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第10話 二本松からの返答と新たな動き

その日の昼、米沢城の広間に輝宗、俺、遠藤基信、鬼庭左月が集まった。


遠藤が二本松から戻ったばかりだ。


威厳ある輝宗が座ってるけど、空気がピリッとしてる。


何か裏があるんじゃないかって緊張感が漂う。


「梵天丸、遠藤が二本松から戻った」


「二本松の田村氏との話がまとまり申した」


輝宗の渋い声が響いて、遠藤が一歩前に出た。


「田村氏は『蘆名氏の動きを共に警戒する』と申してござる」


「二本松から米沢への道を協力して守る用意があるとのことにござる」


「されど、会津からの斥候がさらに増え申した」


「蘆名氏が何か企んでおるやもしれぬ」


鬼庭左月が


「相馬の静けさも不気味にござる」


と低く補足した。


「二本松と手を組むなら、次は相馬への目配せが急務にござる」


俺は内心で


「おお、キター!」


とテンション上がった。


歴史じゃ、田村氏は伊達家と姻戚関係にありつつ、蘆名氏とも微妙なバランスを取ってる。


二本松が味方なら、会津の蘆名に圧力かけられるチャンスだ。


「了解、父ちゃん、田村氏と手を組むなら、次は相馬に使者を送って様子を見ようぜ」


「会津の蘆名が二本松で動いてるなら、こっちも一気に仕掛ける準備が必要だ」


輝宗が一瞬黙った。


広間の空気が一層張り詰めて、遠藤と鬼庭が微かに目を動かした。


「相馬か・・・・・・確かに、南からの動きを見逃せぬ」


「蘆名に圧力をかけるには、二本松と相馬の両方を押さえる策が有効にござる」


遠藤が


「相馬への使者は拙者が務め申してもよろしゅうござる」


と進言した。


「されど、蘆名が二本松で動くとなれば、米沢の守りも固めねばなり申さぬ」


「その通りだよ、遠藤さん」


「相馬に使者を送るなら、俺は米沢で次の策を考える」


「例えば、二本松と米沢の間に見張りを置いて、蘆名を牽制するってのはどうだ?」


輝宗が


「ほう」


と低く唸った。


鬼庭左月が


「見張りとは賢明にござる」


と頷いた。


「蘆名が動けば即座に報せが入り、米沢から援軍を送れ申す」


「良き策じゃ。遠藤、相馬へ使者として向かえ」


「鬼庭、二本松と米沢の見張りを手配せよ」


遠藤と鬼庭が


「はっ!」


と揃って頭を下げた。


俺は「これで一歩リードだ」と内心でニヤけた。


でも、蘆名がどう出るか、相馬がどう動くか、緊張感が背筋を走った。


その夕方、米沢城の奥の間で義姫が待ってた。


気高く柔らかな佇まいが、戦国の風情を纏ってる。


木の床が軋み、部屋に藁の香りが漂う。


手に持った椀を置いて、義姫が静かに口を開いた。


「梵天丸、そなた、輝宗とまた戦の話をしておったな?」


「うん、母ちゃん。二本松の田村氏と手を組んで、次は相馬に使者を送るって決めたんだ」


「会津の蘆名が動いてるみたいでさ」


俺が言うと、義姫が


「相馬にまで・・・・・・?」


と目を細めた。


「そなた、幼き身にて斯様な戦の渦に飛び込むとは」


「母として、心が乱れ申す」


「大丈夫だよ、母ちゃん。俺、体は大事にするから」


俺が笑うと、義姫が静かに首を振った。


「そなたの志は頼もしくもあり申す」


「されど、蘆名は強敵にござる」


「二本松、相馬と手を広げるは良き策にござるが、敵も増え申すやもしれぬ」


「そなたが無事であれば、それで良し」


「くれぐれも、無理はせぬようにな」


その声に深い母性が滲んでて、戦国の荒々しさの中で静かな決意が感じられた。


米沢の冬が近づく中、義姫の言葉が俺を温めてくれる。


「わかった、母ちゃん。心配かけないようにするよ」


