潜入捜査
緑のジャケットをはためかして颯爽と祐希は現れた。
「事件は、会議室で起こってるんじゃない現場で起こっているんだ!」
「彼はどこに向かって話してかけているのかしら?」
「さぁ?とりあえず、あいつは置いていくか」
「そうしましょう」
雑踏の中で、神室と新書目録は何も見なかったように歩き出した。
「いやいや、ちょっと待て。予習しておけといったのはお前らじゃないか。急いで踊れ捜査線を網羅したのに!」
慌てて祐希は追いかける。
「ドラマを見て楽しめとは言ってない。会社の資料や要注意人物はピックアップして頭に入れとけという意味だったのだが?」
「なんだと。だったら、最初からそう言えよ」
「いや、お前殴るぞ?」
「頼むから静かにしてくれないかな。あまり使えないようなら姫様に熨斗をつけて返すわよ」
新書目録は呆れ顔で小さく溜め息を付いた。
それから三人は電車と徒歩で地味に移動した。
しばらくあるいた後、とある会社の付近で止まった。
「あれか、でかいビルだな」
そびえ立つ建物は厳重に警備員に守られていた。とても製薬会社には思えないセキュリティの固さだった。
「正面突破は無理だな。いくなら夜。もしくは別ルートかだな。帰るか……」
「帰るのかよ。せっかく来たのに」
「馬鹿。下見だ。下見だ」
神室は溜め息を深くついた。
「そうよ。慎重にこの件は持ち帰りましょう。私達は表向きは学生なのだから。私はこの会社につてのある知り合いを探してみるわ。あと、人物の身辺調査。疑わしいけど、まったく関係なかったら無駄足だからね」
「そうか。なら僕は、別の侵入経路がないか探ってみる」
「でも、どうかしらね。かなりセキュリティが厳しいわ。そんな都合よく地下通路や別のルートで侵入できるとは思えないけど………」
「いや、まぁ。そうだけど……」
たしかしにそうだか。この時点では他に妙案はない。
「出てくるまで待つとか?」
「私達は学業もあるから何時間も待ち伏せするのは難しいわ。それに簡単に尻尾を出すかしらね」
新書目録と神室はその場で考え込む。
「これは思ったより難しいわね。姫様に安請け合いしてしまったようだわ」
「まったく。まどころっこしいな。俺がちゃちゃとシダがいるか見てくるよ。いたら力ずくで連れてくるよ」
祐希は腕組みしながら口を開いた。
「だ・か・ら。そんな簡単に出来たら苦労はないだろ」
「だから簡単だろ。だって俺にはスキルがあるじゃん」
自慢げに自慢して、ふんぞり返る。
「なに?」
「俺を誰だと思ってる。冬子様の懐刀とは俺のことよ」
ハッハッハと祐希は不適に笑う。




