再開
次の日、セナは二人で警察署を訪ねた。その制服は間違いなくヒナのものであったが、それ以上の証拠が見つからなかったらしい。制服は持ち帰った。
夕方、セナの父は客人を招いた。セナに「お前に関わる人になりそうだから挨拶した方がいいぞ」と言っていましたが、トラウマのせいかあまり会う気にならず、二階の自室に閉じこもった。
久々にヒナの部屋に入ろうと考えたが、少し罪悪感を覚えそうだったので、直ぐに辞めた時コンコンと扉のノックオンがする。
「セナー、お前に会いたいそうだ。入っていいか?」
「お、おう別にいいけど。」
ガシャ
部屋に入ってきたのは、父親より背が高く優しそうな顔をしていた。オーダーか分からないが、スーツも似合っている。
「初めまして、俺の名前は真田英だ。二階堂聖南くんでいいのかな?」
「は、はいそうです」
きちんとした大人とは滅多に話さないので、少し緊張感がある。
「そんな堅くならなくていいよ、これでもろくな人生歩いてないもんでねははは」
「そうなんですか、なんで僕に会いたかったんですか?」
「えーっとね、単刀直入に言うとだな。ここはもう危ない、だから俺の屋敷に君を招待しなきゃならなくなってな。」
「え?! 突然過ぎません? だってヒナもまだ……」
「そのことも必ず話す。相当危険な状況なんだ。君の父さんにも安全な場所と職場先を用意している。これに関しては必ず保証できるから大丈夫だ」
「大丈夫って言われましても」
「まあとにかく準備の猶予はあげるから、九月十五日、つまり明日の夜にはこの場所に来なさい。」
そう言って渡された紙には、家から目的地まで分かりやすい簡易的な地図が描かれていた。
「そうだなぁ まあ八時ごろだ時間厳守で頼むぜ! それではまた明日~」
かなり一方的な会話で終わったが、一体我々家族は、そんな危険なことに足を突っ込んでいただろうか?全く身に覚えがない。とにかくあっさりと死にたくはないので、真田とやらに従うことにした。
~翌日~
七時頃、父さんは既に家を出て、あとは自分だけとなった。バス停までは近いので準備出来次第、向かう予定だ。あの日以来、なにか人生の歯車がおかしくなっている気がするが、自己修復は不可能なので、揉まれて進むしかない。ヒナが心配で仕方がない、本当に無事だろうか。
準備ができたので、家を出る。いつ戻れるかわからないけど、とりあえずさよなら。母さん行ってきます。もちろんのことレスポンスなどはなかった。
この前までは少し暑く感じたにもかかわらず、秋が自分の役割に気づいたかのように夜は少し冷え込んできていた。軽く一枚ふくを羽織り、バス停へ着く。まだバスが来ないようでスマホをいじる。
ドスン、ドスン
何か音がする。バスではないのは容易にわかった。こっちに来てる。
ドスン、ドスンとまるで像のような足音に警戒心を高める。体が見えた瞬間スマホを落とす。誰かわかった。
ヒナをぶん殴った大男だ。大男は流暢な関西弁で
「おー? やっとみつけましたわー、せっかく家までいって鍵のスペア作ったのに、まさかここにおったとは知りまへんでしたわ」
心が震える、怒りを通り越した感情が沸き上がった。
「よお、二番目に会いたかったぜ。ぶちのめすためにな!!!」
その感情が力となり彼を未知なる領域へと押し上げる。
「抵抗するなら、苦しめて殺しましょかー」
復讐劇の火蓋が切って落とされた。




