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第4話:初めてのダンジョンへ

カイル:

主人公。顔に大きな傷跡が2つついている茶髪の冒険者。

現在はボロ拠点で生活中。


ノドカ:

カイルと一緒に生活する黒髪黒目の少女。

日本からの転生者。

今は太刀を持って見習い冒険者兼カイル専用メイドとして活躍中!

ノースウッドの街から帰ってきた翌日、俺たちはノドカを鍛えるため拠点近くにあるダンジョンに来ていた。


このダンジョンは拠点から数十分歩いた山肌の洞窟にあり、中はかなり広い。


素材集めも兼ねて5層まで行ったことあるが、まだまだ広がっている雰囲気を感じた。


だから奥に行けばいい稼ぎ場所になるのだが、今日はノドカの鍛錬がメインだから浅い層を探索する。


レザー装備を身にまとって太刀を担いだノドカは、心なしか緊張した顔持ちだ。


「まずは初心者でも倒せるスライムを相手にしてもらう」


「え?スライムってプルプルした弱いモンスターですよね?」


「……その認識だと死ぬぞ」


それくらい楽勝ですよと顔に書いているノドカを見たら、絶対にコイツだけで外に出してはいけないと考えてしまう。


「いいか?スライムは魔石の周りに液状のジェルがまとわりついた魔物だ」


「ふむふむ」


「この液状のジェルはスライムの種類によって効果が変わってくるが、最低ランクのスライムでも人間を溶かすことはできる」


「はいぃ!?」


「そしてスライムはジェルを筋肉代わりに扱うから、纏わりついてジェルを動かすだけで簡単に人間の骨は折られる」


「つ、強すぎません!?」


……コイツ、動物を狩る感覚で魔物を狩ろうとしていたのか?


「だからスライムと出会ったら、中心にある魔石を狙え。それ以外のところを狙ってもダメージは与えられない」


「分かりました!」


先ほどとは違い、ノドカは少し引き締まった表情をしたようだ。


「そして同じ階層には、ゴブリンという魔物もいる」


「あぁ~。女をさらってエッチなことをしちゃう嫌われモンスターですか?」


「だいたい合っている。何回かこのダンジョンに入っているが、女を飼っているほど大きな巣は無かったから安心していいぞ」


「うわぁ~本当にいるんだぁ」


「異世界にもいたのか?」


「いませんよ。物語に出てくる定番のモンスターっていうだけで、実際に見たことはないですねぇ」


「そうか。ゴブリンは棒状のものを武器にして襲い掛かってくる危険な魔物だ。油断したら一瞬でやられる」


「自分の貞操のためにも、気をつけますよぉ」


本当に分かっているんだろうか?


