは調理場。しかも食料なし。意味。わかるかな?なお。これを他の者に伝えたとき。お前は   シヌ』


「!!?美祢!これは!……ぁ」

 美祢は動かなかった。なぜなら


 死んでいるから


「美祢!なんでこれを…。10人?どういうことなんだ!!」

 すると、璃々が走る。調理場の方だ。


「…これを見つけた。」

 それは、肉。なんの変哲もない美味しそうな肉だ。

「これは。多分。  人間の肉  」

 …え…。

「美祢はずっと。私達に人間の肉を食わせていた。」

 そ、そんな…

「多分。最初に食ったのが残っていた肉。前の人のだろう。」

 合わせる…?人数を?

「次にあの大工の肉。今見てみると、やつの死体がなかった。なんでいままで気づかなかったんだ…」

 10人…?

「で。この肉は美紀の。」

 そうか。そういうことだったのか。わかったぞ。あの顔だと、多分真弘も気づいた。すると、真弘が説明し始める。


「いいか?死んだのは。海斗・美紀・栄基・彰浩・美祢・多希・久三子の7人だ。だが、今ここにいるのは、俺・璃々・大輔・こいつの4人。はじめは確かに10人だった。つまり、一人増えている。」

「そ…。で。でも、誰?全員最初から…」

 数えると11人。なのに、10人最初。でも、最初に全員見たはず。なのに11人。

「わけがわからん…、記憶が食い違っている…、」

 …。誰が途中から入っていたんだ…。



「もう四人だ。それでも、自分が鬼だと白状する気はないんだな。どうするか…」

 鬼。というのはずいぶんと見つけにくいな…。く…。誰の可能性もない代わりに、誰でも鬼の可能性がある。これからは疑い合いが始まる。


「さて。できればこれ以上被害者を出したくないな。どうする?」

「いっそのこと。全員腕と脚を縄で縛れば?」

「…そうするか…」

 ということで、縛るのだが。それでは最後に縛る人がいない。だがら、全員を一つに縛った。

 俺の左手を真弘の右手。真弘の右手を璃々の左手。璃々の左手を大輔の右手。大輔の右手を俺の左手に結んだ。



「こ、この状態で…。一体何が…。なぜだ…」

 もはや気づく気づかないのレベルではない。一瞬明かりが消えた。そしてまたついた。すると、大輔が頭を食われ死んでいた。


「鬼…何者なんだ…。」

 実際。もう二択しかない。璃々か真弘か。真弘だって、カムフラージュの可能性もある。あんなに悩んで、実は鬼かもしれない。璃々も、落ち着いているという点を見て鬼かもしれない。



「ねえ。」

 璃々が口を開く。

「もしかして…。鬼ってさ…」

 わかったのか?それとも鬼のだまし?


「        自覚…ないのかな?        」


 自覚がない…?

「それは…。どういう…」

「つまり、鬼は自分で鬼って知らない。だから、私かもしれないし。こいつかもしれないし。真弘かもしれない。」

 で、でも。鬼は途中から入ってきたぞ?なんでそれでも自覚ないって…

「最初からいた……という記憶があったら?」

 え?

「もともと途中から入ってる人がいるのに、自分たちでは気づけない。これは、記憶が操作された証拠。」

 記憶を…?

「だったら、鬼に最初からいたっていう記憶を与えても不思議じゃない。」

 そんな…それじゃ…。鬼が見つけられない…


「そ…そんなの…嘘だ…。お、お前が鬼なんだな…。俺達を騙そうとして…。なあ。璃々?」

 真弘の目が一点に集中していない。狂ったか…

「私が鬼かもな。だが、お前かもしれない。」

 そこで更に追い風を与える。そんなことをすれば…

「う…うるせぇ…。鬼…殺す…!!」

 ナイフを取り出して璃々に襲い掛かる。璃々はギリギリの所で腕をつかんでとどまる。さすがに振り切る力はないだろう。早く引き離さないと。

「なあ。お前。」

 ん?俺?

「私。気づいたけどさ。」

 何を?

「お前の名前。なんで皆聞かなかったんだろ?私も、なぜか聞かなかった。」

 名前?俺の名前は…。…え?

「このゲームを仕切ってるやつ…最後にえげつないことするね…」

 名前…名前…。

「今気づかされても。この状態じゃどうにもできないよ…」

 名前…は?え?

「丁度前に見つけた爆弾がここに。丁度今使える。」

 く…え?ああ?

「君が鬼なのかもね。自覚ないと思うけど。」

 思い出せない…。というか…名前ない…?気づかなかった。で、でも。ちゃんと家も覚えてる…あれ?なんでこれは覚えているの?

「嘘つけぇぇ!!そんな魂胆にはのらんぞぉ!!」

 真弘がもう一つのナイフを取り出す。そして、璃々の腹にさす。

「あぐぁっ……。こうなってしまっては…ね。君。」

 ?

「もしかしたら、記憶操作で君は名前を忘れているだけかもしれない。だから、鬼じゃないかもしれない。でも、私にそれを調べる術もなければ。絶対そうだという根拠もない」

 何をいまさら…

「私はかけてみるよ。君にね。」

 どういう…。

「君の…勝ちだ。私達は…負けた…。」

 カチッ

 音がする。何の音だ?

「最後のお願いだ。君が鬼じゃないと思うなら、振り返らないで入口に向かって。ね。」

 入口?

「私は、人生最後に。このゲームの行方を決めてみたい。だから。鬼じゃないなら……行ってくれ…っ…」

 璃々がの力が抜けると同時に目を閉じる。俺は…。鬼じゃ…ない!!




 入口に向かう途中。後ろで爆発音が聞こえた。でも、振り返らずに向かった。すると、入口は開いていた。走った。俺は走った。自分の家の記憶を確かめに。外は暗かった。時計を見ると、夜の9時。久しぶりの本当の夜だ。


 そして、街につくと。気づいてしまったよ。振り返ってみると、鬼は周りの人を殺してきた。しかもランダムに。そして、今記憶が戻った。やっぱり記憶操作がかかっていたんだ。そう。俺は



                   [鬼ですよ]


     

           

 あなたはこの作品の謎を解明できましたか?まだ言っていない謎もありますよ。不可解なね。

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― 新着の感想 ―
[一言] 読んで(お!? これ、あのホラー作品を元にしているじゃないですか!)と思い、読み進めていくのが楽しくなってきました。 やっぱりちょっと、まだいまいち謎がわからないところがいくつかありました…
2013/08/16 20:31 退会済み
管理
[一言] 拝読させて頂きました。 次々と犠牲者が出て残りは主人公とヒロインあたりが生還するというのがホラー映画ではお馴染みの展開ですが、このお話ではモンスターが勝利してしまった訳ですね。 しかし、…
[良い点] 死に方の表現がうまいですね。なんだかクトゥルフみたいでゾクゾクしました。 文と文の間にちょうどいい間合いで空間を開けているのも、怖さを引き立てていますね。参考にさせてもらいます。 [一言]…
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