毒気を抜かれる
今回戦闘描写を書こうと思いましたが、だれてしまう可能性があったので全カットしました
レベルの違い、僕は今それを体験している。真田と笹金の連携は完璧で、ポイズンをいともたやすく致命傷を食らわせ追い詰める。戦いはあっという間だった。
「く、私にはこれが!」
ひん死のポイズンが最後の悪あがきとして取り出したのは四角の黒い固形物だ。
「篁様から受け取ったこの箱で私は覚醒する!!」
「みんな離れろ! 巻き込まれるぞ!」
指示を出す真田はガムを伸ばし大きく広げ、壁のようなものを作る。金髪男も骨で大きな盾のようなものを作った。そしてポイズンは箱を開けると
ドカーン!! と大きな爆発が起こる。自決か?
隠れていたセナと他のメンバーは部屋に顔を出す。防御を図った真田と金髪男はほぼ無傷だった。
「やはり、彼女も騙されていたみたいだな。可哀想に……宣戦布告か牽制か否か。遂に始まったわけだ」
煙を見ながらボソッと独り言を垂れる真田。ポイズンの姿は跡も形もなかった。
敵ではあったがこの喪失感。まるで失恋でもしたかのような気持ち。でも彼女が振りまいた笑顔が本当に噓であったかどうにも信じにくかった。
「後片付けは明日しよう。飯も各自で済ましてくれすまない。景ちゃんは警戒を怠らぬように頼む」
「わかりました……」
後ろでずっと隠れてた女性が返事をする。
「セナ、明日も話をしないといけない。もちろん妹についてもだ。いいか?」
「はい、わかりました。今まで起きたことも全て聞かせてください」
「よし、きまりだな! それじゃ解散だ」
ボロボロになった部屋を出るみんな。その日のセナは全くというほど眠ることができなかった。
翌日、セナは起きると既に真田は室内でコーヒーを嗜んでいた。目をこすりながら
「ふぁ~、おはほうございはふ真田さん」
「おはようセナ、時間を見る感じ全く寝れなかったみたいだね。来ないもんだからこっちから来たよ」
時計を確認すると、昼を超えようとしている。真田さんはいつから来てたのだろうか。あえて起こさなかったのは真田さんなりの親切心なのだろう。
「すいません。ほぼ寝坊ですね」
「昨日があんなんだったからな仕方ない。ここで話そうか、ほら座って座って。朝飯、いや昼飯も用意してるぞ」
流されるままセナは座り向かい合う。窓から流れてくる空気は寝起きの僕をとても心地よくした。渡されたハンバーガーを頂き、早速食べる。昨日結局なにも食べなかったので、いつもより食い進むペースが早かった。
「寝起きの頭の体操がてらこれでもやらないか?」
そういって取り出したのはオセロ。なるべく角をとれば有利ぐらいしか覚えてない。
「いいですね! やりましょう」
既に昼飯を済ませたセナは真ん中にコマを並べる。それを見ながら真田は質問をした。
「昨日の副菜だが、もしかしてほうれんそう使ったか?」
急に昨日のメニューを聞かれて不意を突かれる。あまり思い出したくない記憶だが、そんな真田さんは食べたかったのだろうか……
「は、はい真田さん言ってたじゃないですか。ほうれんそうを忘れずにって」
僕の発言を聞いた瞬間、ハトが豆鉄砲でも食らったかのような顔をする。すると笑いを我慢する顔へと溶けていくように変化し、ついに大笑いを始めた。急に笑われた僕は困惑する。
「違う違う! ほうれんそうじゃない。報・連・相! 報告、連絡、相談だ」
「そっちですか! す、すいません!!」
あまりの失態に顔を赤くするセナ。ツボに入ったのか大爆笑を続ける真田。
「いやーこんなに笑ったのは半年ぶりか否か。まあ、あの時夕飯の話をしたオレも悪いな」
「今度から気をつけます……」
「じゃあ始めようか。セナが先手で構わないぞ」
「了解です」
と始まったオセロ。真田さんはかなり強いそうなイメージだ。
「リバーシでもうちながら本題に入りますか。君がここ一週間で経験し体験した出来事。reNatuについてね」