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用意周到




ガッツポーズを振りかざして、天をあおぐ。





「シャー!!!!!!!!!!!」

勝ったのは新書目録こと、豊穣あかりだった。

「くっそぉ」

恨みぶしを噛み殺しながら、神室聖は状況を整理していた。最悪の状況ではあるが、何かの意図を感じていた。


「まぁ、冗談はさておき。対処を開始しないとね」

「いや、お前本気やったやん。全知全能のスパコンの力の統計だしてたやん。なに、ジャンケンに全力注いでんの?」


「まぁ、冗談はさておき………」

新書目録は聞かなかったことした。


「早急にこのウィルスを分析。データを送る。でも、それだと私達の正体を怪しまれるから、あの子を使いましょう。それで、データは中枢指令本部に送りしょう」

「それはあまり、感心はしないな」

「いまは時間がないじゃない?それに人間を利用してるのは、同じでしょ」

「同じではない。僕は協力してもらっただけだ」

「似たようなものだと思うけどね」

「全然違う」


白々しいとでも言うような表情で、少女は髪をかきあげた。スレイブを起動して情報を採取をはじめる。


青白い光が周囲を巻き込む。


「これが終わったら、シダの居場所を突き止めてる。それもデータで送るわ。采配は我が主にまかせるわ」

「それは生身で危険じゃないのか?」

「問題ない。これはあくまで乗り物だ。私の本体は脳。いや、電脳空間にある無数に構成されるデータだ。なにかあったら乗り換えればいいことだ」

「それだと豊穣あかりが突然死んだことになる」

「もう死んでるのお構い無く」

その瞳は冷たい色で、口元は笑っていた。


「それにしても、やられたな。こちらのことを読んでたのか?」

「まぁ、それは関係ないでしょね。私達が動くのが遅すぎただけかもね。タイミングが悪かったのよ。シダの生存はわかってたのだから、いままで接触してこなかった私達が悪いのでしょね」

「それはそうだが。あいつは敵か味方がわからない。こんなことをする目的はなんだ。スレイブを破壊して、人類と戦争でもしたいのか?」

「さぁ、本人しかわからないわ。でも、星に帰れなかったからあなたならどうする?私なら気が向いたなら、この地球の支配するかもしれないわ」

クルクルと手で髪を遊ぶ。

「どういうことだ」


なんとなく察しはつきはじめたが、神室は聞いてみた。それを見た新書目録は楽しそうに話し出した。

「たとえばだけど、ウィルスでスレイブを壊せば人類のかなりのダメージを受ける。そこに治療薬を持った救世主が現れればどうだろう。ある程度の権力は握ることは出来るかもしないね。私の妄想ではあるけど、当たらずも遠からずじゃないかしら」

「俺達が悪かったっていうのか?」

「誰もそんなこと言ってないよ。ただ我が主の決断が遅すぎのかもしれないな。シダの処遇に関して、だからあいつも自分で決めて自分で動いた。それだけよ。お前らだって、この星で静かに暮らすか星に帰るすべを探すか迷っただろ。どちらも困難な道だよ」

「………なによ?」

「起こってしまったことに責任も感じる。でも、僕は決断が遅かったとは思わない。何かを決めにるには勇気がいる。誰だって迷う。時間は必要だった。人類のことを知ってからではないと僕なら決めることは出来ない」

「人間みたいなこと言うわね」

「お前らはそうは言うが、考えた結果よく失敗するじゃないのか?考えても無意味だ。我が主には私は従うが、個人的な意見としては、兄上をさっさと殺しおけばよかったと思うよ。無実の罪を着せられて星を終われることもなかったのになぁ」

「争いごとが嫌いなんだ。あの方は……。それは結果論だ。あとからならなんとでも言えるさ」

「まぁ、それもそうだな。余計な話だったな」


人は避難したようで、不気味な静けさがあった。


「聞かなかったことにしておこう」

神室はメガネを直して、背を向けて歩きだした。そうだ、すべては結果論で誰が悪いとも思ってない。

最善の道を模索した迷うことだってあるだろう。本当に正しい道だったのかは誰もわかりはしないのだから。



「それは有難いな」



チラリとそちらを見て、新書目録は目を伏せた。














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