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救援要請




シェルターには、他にもぞくぞくと人が集まっていた。




小さな嗚咽の音や悲痛は声が響いていた。施設は広く無機質で冷たかった。人通りの少ない通路にもたれかかるようにハルは降ろされた。


「あ、ありがとう……」

祐希くんは驚いたように目を見開いた。

「大丈夫だよ」

ほんとはちょっと体は辛いが、意識は保てる程度には大丈夫だ。顔色は冴えないかもしれないが、おそらくこのシェルターに逃げ込んだ中では軽傷の部類だ。

鼻血を手で抑えながら、ハルは顔をあげる。

「息を吸うなって言ってくれたから、あんまり空気吸い込んでない。これってなにが起こったの?」


「おい、おい。あんま喋るな。無理するな。動くな。なにかあったら冬子に殺されるから」

「うん?わかった。でもほんとに平気。それより僕も状況が知りたいよ」


立ってるだけで絵になるイケメン祐希くんは、辺りをサッと見回して小声で静かな話した。

「俺にもわからん。だから推測なんだが、これはテロだ。スレイブを壊す物質を空気に含んで爆発させたように思う。人間にとっては一大事だな」

「その予想当たってるかもね」

ハルは苦笑いをした。

「意外と驚かないんだな。お前、スレイブ使えなくなったら困るだろ」

「そりゃ、困るけど」

ハルは少し考えて話した。

「………僕ね。むかし、同じようなテロにあったことあるよ」

「は?」

祐希くんは目を見開く。

「スレイブが試験的導入された頃に、抗体の持てない人達もいてね。差別だなんだって、標的にされたんだ。ちょっとした戦争みたいな。でも、そのうち抗体を持つ人が圧倒的に増えて多数派に支配されたんだよ。だから、たぶんなんだけど、僕のスレイブは壊れないよ。多少は空気感染の免疫を持ってるから」

「そういう話しは、反応に困るな……」

「ふふっ、祐希くんでも困ることあるんだね。ところで、救急隊はいつ来るの?」

「それは、お手上げだ。いつ来るかわからない。碧ハル、お前の意識が比較的しっかりしてて助かったよ」

「どういう意味?」


ガシャン!!!!

遠くで携帯の壊れる音がする。

「いつになったら助けにくるんだよ!妻が死んだらどおしてくれるんだ」

若い男が叫んでいた。


「あのようになっている。繋がるに繋がったが、感染が怖いんだろ。しばらく待機せよの繰り返しだ。お手上げだ。シェルターに逃げ込めばなんとかなると思ったが検討外れだ。あそこにいるよりは良かったが、あのままお前が死んでたらどう言い訳をしていも俺も死んでた」

「なんで?」

「もう、その話しはいい。喋るな、安静にしてろ」

「わかったよ。その前に祐希くんの携帯貸してくれない?」

「いいけど、同じだぞ。オペレーターが同じこと言うだけだぞ」

だるそうハルは手を伸ばす。

「電話したいのは、そこじゃないよ」

そして、携帯を受けとる。

「りこちゃんか?」

「心配するから、絶対しない」

ハルは番号を押した。

「違うよ。遠坂だよ」

「誰だよ」


「あっ、遠坂。僕だよ。そう、うん。大丈夫。うん、うん。でも救助がなかなか来なくて困ってるんだ。うん、そう。有り難うね。うん、じゃあね」

携帯を祐希くんに返した。

「どうしたの?」

「なぜ、こんなときはそんなモブに電話を?」

「いや、遠坂はクラスメイトだから。それに僕の友達だよ」

「悪かったよ。ところでそのクラスメイトのモブになんで電話などするんだ?」

「だって、遠坂は防衛省長官の息子なんだよ。ちょっと無理言って救助急いで貰った。30分くらいでなんとかしてくれるって。すごい頼りになる友達なんだ」


携帯を受け取った手が止まる。



「なんだ、渾身のギャグってやつか?」

「こんな緊急事態にやるわけないでしょ。ガチだよ」









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