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異世界でも、ホームセンターは必要なようです。  作者: 切り花のほとんどは菊
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サディスト⭐︎ハーフエルフ

大抵の人は、自分が可愛がった動物を、食べるために自分の手で命を奪うことに、抵抗を覚えるだろう。


園芸店でエルフやハーフエルフが働くのはそれと同じ痛みだと思っていた。


しかし、この日本にも、食べるために家畜を飼って、食用だが動物を可愛がる人がいるように、どうやらエルフやハーフエルフの世界にもいるようだ。


「えっ?!ハーフエルフの人が面接に来た?!しかも、園芸コーナー希望?」


私達は驚いた。


「うん。採用予定だよ。」


右側の頬を赤くパンパンに腫らした店長が、嬉しそうに言った。


「大丈夫なんですか?」


「本人が園芸コーナー希望してるし、大丈夫じゃないかな?」


店長はご機嫌なまま、リモート会議のため、店長室に入った。


2日後、ハーフエルフの新人さんが初出勤した。


「今日から、園芸コーナーで働いてくれる。

あの!あの!

ハーフエルフの山本ケルンさんです。」


「至らない点があるかと思いますが、よろしくお願い致します。」


みんな拍手で出迎えた。


「じゃあ、1週間は山田さんと一緒に仕事を覚えてください。」


店長がそういうと、はいとにっこり返事をした。


確かに顔立ちの整ったハーフエルフの笑顔は最高だ。


3日後、山田さんとお昼休憩が一緒になった。


「山本さん、大丈夫そうですか?」


ハーフエルフの植物の気持ちがわかるというのが心配だった。


「私も心配してたんだけどね。

意外と大丈夫そう。笑顔でちゃんと仕事できてるよ!」


「そうなんですか!よかった。

ハーフエルフ族がいれば、管理も安心ですね!」


休憩が終わり、仕事場に戻った。


次の日、山田さんも猫沢さんも休みなので、私が山本さんにつくことになった。


「よろしくお願いします!」


「こちらこそ、よろしくお願いします!

わからないことがあったら、いつでも呼んでくださいね!」


山本さんは明るくていい子だ。話を聞くと、父親が日本人、母親がエルフらしい。


幼い頃から、両親はあちこち飛び回っていたらしく、小学校からは父方の祖母と暮らすようになったらしい。


祖母の庭にはたくさんの花が咲いており、そこから花に興味があったようだ。


「げっ!ここ、切り戻しをしないと。」


園芸コーナーの仕事には、花の見た目が悪くなると、花摘みや切り戻しという作業をしなくてはいけない。これをすると、見た目が良くなるだけでなく、次に咲く花芽を育てることができる。


実際、花殻摘みをするだけで、商品がすぐに売れ始めるから不思議だ。


山田さんも山本さんに気を遣っていたのだろう。この作業は、植物に鋏を入れるため、エルフやハーフエルフが嫌がりそうだ。


しかし、このまま売り場に出しておくこともできない。


私は、山本さんにレジに立ってもらっている間に、この作業をやってしまうことにした。


まずは、お花の付け根を切るのだが、次の花になる芽を残すように切るのがポイントだ。切り戻したら、肥料を入れて、終わり。

この作業を約50ポット分繰り返す。


半分ほど作業を終えた時だった。


「あの、藤田さん!」


「あっ!はい!」


いきなり声をかけられびっくりしてしまった。山本さんが後ろにいた。


「ごめん。もしかして、嫌な声とか聞こえちゃった?」


(半分は作業できたし、ここでやめておくか…)


「あの…。その作業私にも教えてください。」


「えっ!?でも、精神的に来ない?」


「いいえ!大丈夫です!

やってみたいんです!お願いします!」


山本さんの熱意に負けた。


「わかりました。」


私は山本さんに茶色くなった花びらのポットを渡した。


「まずは、ここのお花はもう役目を終えてるから、ここの根元で切って、

で、下葉も黄色くなったり茶色くなってるところを手で根本から引っ張ったら取れるから取っておく!


で、最後にポットの中にこの白い粒の肥料を入れて終わり!


ゆっくりでいいからやってみて。」


「はい。」


山本さんは、仕事の飲み込みが早かった。

2、3回繰り返すと、テキパキと花苗を綺麗にしていく。


「山本さんも植物の声聞こえるの?」


「はい!聞こえますよ!」


「その…

切る時やっぱり痛いって言ってる?」


「はい!めっちゃ痛がってます!」


山本さんは笑顔で答えた。

私は目が点になった。


「あっ!私、植物の痛がってる姿とか、声聞くのが快感なんです。」


(えっ…?!やばい、やばい。)


「この下葉を取る時も、茶色くて、すぐ取れるのは、カサブタが取れるみたいな感じで、気持ちいらしいんですけど、黄色くなってるところは、少し組織が繋がってるみたいで、痛いらしいです!」


山本さんはにこにこ嬉しそうに笑う。


「お願い、なんか心痛くなりそうだから、言わないで…。」


この子のはドのつくサディストであろう。

冒頭の文章一部を撤回しよう。たぶん、食用の動物飼ってる人は、ここまでではないと思う。


「とりあえず、この作業ができるみたいで助かった!

…ということにしておくね!」


「はい!また、この作業するとき呼んでくださいね!絶対ですよ!!」


(いや、目が怖い、目が怖い!)


「う…うん。約束するよ。」


この子には、あまり、逆らわないでおこう。

私はそう心に決めた。


その後、山田さんか天使のようなハーフエルフの真の姿を気づくのにあまり時間を要さなかった。


(意外だったな…にしても乳デカかった。)

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