危機一髪
「最悪だわ」
コニーは頭を押さえて髪をかきあげる。乱れた赤毛はまるで疲れたサラリーマンのようだった。
「なにがですか?」
男は素直に聞いた。
「スレイブが破壊されかけた」
「無事だったのならよかったのでは?」
「誰がなんの目的で?これは人類の生命線よ。この過酷な寒冷化のなか生き残りをかけて全人類にナノマシンを埋め込んだ。肉体強化とネットとの連結。特殊能力開花を目的としたもの。適応出来ないものは死亡。過去人類は究極の選択として7割りの人間を切り捨てた。適応した人類は3割りほど。そこから
、繁殖。やっとのことで人口の半分まで回復したというのに。今さらこんな脅威にさらされるなんて」
黒いスーツの男達はどよめく。
「そ、それは。一体誰がなんの目的で。そんな」
枯れたように笑いならが少女は言う。
「異星の侵略」
「そ、そんなこと」
信じられないというような表情を見せる。
「そんなふりはいいから。今日が何年で、どのくらい時間がたってるんだか。薄々みんな気が付いてるんでしょ?地球人がいるんだから。宇宙人だっているでしょう。ただ接触してくるとは予想外。こちらにはまだ受け入れ準備も出来てない。科学も発展途上。民衆も完全には管理出来てない。最悪よ」
「で、ですが。一介の研究者で、あなたがそこまで知ってるですか?」
コニーは冷めた目をして男を見る。
「あんた新人?」
「あっ、はい」
「じゃあ、説明しておくわ。私はこう見えて、学生を装った研究者じゃないわ」
「はっ?」
「国家軍事安全保障。最高責任者、コニー・アンナマクレウス。スレイブの初代開発チームの第一人者。ちなみに年齢は300才。脳移植で、記憶は維持てるわ。この体はクローンの5人目。とはいえ、記憶維持も気力もなくなってしまってね。そろそろ棺に入るつもりでマスター権限の後任者の育成。引き継ぎの準備に入ったとところで、くるかね異星人。こちとら、もう予備のクローン準備してねぇんだわ」
暗い表情で俯く。
「すいません。話についていけてなくて」
新人は口を開く。
「私は優秀な令嬢の研究者かと」
「近代科学で出来ないことではないだろ?」
「いや、でも倫理的に……」
「人類滅亡の世代ならするだろ。倫理感なんかクソだわ」
「あの、その容姿はもともとでしょうか?」
「クローンなんだからそうだよ」
「ふ、普段の素振りは?」
「いいだろが。殺伐とした時代に私は生まれたんだよ。研究者してないときくらいなぁ。学生みたいなキャキャウフフしたいんだよ。300才のババアでも乙女なんだよ。あの頃は銃を持ちながら、研究を政府と敵対したがら命懸けで続けてたんだよ。学校帰りにクレープとか食ってキッキャウフフしたかったんだよ。そんくらいな目をつぶれよ新人がぁ。キャンパスライフ遅れなかった陰キャの気持ちわかれよ。淡い恋とかしてみたんだよクソがよぉ」
「あ、なんかすいません」
「わかればいいんだよ」
「では、これから我々はどうするんですか?」
夜は、コンコンとふけていく。
「たいしたことは出来ないさ。対策本部を設けるが、相手が友好的な相手であることを祈るよ」




