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強欲な願いの果てに  作者: 犬猫シャワー
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~何を成し遂げ、死ぬ~

-勇者に憧れていた。

人々を救い、世界を救い、悪しき世界の敵、その象徴ともいえる魔王を、聖なる剣と頼れる仲間の絆で打ち倒す。


-英雄に憧れていた。

立ちはだかる国の危機、人々は怯え、ただ死を待つばかり。そんな状況を己の武と智を頼りにひっくり返す。


-賢者に憧れていた。

正体不明の疫病や事件。誰もが頭を悩ませながらも、必死に解決せんと奮起するも解区ことが出来ない。それをあっという間に解決し、人々から「かの賢者ここにあり」と称えられる。


もちろん知っていたとも。そんなものは存在しないと。物語や遥か歴史上の存在だと。

だが、思ったのだ。叶わない夢であることは百も承知。人に言えば白い目で見られるであろう。それでも、憧れのような存在になりたいと。少なくとも、憧れに近しいような存在となりたいと。どんな壁があろうと、絶えることのない努力をし、人々に称えられるようになってみせると。

いつからだろうか。夢が、憧れが諦観の波にのまれていったのは。

己の才能に絶望し、泥にまみれながらも努力することを格好が悪いと思ってしまうようになったのは。

分不相応のプライドを持ち、誰かを見下し、他者の噓か誠かもわからない噂を耳にしては、罵る。そのくせ、嘘と分かればまるで自分は最初から知っていたと賢者ぶることで自らのプライドを保つ。そんなつまらない人間になったのは。


もう一度と願った。次こそはと願った。分不相応な強欲を抱えたからだろうか。生れ落ちてまず目に入った光景は、血漿の飛沫と砂塵の舞う戦場であった。

「ここは一体…?」

ポツリとそうつぶやく自分に向けて、金髪の鎧と槍を持つ男が肩をつかみ揺さぶりながら叫んだ。

「起きろ!何呆けてんだ、レイ!早く準備しろ!糞ったれどもが来るぞ!」

「は? お前は誰だ? っていうかここは一体どこだ?」

理解の追い付かない状況に困惑しつつも尋ねる。

「何言ってんだてめえ?!」

金髪の男は、そう叫ぶと一息息を吸い

「お前、まさか…、糞ったれがぁ!今ここで呆けやがったか!」

とまるで信じたくないように悪態をつくと早口に叫んだ。

「いいか、時間がねえからよく聞け! お前の名前はルナールで、俺はリヤンだ。

今からくる化け物をてめえの持ってる槍でついて殺せ!今日が終わって俺たちが無事だったら、全部話してやる!」

「は? 化け物? 殺す?一体どういう…?」

そう言い切る前に何かが迫ってくるような轟音が聞こえてくると同時に、

目の前の金髪の男、リヤンと名乗る少年が矢継ぎ早に話す。

「そーら、来やがったぞ!見ろ!糞ったれどものお出ましだ!」

その言葉を受けまるで塹壕のような穴から目の前の柵を覗いてみると、まるで見たこともないような黒い化け物たちが地平線を埋め尽くすかのようにこちらに向かってきていた。

まるで意味の分からない光景とそれに合わせるかのような自分の鎧装束をまとい槍と剣を持ってる姿に混乱しながら震えていると、

「なに、大丈夫だ。ちゃんと助けてやんよ、親友!」

と笑いながらリヤンは肩をたたいて話しかけてきた。何もわからない状況で何を信じ、どう行動すればよいかもわからない。それこそまるでおとぎ話の中にでもいるような状況だが、何故か目の前の男は信じてよいような気がした。

そうこうしている間にも轟音はどんどん近づいてきていた。

「槍、構えぇぇぇぇ!」

どこからかそんな声が聞こえてくるとリヤンを含め一斉に槍を敵に向けて構えている。

見よう見まねで構えてみると、リヤンが突然、

「いいか、号令と同時に槍をついてひいてを繰り返すんだ。槍を持ってかれないように注意しろよ!」と言った。

「あ、あぁ、わかった」

そう混乱する頭で何とか答えると、後ろから轟音が聞こえた。なんだと思い少し上を見ると、矢の雨が化け物に目がけて降り注いでいた。それに驚きつつも、化け物のほうを見ると、矢で死ぬ化け物たちを物ともせずに新たに無傷な化け物たちが自分たちの柵のほうによって来ていた。

恐怖心で一刻も早く逃げ出したい気持ちを押さえつけ、

-ここでにげたってどうしようもないだろ!逃げ場所も此処がどこかもわからないんだ…

そう自分の言い聞かせていると、またどこからか「突けぇぇぇぇ!」という声が聞こえてきた。逃げ出したい気持ちを抑え何とか柵の隙間から槍を突き出すと、気持ち悪い感覚とまるで車にぶつかったような衝撃が手に伝わる。思わず手を槍から話してしまうと、目の前の柵に目がけて新たな化け物が向かってきているのが分かった。

-死んだ―

そう思った瞬間、目の前の化け物目がけて槍が飛んできた。

「グゥゥゥ……」

唸りながら断末魔をあげて化け物は倒れる。思わず固まっていると、隣から

「しっかりしろよ、レイ! あとひと踏ん張りだ!」

と声が聞こえてきた。今まさに死にそうであったという事実に思わず出かけた涙をこらえ、死んだ化け物から槍を引き抜くと次の戦いに備えた。

こうして転生一日目の戦闘は自らの親友と名乗る男、リヤンの助けもあり何とか終わったのであった。



ライトノベルを読むのが大好きすぎて、何を狂ったか書き始めてしまいました…。

よろしくお願いします。

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