これ以上は実際に戦ってみないと分からないだろうから、説明を切り上げてダンジョンを進めることにした。


ダンジョンに潜って数分後、初めての魔物のスライム1体が俺たちの前を横切った。


念のため俺はすぐに助けられるよう大剣を引き抜いてマドカの横に立ち、戦闘を開始するように告げる。


ノドカは太刀を鞘から取り出すと、油断しているスライムに袈裟切り。


だが魔石に当たらなったようで、スライムはすぐに身を翻してノドカに体当たり攻撃を繰り出してきた。


ノドカにまだ回避行動は無理だと思って助けに向かったが、このスライムの攻撃がノドカに当たることはなかった。


俺がノドカを助けようと太刀で守ったからでもなく、スライムが変なところに飛んだからでもなく、ノドカが身体を傾けて避けたからだ。


俺はその身体捌きを見て見事だと言いかけるが、避けた体勢から戻れずノドカは盛大に頭からこけた。


予想外の回避行動に驚くスライム、地面に頭を沈めたままのノドカ、何でそうなったんだと叫びたくなる俺、全員が一瞬固まる。


色んな考えを逡巡するが、とにかく俺は大剣の肉厚な身幅をスライムに当て、壁にぶつけて討伐を完了させた。


俺は一息ついてから俺はノドカに手を差し伸べながら


「ほれ。大丈夫か?」


ノドカはその手を掴むとやっと頭を上げたが


「これが初めての戦闘とか、あんまりだ~」


と泣いていた。


初心者冒険者ならあり得ることだと、可能な限りフォローしたが泣き止んではくれなかった……。


その後、1階層を探索し続けてスライムを4体、ゴブリンを2体倒した。


ノドカの剣捌きは俺が思っていたほど悪いものではなかった。


回避の直感については俺以上かもしれないが、身体が付いてきていないのが残念だ。


「ノドカ、まだいけるか?」


「ま、まだまだい、いけますよぉー!」


息を切らしながらノドカは太刀をブンブン振って強がる。


「おい!武器を振り回すな!」


そう言い終わる前に、振り回された太刀が洞窟の天井にぶつかり、そのお返しだとばかりに大きな石がノドカの頭に直撃する。


「おい、大丈夫か!」


俺は慌ててノドカの元まで駆け寄る。


するとノドカは右手でサムズアップした後、気絶した。


「こいつを担いで帰らなきゃならんのか……」


そう言いつつ、俺はスライムを2体とゴブリン1体を瞬殺して拠点に帰ってきた。


頭に大きなたんこぶを作りながら、装備から制服に着替えているノドカに感想を聞く。


もちろん着替えを見ないよう、俺はノドカとは反対の方向を向いている


「どうだ?魔物を狩った感想は」


「体力と筋力が、これでもかというくらい足りないが分かりましたね」


まぁ俺もそう思う。


「あとゴブリンを倒した後、魔石を取り出す作業は慣れませんね」


あの作業は初心者冒険者にとって大きな壁となる。


そりゃさっきまで生きていた魔物の身体に手を突っ込んで魔石を取り出すんだから、初心者で慣れている方がおかしいか。


「魔石を取り出す作業はこれから何回もするから、慣れてくるさ」


初心者なら誰でも通る道なのだから、今から慣れさせるのが1番である。


「あと、武器は振り回すな。そして油断するな」


「はいはーい!」


分かったのか分かっていないのか、どちらとも言えない返事を返してくる。


ノドカと一緒に野営してから、ずっと彼女はこの調子だ。


もしかすると、これが彼女の本当の性格なのかもしれない。


そう思いながら俺は、武器を持って立ち上がる。


「どうしましたカイルさん。なにか忘れ物ですか?」


「周囲の魔物と動物を狩ってくる」


周囲の魔物を狩るのは拠点が襲われないようにある程度間引くため、動物は食料としてだ。


「魔物は分かりますが、動物を狩る必要はありますか?食料ならありますよ?」


そう、食料なら一昨日ノースウッドの街で買っている。


だが俺としては不測の事態に備え、保存食として置いておきたい。


それをノドカに伝えるとすぐに納得してくれたので、そのまま俺は拠点の周囲を探索した。


街に行く前に仕掛けておいた動物用の罠に、獲物がかかっていないか確認しながら周囲の魔物を狩っていく。


その結果、野生の小型動物2体とゴブリン6体、野生の狼をより凶暴にしたウルフを3体狩ることができた。


ノドカが作ってくれた夕食を食べながら、明日の行動を決めていく。


「明日は可能ならノースウッドの街に行こう」


「え?またあそこまで歩いていくんですか?遠いからやだなぁ」


そこまで嫌そうな顔ではないから、ノドカ特有のテンプレ反応だと思いそのまま話を進める。


「今回の目的は素材の換金と、ギルドの依頼受注、そして情報収集だ」


まずギルドの依頼受注だが、せっかく魔物を狩るなら報奨金を貰った方がいいし、なにより冒険者としての実績にもなる。


そして情報収集は、先ほど狩ったウルフについてだ。


縄張り意識の高いウルフがこの辺りに現れたということは、新しい集団がこの地にやってきた可能性が高い。


それなら街の方にも何かしら情報が入っているはずだから、それを知りたいということだ。


そうノドカに説明したら、あっさりと了承してくれた。


これにより、再びノドカと共にノースウッドの街へ行くことが確定した。


    *    *    *    *    *    *


その頃、ノースウッドの街の領主屋敷。


偉そうな服を着た恰幅の良い男性が、綺麗な黄色のドレスを身にまとう美女に質問する。


「ここにやってきたということは、やっと私の妾になる決心はついたのかね?」


美女の代わりに、その横にいた男性が答える。


「領主様、大変嬉しいご提案なのですが、私どもはただの旅商人。領主様の位に見合った者ではございません」


領主と呼ばれた男は、それに答える。


「気にするでない。私は寛大な心を持っているので位など気にはせん。ほれ、お前の後ろを見ろ。私の大切な愛妾たちだ」


男性が後ろを見ると、綺麗なドレスと髪型をした美女たちが所狭しと並んでいたが、どの美女も俯きがちで暗い顔をしている。


男性はすぐに領主と呼ばれた男に向きなおり


「それは大変喜ばしいことです。ぜひそのお話を受けるためにも、明日までに娘を説得させていただきます」


そう言って男性とその娘である美女は退出していった。


その後ろ姿を、領主は舌なめずりをしながら見ていた。

他にもダンジョンはある設定ですが、今のところ出す予定はないです。


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