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異世界でも、ホームセンターは必要なようです。  作者: 切り花のほとんどは菊
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就職氷河期からのバイト

300年前、異世界へと通じる山が発見され、勇者とか魔王とか、数々の困難とか、そんなこんなで、いつも通りの展開になった。今は、平和が訪れ、異世界人も、地球人も平和にくらしている。


しかし、日本はもともとオタクによる異世界人の受け入れが早かったことから、異世界人も移住しやすい国一位に。その影響で、人口は爆増、あっという間に就職氷河期がきて、私は、見事にフリーターへ。

このままでは、食いっぱぐれると思い、バイトとして異世界にあるホームセンターへ就職(?)が決まった。


〜面接時〜


「うーん。人間か…」


この反応はよくあることだった。

体力勝負の仕事は、力自慢の種族が、医療関係は回復系の種族が活躍していたために、種族差別というものが近年問題になっていた。


「えっ!?店長も人間ですよね?」


「そう、僕も人間。」


「種族差別ですか?」


「あっ!これ、採用とかに全然関係ないから、

エルフが良かったな〜と思って。」


「やっぱり、種族差別じゃないですか。」


「違うって、藤田さん採用するつもりだから。

その、僕の言い方が、まずかったね。


僕はエルフを愛してるんだ。

君の友達にエルフはいるかい?

君の友達でもいいから、エルフに手を出したいと思ってね。」


(この人…終わってる…)


私は、無言で、携帯の110を押した。


「あー!まってまって!

今のは聞かなかったことにして。」


私は手を止め、店長を見た。


「あー。これ、さっき来る時もらったんで、

よかったら、どうぞ。」


それはエルフ系風俗の広告の入ったポケットティッシュだった。


「ちなみに、エルフの友達いないですけど、いたとしても、絶対、店長には紹介しません。」


店長はその言葉にひどく落ち込んだ様子で、

「じゃあ、4月20日の午前8時半からよろしくお願いします。お疲れ様でした。」とボソボソというと、事務所に戻っていった。


さて、気を取り直して、初出勤。

店長が思いのほか変態である事は心配だけど、

新しい環境での新しい出会いは、少し楽しみだ。


「えー。今日からここで、一緒に働く藤田さんです。」


朝礼の後、店長が、紹介してくれた。


「初めての事が多く、ご迷惑おかけすると思いますが、よろしくお願いします。」


そう言って、一礼した。


皆さんは温かい拍手でむかえてくれた。


「藤田さんは、園芸の方の担当でお願いします。

と言っても、まだまだ人手不足で、他のところの応援も入ってもらう事も多いと思います。大変ですが、よろしくお願いします。」


「はい。わかりました。」


朝礼が終わるとそれぞれの持ち場に着く。

園芸担当の従業員は植物の置いてある屋外エリアと店内の園芸用品のコーナーが、主な持ち場だった。


「藤田さん今日からよろしくね。私は山田って言います。


今日から1週間は、私と一緒に作業しながら、仕事を覚えてくださいね。」


私に指導してくれる先輩は人間だった。

なんでも、ここの店舗が、異世界へ初めてホームセンターを出した店舗らしく、新店舗オープンの際、元々あった店舗から何人か呼ばれたうちの1人が山田さんらしい。


花々に囲まれて、お客様と笑顔で会話。

なんて素敵なお仕事…


とはいかなかった。


「さて最初は水やりからね。」


長靴に履き替えると、長ーいホースを持った山田さんが現れた。


「今は、そんなに気温が高くないから、乾いてるところだけ水を上げていきます。」


「はい!」


一通り、水のあげ方を見せてもらい、いざ実践。


「あらら、花びらに水がかかると花が痛んじゃうこともあるから、葉っぱを避けて下からあげてね。」


「はい。すみません。

気をつけます。」


そんなこんなで、1時間ほどでお花の水やりが終わった。


春のガーデニングや家庭菜園時期ということもあり、レジにはずっとお客さんが並んでいた。


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