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第17話 龍の眼と未来

朝、俺が米沢城の広間から外を見ると、冷たい風が雲を押し流していた。


会津は遠藤基信が守りを固めつつ民の暮らしを整え、二本松は鬼庭左月と小十郎が田村氏と協力している。


相馬は片倉景綱が監視しつつ味方として動いてくれ、愛姫との婚姻の約束が俺と田村氏を繋ぎ始めていた。


戦いの熱が冷め、内政と外交が伊達家の基盤を広げつつあるけど、須賀川の二階堂氏の影が俺の頭から離れない。


その日の昼、輝宗が広間に俺を呼んだ。


俺が入ると、輝宗は地図を広げて俺を待っていた。


「梵天丸、田村氏との絆が固まり、相馬も我が風下に収まった」


「されど、陸奥の未来を切り開くには次の眼が必要じゃ。そなたの考えを聞かせよ」


俺は「うむ、父上」と一呼吸置いて答えた。


「田村氏と相馬が味方なら、須賀川を囲む風が吹き始めたと思う」


「内政で会津を豊かにしつつ、外交で南への道を確実にしたい」


「二階堂氏が動かぬ今が好機だ。こっちから仕掛ける準備を進めよう」


輝宗が「須賀川を仕掛けるか」と目を鋭くした。


「具体的にどう動く?」


「遠藤殿に須賀川の偵察を続けさせ、田村氏に協力を頼む」


「内政じゃ、会津に民の力を集める仕事を作り、米沢で支える」


「愛姫殿との婚姻を数年後に備え、田村氏との絆を深めたい」


輝宗が「偵察と協力、内政か」と頷いた。


「良き策じゃ。遠藤に須賀川を探らせ、田村氏に協力を求めよ」


「梵天丸、内政と未来の備えを進めよ」


俺は「了解だ、父上」と静かに決意した。


戦国の道は眼と風で切り開くものだ。


数日後、俺が広場で地図を手に風を感じていると、遠藤基信が会津から戻ってきた。


鎧に埃が付き、顔には疲れがにじんでいたが、目は冴えている。


「梵天丸様、輝宗様、須賀川の偵察の報せにござる」


「二階堂氏の兵は増えておるが、動きは鈍く、様子見の様子にござる」


「されど、城下に不穏な噂が流れ申した。『伊達が南を狙う』と民が囁いておる」


俺が「遠藤殿、それは気になるな」と少し眉を寄せた。


「二階堂氏が様子見でも、民の噂が動けば風が変わるかもしれぬ」


「噂の出所を探りつつ、偵察を続けてくれ」


遠藤が「はっ、梵天丸様の命に従い申す」と頷いた。


「須賀川の風をしっかりと掴み申す」


俺は「うむ、頼もしい。会津の民も頼りにしてるぞ」と軽く笑った。


遠藤が「梵天丸様の言葉、肝に銘じ申す」と頭を下げて去った。


俺は内心で少し焦った。


民の噂か。歴史じゃ読めない流れだな。


輝宗が広間に現れ、「梵天丸、須賀川の様子はどうじゃ?」と聞いてきた。


「父上、二階堂氏が様子見だが、城下で『伊達が南を狙う』って噂が流れてるらしい」


「遠藤殿に噂の出所を探らせてるよ」


輝宗が「噂か」と低い声で呟いた。


「田村氏が動けば、二階堂も動かざるを得ぬな」


俺は「うむ、父上。田村氏に協力を急がせよう」と頭を働かせた。


噂が風を起こすなら、こっちが先に吹かせなきゃ。


数日後、俺が広場で地図を広げていると、鬼庭左月が二本松から戻ってきた。


「梵天丸様、輝宗様、田村氏との交渉に進展がござる」


「愛姫殿との婚姻の約束が正式に固まり、数年後の縁を結ぶ使者が参り申した」


「田村当主が須賀川への圧力に兵を動かすと申してござる」


俺が「おお、それは良き報せだ」と穏やかに笑った。


「鬼庭殿、愛姫殿との縁が固まったなら、二本松が俺たちの柱になるな」


「須賀川への兵もありがたい」


輝宗が「梵天丸、田村氏の協力か」と俺を見た。


「うむ、父上。愛姫殿を数年後に迎えれば、田村氏との絆が揺るがぬものになる」

「須賀川への風も強まると思う」


鬼庭左月が「梵天丸様、田村氏が二本松から兵を動かす準備を進めてござる」と頷いた。


俺は「うむ、鬼庭殿に田村氏との調整を任せる。着実に進めてくれ」と静かに言った。


輝宗が「良き策じゃ」と決めた。


「鬼庭、田村氏との約束を進めよ」


