第14話 龍の基盤
朝、俺が米沢城の広間から外を見ると、薄い雲が空を覆っていた。
会津は遠藤基信と須田伯耆がしっかりと押さえ、二本松は鬼庭左月と小十郎が守りを固めている。
相馬は片倉景綱と亘理元宗が監視し、降伏の条件を守らせている。
留守政景と白石宗実が米沢を支え、戦いの嵐がひとまず落ち着いたように感じる。
だが、俺の頭の中じゃ、次の歩みがすでに動き始めていた。
その日の昼、輝宗が広間に俺を呼んだ。
「梵天丸、会津と相馬を押さえ、陸奥の北が我が手に落ちた」
「されど、戦ばかりが国の道ではない。内政と外交をどう進めるか、そなたの考えを聞きたい」
俺は「うむ、父上」と少し考えてから答えた。
「戦で得た土地を固めるには、民の暮らしを整えるのが大事だと思う」
「会津や二本松の民が落ち着けば、伊達家の力も強くなる」
「それと、相馬との縁を深めて、外交でも陸奥を広げたい」
輝宗が「内政と外交か」と目を細めた。
「具体的に何を進める？」
「まずは会津の復興だ。遠藤殿と須田殿に民の暮らしを整えるよう命じたい」
「米沢からも食料や材木を送って、城下を立て直す」
「外交じゃ、相馬との婚姻を考えるのも良かろう」
輝宗が「婚姻か」と呟いた。
「相馬との縁を結べば、南への道が開けるかもしれぬな」
「うむ、父上。相馬との絆を固めれば、須賀川への進みも楽になる」
「俺、具体的な策を練ってみるよ」
輝宗が「良き策じゃ」と頷いた。
「遠藤と須田に会津の内政を任せ、相馬との交渉を進めよ」
「梵天丸、策を急げ」
俺は「了解だ、父上」と静かに決意した。
戦だけじゃなく、内政と外交で伊達家を強くする時が来た。
数日後、俺が広場で地図を見ていると、遠藤基信が会津から戻ってきた。
「梵天丸様、輝宗様、会津の状況にござる」
「城は我が手に落ち、民も降伏し申したが、戦で荒れた田畑が多く、食料が不足し申す」
俺が「遠藤殿、良き報せと課題だな」と少し笑った。
「会津の民を落ち着かせるには、まず食料だ」
「米沢から米を送り、田畑の復興を手伝ってくれ」
遠藤が「梵天丸様の申す通り、食料があれば民の心も安定し申す」と頷いた。
「須田殿と協力し、城下を立て直し申す」
俺は「うむ、それで良し。会津が落ち着けば、次の歩みが進めやすくなる」と頭を働かせた。
輝宗が広間に現れ、「梵天丸、会津の内政を遠藤に任せるか」と聞いてきた。
「うむ、父上。遠藤殿と須田殿なら、会津をしっかりと固めてくれる」
「俺、米沢の備蓄を調べて、どれだけ送れるか確認するよ」
輝宗が「良き策じゃ」と決めた。
「遠藤、会津の民を落ち着かせよ」
「梵天丸、米沢の備蓄を整えよ」
俺は「了解だ」と内心で少し緊張した。
戦後の復興は戦い以上に根気が必要だ。
その日の夕方、俺が米沢の蔵を調べていると、中野宗時が近づいてきた。
「梵天丸様、米沢の備蓄にござる」
「この秋の収穫は豊かで、米を会津に送る余裕が十分にござる」
俺が「中野殿、それは良き報せだ」と穏やかに言った。
「会津に米を送れば、民の暮らしが少し楽になるな」
「ついでに材木も送って、城下の復興を早めたい」
中野宗時が「材木も手配でき申す。米沢の山から切り出せば間に合い申す」と頷いた。
俺は「うむ、頼もしい。中野殿に手配を任せたい」と頭を整理した。
「会津が立て直れば、伊達家の基盤が強くなる」
中野が「はっ、梵天丸様の命に従い申す」と頭を下げた。
俺は「これで一歩進んだな」と静かに満足した。
内政が整えば、戦の疲れも癒える。
数日後、俺が輝宗と広間で話していると、片倉景綱が相馬からの報せを持って戻ってきた。
「梵天丸様、輝宗様、相馬の状況にござる」
「降伏の条件を守り、二本松への兵を全て引き揚げ申した」
「相馬氏の当主が使者を送り、伊達家との縁を深めたいと申してまいり申した」
俺が「おお、それは良きことだ」と少し驚いた。
「片倉殿、相馬が縁を求めてきたなら、婚姻の話が進むかもしれぬな」
輝宗が「婚姻か」と俺を見た。
「梵天丸、相馬との縁をどう結ぶ？」
「父上、相馬の当主に娘か妹がいれば、俺か誰かと婚姻を結ぶのが良いと思う」
「そうすれば、相馬が裏切る心配も減るし、南への道が開ける」
片倉景綱が「梵天丸様の申す通り、婚姻は相馬との絆を固める策にござる」と頷いた。
「拙者、相馬の使者と交渉し、話を進め申す」
