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24 手掛かり

前話でイスノキのパーティー紹介の時、ベル・フィザリスと表記していましたが、ソフィー・フィザリスに修正しました。

 ――――ユズハ達の混乱が目に見える程にわかる。ここで無暗に行動されても困るな……。


「おい、息子。混乱するのは分かるが落ち着いて欲しい。まずは今までの経緯について情報交換と行こう。」


 こうして俺達は、これまでのお互いの経緯を話し合うことにした――――。



「イスノキ、少し頼まれてくれないか?」


 俺達はエギルの個人的な依頼を受け、花簪山の中腹に根を張る薬樹枝葉(やくじゅえだは)を採取する事になった。まぁ、一介のギルドマスターが個人的な依頼を出すなど、許される事じゃないと思うが……俺達には関係ない。


 薬樹枝葉とは、成木(せいぼく)となった薬樹の根元から生える(ひこばえ)の事を指す。蘖は本来、樹木の主幹に流れるはずの養分を吸収してしまう為、樹木の枯れを防ぐように早期に剪定し、腐葉土になるよう切り取った枝葉は放置する。

 しかし、薬樹の蘖には特別な樹液を含んでいて、それが傷や体力を回復するポーションの元になる。この依頼の難度は低いが、10本一束で1,000リーフと報酬額も良く、人気のある依頼だ。


「主天使階級の俺達がやる依頼じゃないと思うが、何か裏があるんじゃないか?」

「裏は無いが原因がある。森林の洞窟に新たな階層が発見された事は知ってるよな?」

「あぁ。」

「未知の鉱石や魔物、その素材。それらが市場に出回り商品となる事で手数料が入り俺らギルドも潤うんだ。中には月契約する依頼も多々ある。」

「ようは、人手が足りないと?」

「そうだ。バカな話だが、自分たちの傷を癒すポーションが不足していてな。その生産会社の多数がポーション以上の回復原料の発見に伴って、研究に没頭する始末だ。」

「事情はわかった。だが、他の二人が納得すればその依頼、受けてやる。」

「相変わらず仲が良いな。」

「俺達は共通の目的を持って行動する事を信条としている。そうやって数多くの死線を回避し、潜り抜けてきたんだ――――。」


 そうして俺はソフィー、レオンと話し合い、依頼を受ける事にした。王都で準備を進め日を跨ぎ、早朝に出発。そして歩みなれた花簪山へと続くルートを進む途中、この湖を発見した。

 他の依頼でもこのルートを進んだことがある。それまでこんな場所に湖なんて無かった筈だ。日が浅いこともあって俺達は、まず湖の調査をする事にした。


 水質は良く口に含めば、僅かな甘みも感じられた。幻影の類ではなく、しっかりと存在している。


「ねぇ……ちょっとヤバいかも知れない。」不安の交じった声で俺に問いかけるソフィー。視線の先を追うと、高々とそびえ立っていた筈の花簪山が跡形もなく消えていたのだ。

「どういう事だ?」さすがのレオンもこの現状に驚愕しているようだった。

「二人とも落ち着こう。警戒しながら周辺を調べるぞ。」湖を囲むように木々が立っているが、迷うほど深くはない。まずは木に印を刻みながら慎重に足を進める――――。



「ハジメ、あれを見ろ。」レオンが指を指した先には、崩壊した外壁の中に小さな古城が建っていた。

「ここが当たりだな。」

「どうするの、一旦戻る?」

「そうだな。もう一度湖からその古城に辿り着けるか確認しよう。」


 俺達は周辺を調査するしていて気づいた事があった。それは古城へ続く獣道以外、同じ場所をグルグルと回り続けていたからだ。

 その証拠に、古城の位置を確認し、別のルートで目指しても辿りつ着けず、木に刻んだ傷の場所へ何度も戻されていた。


「まぁ、そうして湖に戻ったら、君達がはしゃいでいたワケだ。」



 ――――イスノキさん達は気を遣ったのか、最初に自分たちの経緯を話してくれた。その意図に気づいた俺達も経緯を話す。


「実技訓練か、しかも学校の生徒とはな。通りでそこら辺の冒険者より良い装備をしているわけだ。」

「ハジメ、まさか戦力として考えてない?」

「あの学校の入試試験をクリアしたんだ、腕は立つ方だろう。」

「ちょっと!レオンまで……。」


(戦力…か。)別に見えない話じゃない。イスノキさん達は、俺達を戦力と考え古城の探索に誘っている。ただそれを決めるのは自分の意思だ。だからワザと判断を委ねるような会話をしたんだろう。


「先に言っておく。俺達パーティーは、共通の目的を持って行動する事を信条としている。考えが合わないのなら無理強いはしない。俺達だけで古城を探索するまでだ。ただ、命を持って戻ってくる保証はない。そうなれば最悪、君達自身で古城を探索するしかない。」

「……それは、イスノキさん達でダメなら、俺達が探索に乗り出しても間違いなく命を落とす……ですか?」

「あぁ。一番いいのは俺達が攻略して、君達にリスク無く元の場所へ帰ってもらう事なんだがな。」


 俺が皆を見ると、ヤシラ達はコクンと頷いた。


「決まりだな。各自、準備が出来たら出発する。」


 こうして俺達は、イスノキさん達と古城探索に挑む事になった。

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