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ウィルス




人には決して開けてはいけない扉がある。

足元のずる賢い蛇が唆す。そして甘美に囁く。



さぁ、開けてごらんと。






「遺伝子を壊すウイルス?」

新書目録はサクッとクッキーを口の中で砕いた。

「違うわ。正確には、私達のスレイブを壊すウイルス」

「なら、よかった。人が死ぬわけじゃないのね」

「よくねぇだろ。スレイブなんか壊された人には生きていけないだろう。死んだも同然だ。なんせ今はスレイブの適正で図られる」

「そんなおおげさな」

普通の少女のように新書目録は苦笑いを浮かべた。


旭はコトッと紅茶のカップを机に置いた。

「そんなことありませんよ。持たざる者をどうこう言うつもりはありませんが、元々持っていた者を取り上げられれば絶望もするでしょう。おおげさといっても、スレイブがなれば社会的地位は降格。支援も受けられなくなります。それでも平静でいられましょうか?」

新書目録は黙った。

苦い顔で言った。

「残酷だわ…………」

「しかたのないことだろ?」

「そうね…」


彼らもまた選択を迫られのだろう。かつて、私達も同じように。平和と引き換えに感情を失ったシリウス人のように。

彼らもまた何かを失って、引き換えに力を得たのだ。


「人類という種を存続させるためです。そのためにかつて、我々は環境に適応できる強い優秀な人間を求めてスレイブに適応できるように賭けをしたのです。確かに身分差というものが出来てしまったのは不幸ですが、あのまま滅びるわけにはいかなかったのですわ」

それを聴きながら豊醸あかりとして、真剣に考える。



「兎に角、話の本筋に戻りますわ。そのウイルスを作っているという疑惑のラストリア社。怪しいですわ」

「証拠はなのでしょ?」

「証拠なんて待っていたら大惨事になってしまいますわ」

「そうだぞ。こういうときは殴りこみだろ」

いや、マフィアの抗争じゃないんだから。


「私の知り合いに情報を調べるのが得意な人がいるの。少し調べてみたいから軽率な行動はやめておこうよ。あととても聡明な人を知っているの。彼女の話をして考えを聞いてみたい」

「あら、あなたも知り合いでしたの?」

美しい水色髪の知的な少女を旭は思い浮かべた。


「ええ、まぁ。あははは…」

曖昧に笑う。


「とりあえずこの件は持ち帰らせて貰うわ」





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