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異世界でも、ホームセンターは必要なようです。  作者: 切り花のほとんどは菊
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意外と難しい種播き

「あの、これ…もし良かったら、今度連絡ください。」


「あー。ごめんね。気持ちは嬉しいけど、僕、奥さんと子供いるんだ〜。」


奥村さんは、人間の女性のお客様が渡そうとした連絡先を書いた紙の受け取りを拒否した。


(ふぅ〜!今日もモテてるな。奥村さん。しかし、告白する側も勇気すごいな。)


私は真夏の暑さにやられて、今日はパリピ気分である。


「あっ!奥さんいらしたんですね。

すみません。」


肉食系女子のお客様は恥ずかしそうに小走りで帰っていった。


「藤田さ〜ん。」


「はい。」


「来週、タネの入れ替えがあるから、返品の準備よろしく〜

あ!初めてだっけ?山田さんにも伝えとくから、一緒作業してね〜」


「はい。承知しました!」


しばらくすると、山田さんがやって来た。


「お待たせ!」


「よろしくお願いします!」


「とりあえず、返品リストから作ろうか。」


「はい!」


山田さんは、いつも検品に使う機器を返品モードにした。


「あとは、これで種の袋のバーコードをスキャンして数を入力するだけ。

後日、業者さんが回収に来るから、スキャンしたら、この箱に種を入れてって。」


「はい。」


私と山田さんは、もくもくと作業をしていると、女性の猿の獣人族のお客様が話しかけて来た。


「すみません。2週間前にトマトの種を蒔いて芽が出ないんですが。」


「どちらのトマトの種を蒔かれましたか?」


山田さんは、スキャンする手を止めて、お客様へ近づいた。


「これです。」


お客様は種の袋を持っていた。


「お預かりしても大丈夫ですか。」


「ええ。」


山田さんは、種の袋の後ろを見た。


「種を蒔いたのは2週間前なので8月の頭頃ですよね。」


「はい。」


「その頃の最高気温は37〜38℃です。こちらの種は発芽温度が25〜30℃で、そして、育成温度が20〜35℃です。

もしかしたら、温度が高すぎて発芽しなかったのかも知れません。」


「えぇ…」


お客様は少し悲しそうな声を上げた。


「それから、種はポットに蒔かれましたか?」


「はい。ポットに蒔きました。

その時の土は何を使いましたか?」


「こちらに置いてある、野菜もりもり元気培養土です。」


「そちらには、肥料が入っています。

実は種から発芽までポットで育てる場合は、肥料分がない方が良いです。」


「え?そうなんですか?」


「はい。肥料の有機質が発芽の妨げになることがあるので、肥料分の入ってない種まき用の土をご使用される事をお勧めします」


「ちなみにトマトは種から育てるのに少しコツがいるので、もし、よろしければ、苗から育てる事をおすすめします。ここは暖地なので、今植えれば、秋ごろまで取れますよ。」


「わかりました!ありがとうございます!」


お客様は、納得されるとトマトのポット苗を6つ買って行かれた。


さすが、山田さんだ。今回も勉強になった。

私も今度、何か種を蒔いて、家庭菜園をやってみようかな。

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