「梵天丸、次の眼を定めよ」


俺は「了解だ、父上」と内心で胸が高鳴った。


愛姫との未来が近づいてる。


数日後、俺が広場で地図を見ていると、小十郎が跳ねるように近づいてきた。


「梵天丸様、二本松は安定し申した!」


「鬼庭殿と一緒に守りを固めて、次は何をしましょうか?」


俺が「小十郎、見事だな。二本松が落ち着いたなら、内政を手伝ってほしい」と穏やかに言った。


「会津の民に仕事を作る策を進めるから、米沢から米を送る準備を頼む」


小十郎が「仕事と米にござるか! 俺、梵天丸様と一緒に頑張り申す!」と目を輝かせた。


俺は「うむ、小十郎には二本松を守りつつ、俺の策を支えてほしい」と頭を整理した。


「民が豊かになれば、伊達家の翼も広がるよ」


小十郎が「はっ、梵天丸様の命に従い申す!」と元気に頷いた。


俺は「こいつ、いつも元気だな」と内心で苦笑した。


でも、その明るさが俺を励ましてくれる。


その夜、俺が米沢城の奥の間に行くと、義姫が灯りの下に座っていた。


窓から冷たい風が吹き込み、灯りが揺れている。


義姫が穏やかな目で俺を見てきた。


「梵天丸、そなた、田村氏との絆を固め、須賀川に風を吹かせようとしておるな」


「うむ、母上。愛姫殿との縁を進めつつ、南の動きに備えたい」


「内政で民の暮らしを整えれば、伊達家も強くなる」


義姫が静かに立ち上がり、俺を見つめた。


「そなた、戦を収め、内政と外交に眼を向けておる」


「母として、そなたの成長に心から安堵しておる」


「されど、愛姫殿との婚姻はそなたの未来を定めるもの。心して進めるが良い」


その声には戦国の母としての温かさと願いが込められていた。


俺が「母上、俺、慎重に進めるよ」と穏やかに笑うと、義姫が「うむ」と頷いた。


米沢の夜が静かに深まる中、義姫の言葉が俺の心に温もりを灯した。


数日後、俺が広間で輝宗と地図を見ていると、片倉景綱が相馬からの報せを持って戻ってきた。


「梵天丸様、輝宗様、相馬の当主が須賀川への圧力に協力すると申してまいり申した」


「田村氏との絆を強める伊達家を頼もしく思うと申しておる」


俺が「おお、それは良きことだ」と穏やかに笑った。


「片倉殿、相馬が協力するなら、須賀川への風が強まるな」


輝宗が「梵天丸、相馬の協力か」と俺を見た。


「うむ、父上。相馬と田村氏が揃えば、須賀川を囲む網が張れる」


「遠藤殿の偵察と合わせて、策を進めたい」


片倉景綱が「梵天丸様、相馬に兵を動かす準備を急がせ申す」と頷いた。


俺は「うむ、片倉殿に任せる。確実に進めてくれ」と静かに言った。


輝宗が「良き策じゃ」と決めた。


「片倉、相馬との協力を固めよ」


「梵天丸、次の風を準備せよ」


俺は「了解だ、父上」と内心で胸が高鳴った。


風が吹き始めた。


数日後、俺が広場で地図を手にしていると、遠藤基信が須賀川からの新たな報せを持って戻ってきた。


「梵天丸様、輝宗様、須賀川の偵察にござる」


「二階堂氏の兵は増えておるが、田村氏への斥候がさらに増え申した」


「噂が広がり、民の間に不穏な空気が漂い始めてござる」


俺が「遠藤殿、それは気になるな」と少し眉を寄せた。


「二階堂氏が田村氏を警戒してるなら、俺たちの動きに気付いてるのかも」


「噂の出所を掴みつつ、偵察を続けてくれ」


遠藤が「はっ、梵天丸様の命に従い申す」と頷いた。


俺は「これで須賀川の風が見えてきたな」と頭をフル回転させた。


歴史の流れが俺の手で動きつつある。


その日から、伊達家の風が新たな力を帯び始めた。


遠藤基信が須賀川の偵察を続け、鬼庭左月が田村氏の兵を動かす。


片倉景綱が相馬の協力を固め、小十郎が内政を支える。


輝宗が「陸奥の未来が我が手に近づいた」と呟いた。


俺は「戦国の道は眼で見て、風で進む」と静かに感じた。


隻眼の龍として、米沢から陸奥を切り開く戦いが、今新たな未来に向かって動き出していた。



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