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神告

作者: 雉白書屋

 聖書によると神は全能であるらしい。ならば未来を、自分がとった行動その結果も知れたはずだ。

 知恵の実を作り、それを蛇に唆されたイヴとアダムが食すのも知っており、そして二人を追放することもわかっていた。もっと強く警告かつ、直前で阻止してくれればよかったものを、わかった上でアダムとイヴが困惑する様子を眺め、楽しんでいたのだ。

 ……いや、そう楽しんでもいなかったのかもしれない。楽園を追放され途方に暮れることも知っていたはずだ。

 ……いや、自身が未来を知ろうとしなければ、知ることもないのかもしれない。全能ならそれもまた自由なはずだ。あえて、どうなるかを楽しんでいたのかも。それでもその超越した存在。神であるゆえに、ある程度想像はついてしまっていただろうが。

 

 それにしても、だ。ただ眺めるだけなんて退屈じゃないのか? 

 人間……生まれ、愛し合い、結婚し、子を授かりそうやってバトンを繋ぎ、幸と不幸に翻弄されるというそのスケールを大きくしたものが人類の歴史。繫栄しては災害や戦争に脅かされ、その繰り返し繰り返しで、先の想像もついているなら、ああ、まるで子供の人形遊びだ。

 我々に手を差し伸べることはせず、助言もくれずただ眺める。飽きるか人類の終焉まで。

 ……あ、いや、そうか。人類の終わりとは神が我々に飽きた瞬間なのでは。そしてそれは、え、なぜ全員、顔を見合わせたんだ。しかもまるで、同じことを考えていたという顔をして……。

 でも、そうだ……なぜ私は今、道を歩きながら急にこんなことを考え始めたんだ?

 神の存在など、まったくと言っていいほど信じていないのに……。そしてそれを今まで気にすることすらなかったのに……。


 え、あ、そうか、これは告示。


 あ、みんな、いと、が、きれた、ように………………

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