俺がニヤッと笑うと、義姫が「うむ」と頷いて、穏やかに微笑んだ。


その笑顔が、戦国の日常に宿る灯火だった。


数日後、遠藤基信が相馬へ向けて出発した。


鬼庭左月は二本松と米沢の間に見張りを配置する手配を進めていた。


米沢城の広間で、輝宗と俺が次の策を話し合ってると、小十郎が自然に現れた。


「梵天丸様、相馬への使者が動き申したな」


「拙者、見張りの手配を手伝っており申した」


純粋な目がキラキラしてる。


「おお、小十郎。いい仕事してるじゃん」


「相馬への使者がうまくいくといいな」


俺がニヤッと笑うと、小十郎が


「はい、梵天丸様!」


と元気に頷いた。


そこに、鬼庭左月が戻ってきた。


「二本松と米沢の見張りが整い申した」


「田村氏からも協力の者が加わり、動きが早うござる」


輝宗が


「ふむ」


と頷いて、俺を見た。


「梵天丸、相馬への使者が戻るまで、米沢の守りをどう固める?」


「父ちゃん、俺、二本松と米沢の見張りを増やすだけじゃなく、家臣を集めて訓練始めたい」


「蘆名が動いたらすぐに対応できるようにさ」


輝宗が


「訓練か・・・・・確かに、備えは急務」


と頷いた。


鬼庭が


「梵天丸様の申す通り、家臣の力を固めねばなり申さぬ」


と賛同した。


「拙者、見張りと訓練の調整を急ぎ申す」


小十郎が


「拙者も手伝い申す!」


と目を輝かせた。


「梵天丸様の下で、伊達家を守る力になり申す!」


「お前ら、頼もしいな。一緒にやろうぜ」


俺が笑うと、鬼庭と小十郎が


「はっ!」


と声を揃えた。


熱い結束の力がビリビリ伝わってきて、俺の胸がドクンと高鳴った。


米沢の家臣たちが一丸になって、戦国での土台が固まっていく。


数日後、遠藤基信が相馬から戻ってきた。


米沢城の広間に輝宗、俺、鬼庭左月、小十郎が集まった。


遠藤が渋い声で報告した。


「相馬氏は『蘆名氏の動きに警戒しておる』と申してござる」


「されど、『伊達家との協力は様子を見て決めたい』との返答にござる」


「二本松の動きを見ておるやもしれ申さぬ」


輝宗が「ふむ」と頷いて、俺を見た。


「梵天丸、相馬が様子見とは、如何に思う?」


「父ちゃん、相馬が様子見なら、こっちが動いて見せるしかないよ」


「二本松と米沢の見張りを強化して、訓練で家臣の力を示そう」


「相馬に『伊達家は本気だぞ』ってプレッシャーかけるんだ」


鬼庭が


「相馬が動かぬなら、蘆名への備えが急務にござる」


と呟いた。


「会津からの斥候が増えておるのが気になり申す」


遠藤が


「二本松の田村氏とも連携を深め、蘆名を牽制すべきにござる」


と補足した。


「了解、遠藤さん、鬼庭さん」


「じゃあ、次は二本松に再度使者を送って、連携を固めよう」


「相馬には訓練の噂を流して、動くか様子見か決めさせようぜ」


輝宗が


「良き策じゃ」


と頷いた。


「遠藤、二本松へ再度使者を送れ」


「鬼庭、訓練を急げ。梵天丸の策を活かすぞ」


遠藤と鬼庭が


「はっ!」


と頭を下げた。


小十郎が


「拙者も訓練に励み申す!」


と目を輝かせた。


俺は「これで一歩前進だ」と内心でニヤけた。


会津の蘆名、二本松の田村、相馬の動きが交錯する中、俺の戦国が新たな局面に突入した。


その日から、動きが加速した。


遠藤が二本松へ再び向かい、鬼庭と小十郎が訓練を始めた。


米沢の城下では、家臣たちが槍や弓を手に汗を流してる。


緊張感と歴史的風味が混ざり合って、俺の戦国が動き出した。


隻眼の龍として、米沢から陸奥を、そしていずれは日本をぶち抜く第一歩が、今ここにある。



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