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異世界でも、ホームセンターは必要なようです。  作者: 切り花のほとんどは菊
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リッパーくん

「じゃじゃーん!今日から皆さんのお手伝いをしてくれるロボットのリッパーくんです!」


そこには膝丈ほどの白くて丸いロボットがいた。


「なんと、商品の場所を案内してくれるロボットです。」


(ぜっ…たい、使えねー。)


朝礼に集った、店長以外の従業員の心が一つになった。


「これで、省力化できそうですね。」


「………。」


何も言えねー。という空気である。


「どうやって使うんですか?」


店内レジアルバイトの河野ちゃんナイスだ。


「お腹にある丸い画面に、商品を探すってあるから押すと音声入力かタッチパネルで、入力すると案内してくれる。」


店長ドヤ顔である。


問題はこのロボットを使いこなせるお客様が来るのかである。


たぶん店長以外は期待していない。


でも、黙っておこう。あれこれ言うより、経験してもらったが早いし、もう導入しちゃってるし。


お昼になり、意外にもリッパーくんは仕事をしていた。


若いお客様は使い方がわかるので、使えるようだ。


ただ、名前がそもそもわからなかったり、機械が苦手なお客様も結構いた。


まぁ、そうだろう。


お昼過ぎになり1日で最も、混む時間になった。リッパーくんは、ポツンと寂しそうに、入り口を見つめている。


「みすませーん。このチェンソーの替え刃ってどれですか?」


「本体の型番とかわかりますか?」


「あー。ここで買ったチェンソーなんですけど…。型番は覚えてないです。」


「機種によって、使える替え刃が違うので、お調べしますね。」


とりあえず、チェンソーの売り場へ向かうことにした。


「ねね!結束バンドどこにある?」


「こちらの通路をまっすぐ向かっていただいて25番通路にあります。」


「ありがとう!」


他のお客様の接客をしている途中で接客になるのは良くあることだ。


「すみません!」


ウサ耳の獣人族のお姉さんに話しかけられた。


「これと、これって、どう違うんですか?」


接着剤について何か聞きたいようだ。しかし、まだ、チェンソーの接客が終わっていなかった。


私は無線で助けを呼んだが、みんな接客で手が塞がっている。


「申し訳ありません。すぐに来ますので、こちらでお待ちください。」


それだけ伝えて、チェンソーコーナーに向かった。


チェンソーコーナーに行くとすぐに、チェンソー本体の型番がわかった。そこから、取説を検索して、替刃の型番もわかった。


私はすぐに、接着剤のコーナーへ向かった。


「申し訳ありません。お待たせいたしました。」


「いえいえ、お忙しい時にすみません。」


(なんて、健気で可愛いお客様…!

全力で良い接客をせねば!!)


「この接着剤とこの接着剤、どっちが使いやすいですか?」


「何をくっつけられますか?」


「木材です!」


「その木材は水がかかったりしますか?」


「いいえ。室内で使うので大丈夫です!」


「でしたらこちらの黄色い接着剤で大丈夫ですよ!

もう一つの方は、水や熱に強く作ってありますが、その心配がないみたいなので、こちらの接着剤で大丈夫だと思います!」


「わかりました!ありがとうございます!」


可愛らしいお客様は行ってしまった。


"レジ応援お願いします。"


店内放送が鳴り、ちょうど私はレジの近くにいたので、レジ応援に入った。


ふと気づくと、店の入り口付近でリッパーくんがおじさんに絡まれていた。

なにやら、トラブっているようだ。


「だから、あれはどこにある?」


「スミマセン。モウ一度商品ノ名前ヲ

オ願イシマス。」


「だからあれだって!!!」


「どうしましたか〜?」


見かねた山田さんがフォローを入れた。


「あの、あれに使うあれはどこにある?」


「あっ!こちらにありますよ。

ご案内しますね。」


リッパーくんは省エネモードに突入した。


(リッパーくん気持ちわかるぞ!私もあのお客さんの探し物はわからない。)


私は心の中でリッパーくんに同情した。

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