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プロローグ
その日は寒かった。
吐く息は白かったし、小汚い服にツギハギだらけののローブ、裸足よりは少しマシな靴を履いている僕は、震えが止まらなかった。
多種多様の種族が住む王都ローランド。この国で1番高い位置にある時計塔から僕は街並みを見下ろしている。
「やっと今日のカモが出てきた」
2、3日前から目星をつけていた、ビクビクした雰囲気の中年の男。空き家だったはずの家から、いつか分からないが住み着いていた。
日が沈みかけていく街並みは、僕の仕事が始まる時間のお知らせ。平和ボケした、監視の作業員さん達に心の中でお疲れ様と思いながら、時計塔を後にした。
王都ローランドの、