39 勝敗
前話でシージア・リュエルの対戦相手の名前がありませんでした。
なので、カイン・ワルディアという名前を入れ、改投しました。
一戦目の処理を終え、ヴィネ達が入場する。
シオンはこっちを見ると手を振った。その笑顔は心なしか憎しみが籠っていたように見える。その理由は、俺が万全の状態で戦う約束を破った所為だろう……。
それに気づいたヴィネも俺達にグッと拳を突き上げる。それに応える様に同じ仕草をする。二人は舞台に上がり一礼をすると、ヴィネはシオンを見据え剣先を向ける。シオンは剣を中段に構える。
「第二試合、始め!!」
――ダンッ
試合開始の号令と共に勢いよく踏み出し襲い掛かったのはヴィネだった。初めから狙っていたかのように高速の二段突きを放つ。
シオンは後ろに下がりながら身体を左右に振りそれを躱すと踏みとどまり、反撃の蛇閃を放った。
入学試験の時よりも精度が増し、うねる剣筋は本当に蛇が襲い掛かるような錯覚をさせる。しかし、それを見極めたかのように弾くヴィネ。
荒々しくも速度を活かした攻撃を続けるヴィネと、それを清流のように受け流すシオンとの一進一退の攻防が続く。その光景に観覧者達は、息を飲み込むほど魅入られていた。
激しくぶつかり合う剣が青から黄、黄から赤と変化していき、見計らったかのように距離を置く二人。ヴィネは開始時と同じように剣先をシオンに向け、シオンは剣を寝かせて右腰辺りに下げる。
そして静寂の中、先に仕掛けたのはまたもヴィネだった。左足を強く踏み込み、さらに速度を上げ刺突を繰り出す。シオンはそれに合わせてとっておきの一撃を放った。
迫り来るヴィネに対し、シオンは手首を内に返し剣を起こす。同時に、左足を踏み込み剣を突き伸ばした。手首を返す事で生じた回転をそのままに、剣筋は螺旋のような軌跡を残す。
剣技“白蛇閃”
ヴィネの軽鎧を抉る様に切り裂いたが判定は強打の6点、致命打にはならなかった。ヴィネは咄嗟に体を半身にしてを躱したからだ。
刺突は止まらず、真っ直ぐに鳩尾に迫る。それを受けようと膝に魔法障壁を張り持ち上げたが、ヴィネの本当の狙いは鳩尾ではなかった。
シオンの顔に剣の影が映る。刺突だと思っていた剣筋は、既に胸に振り下ろされる寸前だった。これは……
剣技“弓落とし”
刺突から剣の軌道を縦に変え打ち下ろす剣技。初撃で突きを見せたのも、弓落としの布石だったのか。それも高速で繰り出されると為す術もない。
鈍い打撃音と共にヴィネの剣が軽鎧にめり込み、たまらず両膝を地面に付くシオン。赤になるまで強化した剣の一撃。致命打と認識されたのか、魔導掲示板に表示された点数が0を指し、すぐさま勝敗が決した。
ヴィネが手を差し伸べると、シオンはがっちりと握り返す。すると、少ないながらも拍手が起こり、二人を称賛する言葉を投げかける観覧者達が居た。
俺はカルティと顔を合わせ、思わず二人に駆け寄った。あんな闘いを見せられると、否応にも感化されるに決まっている。
――――続けて、第一試合の勝者と第二試合の敗者、第一試合の敗者と第二試合の勝者と対戦が行われた。
シオンはヴィネとの試合で負ったダメージが残っていたのか、シージアとの対戦では精細を欠き、点数6対6の引き分けに終わる。
ヴィネとカインとの対戦では、弱打を受け点数を3減らしたヴィネだが、その後危なげなく勝利した。
そして午前の全試合が終了し、俺は魔導掲示板を見つめ試合を振り返る。
ヴィネ ―― 勝ち点「7」点数「1」
シオン ―― 勝ち点「1」点数「-14」
シージア―― 勝ち点「4」点数「3」
カイン ―― 勝ち点「0」点数「-4」
対戦毎に点数は回復するが、初戦終了時の点数が元になる為、シオンの場合、初戦は-10点、シージアとの戦闘が6-6なので、14点がマイナスになる。
仮にシオンがカインに勝利し、シージアがヴィネから致命打を受け、点数が-10ポイントになっても、勝ち点は並ぶが、点数の差でシオンの予選突破は既にない状況だった。
この勝敗設定に欠陥があるんじゃないか?と考えたが、この結果が実は想定外だった事を後から知る事になる。何故なら、今までの大会で致命打という判定が出た前例が無いからだ。
この結果を受け、以降の大会では点数での勝敗は除かれ、勝ち点が並ぶと再勝負という方式に変更される。
――――午後に入り予選が再開される。シオンは予選の結果に腐る事なく全力を出し、カインに強打を2発叩き込み勝者となり、ヴィネもシージアに致命打を打ち込み、全勝で予選突破を決めた。
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