俺は「うむ、片倉殿に任せたい。相馬との縁が固まれば、外交で一歩リードできる」と頭を働かせた。
輝宗が「良き策じゃ」と決めた。
「片倉、相馬との交渉を進めよ」
「梵天丸、婚姻の相手を考えるが良い」
俺は「了解だ、父上」と少し緊張した。
婚姻なんて歴史ドラマでしか見たことないけど、これも戦国の道だ。
その夜、俺が米沢城の奥の間に行くと、義姫が灯りの下に座っていた。
戦国の風が窓から冷たく吹き込み、灯りが揺れている。
義姫が穏やかな目で俺を見てきた。
「梵天丸、そなた、会津の民を救い、相馬との縁を深めようとしておるな」
「うむ、母上。戦で得た土地を固めるには、内政と外交が大事だと思う」
「相馬との婚姻も考えてる」
義姫が静かに立ち上がり、俺を見つめた。
「そなた、幼き身にて戦のみならず、国の基盤を築こうとしておる」
「母として、そなたの志に安堵しておる」
「婚姻は伊達家の未来を繋ぐもの。慎重に進めるが良い」
その声には戦国の母としての温かさと覚悟が込められていた。
俺が「母上、俺、慎重に進めるよ」と穏やかに笑うと、義姫が「うむ」と頷いた。
米沢の夜が深まる中、義姫の言葉が俺に新たな力を与えてくれた。
数日後、俺が広場で地図を見ていると、小十郎が元気に近づいてきた。
「梵天丸様、二本松は落ち着き申した！」
「鬼庭殿と一緒に守りを固めて、次は何をしましょうか？」
俺が「小十郎、良き働きだ。二本松が安定したなら、次は内政と外交だな」と静かに言った。
「会津の復興を進めつつ、相馬との縁を固める」
小十郎が「相馬との縁にござるか！ 俺、梵天丸様と一緒に頑張り申す！」と目を輝かせた。
俺は「うむ、小十郎には二本松を鬼庭殿と守ってもらいつつ、俺の策を支えてほしい」と頭を整理した。
「戦だけじゃない道が始まるよ」
小十郎が「はっ、梵天丸様の命に従い申す！」と頷いた。
俺は「これでまた一歩だ」と胸が静かに熱くなった。
戦国の流れが内政と外交に広がりつつある。
数日後、遠藤基信が会津から新たな報せを持って戻ってきた。
「梵天丸様、輝宗様、会津の民に米と材木を送り申した」
「田畑の復興が始まり、城下も少しずつ落ち着きを取り戻し申す」
俺が「遠藤殿、見事だ。民が落ち着けば、会津は我が家の柱になるな」と穏やかに笑った。
「須田殿と協力して、この調子で進めてくれ」
遠藤が「はっ、梵天丸様の命に従い申す」と頭を下げた。
輝宗が「梵天丸、会津の内政は順調か」と聞いてきた。
「うむ、父上。遠藤殿と須田殿がしっかり進めてくれてる」
「次は相馬との婚姻を具体化したい」
輝宗が「婚姻か」と頷いた。
「片倉に進捗を確かめよ」
俺は「了解だ」と頭を働かせた。
内政が整い、外交が進めば、伊達家の基盤はさらに強くなる。
数日後、片倉景綱が相馬からの使者を連れて戻ってきた。
「梵天丸様、輝宗様、相馬の当主が婚姻を前向きに考えておると申してまいり申した」
「当主の妹を伊達家に嫁がせ、縁を結びたいとのことにござる」
俺が「おお、それは良き報せだ」と静かに喜んだ。
「片倉殿、相馬の妹か。俺が娶るべきか、それとも他に適任がいるか考えてみるよ」
輝宗が「梵天丸、そなたが娶るか？」と俺を見た。
「うむ、父上。俺が5歳じゃまだ早いが、数年後に備えて縁を結んでおくのも良いと思う」
「相馬との絆が固まれば、須賀川への道も開ける」
片倉景綱が「梵天丸様、数年後の婚姻なら相馬も納得し申すやもしれぬ」と頷いた。
「拙者、相馬と話を進め、条件を整え申す」
俺は「うむ、片倉殿に任せる。ゆっくり確実に進めよう」と決意した。
輝宗が「良き策じゃ」と決めた。
「片倉、相馬との婚姻を進めよ」
「梵天丸、次の歩みを準備せよ」
俺は「了解だ、父上」と内心で次の未来を見据えた。
戦国の道は戦いだけじゃなく、内政と外交で広がっていく。
その日から、伊達家の基盤が少しずつ固まり始めた。
遠藤基信と須田伯耆が会津の内政を進め、鬼庭左月と小十郎が二本松を守る。
片倉景綱と亘理元宗が相馬との外交を進め、留守政景と白石宗実が米沢を支える。
中野宗時が米沢の備蓄を管理し、戦後の復興が形になりつつある。
輝宗が「陸奥の基盤が整いつつある」と呟いた。
俺は「これが戦国の道か」と静かに感じた。
隻眼の龍として、米沢から陸奥を切り開く戦いが、今新たな基盤を築き始めていた。
