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1 少年の未来への軌跡

書いているうちに、タイトルとかけはなれてしまい、メインタイトルを変更しました。

「おい、ユズハ! 起きろ!」


 重い瞼をこすり、目を覚ましたのは“ユズハ・アイオリア”


 身支度を整え、1階へ降りて行くと、義理の父親“エギル・アイオリア”と母親の“ユイフィス・アイオリア”が慌ただしくカウンターに書類を並べていた


 実の両親は、ユズハが生まれてすぐに他界している。

 10歳の時、本当の姓を教えてもらったが、顔も知らない両親に未練はなく、15になった今でも、アイオリアの姓を変えるつもりはない。


 エギルたちは冒険者ギルドを営んでいた。書類とは依頼書のことだ。

 街や村、たまに領主からと様々な所から寄せられてくる。


 各階級毎に依頼書を整理していると、ガランガランと来客を告げる扉の鐘が鳴る。

 入って来たのは、冒険者階級智天使(ちてんし)の“ミカ・ユリノキ”だった。

 さらっとした首元まである黒髪をなびかせて、ユズハの前に立つ。


「おはよう! ユズハ、今日も朝練するぞ!」


 ミカはユズハに剣術を教えている。

 ユズハが5歳の時、自由騎士(じゆうきし)になりたいと言ったことがきっかけだった。


 しかし、いまだに体力や魔力、素振りなど、基本訓練をひたすら叩き込まれている。


「さぁ、走ってこい!」

「はい!」


 ユズハは走り込みにギルドを出る――



「おうミカ、おはようさん。」


 エギルがカウンター越しに声を掛ける。

 2人は16年前、この勾御神(まがみかみ)大陸で起こった厄災、“平行世界(へいこうせかい)からの干渉”から、世界を守るために、共に戦った仲間だった。

 その厄災を自らの命を断ち、最終的に終わらせたのは、“セツナ・ツキシロ”だ。

 ミカの剣術の師匠であり、ユズハの本当の父親でもある。


「あれからもう16年経ったのね。今も続けてるの? セツナとリラのお墓参り」

「もちろん」


 ユイフィス問いかけたリラとは、ミカの憧れの人だった“リラ・イフリート”ユズハの母親だ。

 2人はミカが弟子入りする前から恋人同士だった。

 平行世界からの干渉を阻止した後、リラはセツナの子を身籠っていたことが発覚。

 セツナを失い憔悴(しょうすい)しきっていた心に光が灯りはじめた矢先、既に病魔に侵されていたリラは、ユズハを生んですぐ亡くなってしまう。


「それよりエギル、ユズハの進路はどうするつもり?」

「ああ、本人に改めて聞いたが、変わらず自由騎士になりたいらしい。だから春月(しゅづき)になったら王都両立育成学校の試験を受けさせる」

「そうか。さてと、じゃあ今日は私が書類の整理をしようか」

「めずらしいな。助かる」


 冒険者の階級は9つあって、それぞれ上位・中位・下位に分けられている。


 下位:天使(てんし)大天使(だいてんし)権天使(けんてんし)

 中位:能天使(のうてんし)力天使(りきてんし)主天使(しゅてんし)

 上位:座天使(ざてんし)智天使(ちてんし)熾天使(してんし)


 さらに、()()()()()()()に与えられる十熾天剣(じゅっしてんけん)という古代から伝わる階級がある。


 現在は世界で3人しか存在していない。


 書類整理も終わりかけた頃にギルドに来る冒険者もポツポツと増え始めた。

 さらにしばらくすると、ユズハが息を切らして帰ってくる。


「ご苦労! ユズハ!」


 ミカはユズハの頭をくしゃくしゃと撫でる。

 これはセツナがリラやミカに良くしていた行為だ。


「よし、ユズハ。王都両立育成学校の入試まで、今日から私と手合わせしようか!」

「おやじ達から聞いたんですね! よろしくお願いします!」

「エギル、訓練場借りるよ。」


 エギルは、やれやれといった表情をしながらクイッと顎で訓練場に続く扉を指した。


 ユズハに木剣を渡し、取り敢えず好きなように攻めてこいと伝えた。

 体の芯に沿うように木剣を立て、中段に構えをとるユズハ。

 その立ち姿がリラと重なり、ミカの心は震えた。


 しばらく打ち合っていると、緊張がほぐれたのかユズハの動きがみるみる速くなっていく。


 誰に教えられたわけでもない。

 体を上手く使い、腕から剣までしっかりと力を伝えている。

 ユズハは素振りを繰り返してる中で、自分なりに考え答えを出していた――



 月日は経ち、ユズハは春月を迎える。


「ほらほら、そんなんじゃ強くなれないぞ? 自分で限界を決めるな。強さに貪欲になれ!」


 ミカから繰り出される剣撃に圧倒される。

 これでも手を抜いてるんだから、智天使ってのはどんだけ強いんだ。


「あっ……」


 剣撃を受けている中で、ユズハの全身から冷や汗が溢れ出た。

 腹の中心が圧縮するような感覚。

 それはミカから発せられた殺意だった。


「覚えときなさいユズハ」


 いつになく真剣な表情で見据えるミカ。


「これが圧倒的な戦力差を感じた時の感覚だ」


 そう言ってミカは構えを解くと、ユズハはその場にへたり込んでしまう。


「さてと…訓練は一旦、今日で終了だ。2日後に控えた入試までゆっくりと休め! 返事は?」

「は、はい!」


 こうして、ミカと約2ヶ月に及ぶ模擬戦は終了し、ユズハは入試に挑むこととなる。

実はノベルアップ+でツキシロ・セツナとリラ・イフリートが生きていた時代の作品を書いていたのですが、途中で今ある作品のネタが思い浮かび、こちらにて投稿を開始したんです。やっちゃいけない事をしている自覚はあるのですが、止められません(笑)


それでも良いよ、その気持ちわかるよ?と思っていただいた方、そして、この作品に興味を持っていただいた方、評価のほどをよろしくお願いします。

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