招かれざる客
「今日友達が来るから」
紅茶を飲もうとして、ふと口をつける前に顔をあげて執事に名言する。
「えっ、友達いたんですか?」
ぎょっとしたように御影は聞き返す。
「それはどういう意味かな?」
「えっ、いや他意はなく。お嬢様は病気のせいで内気だと病院のお医者様から聞いていたのもですから」
「たしかにそうかもしれないけど、ベッドから起き上がれないのに内気もなにもあったもんじゃないわ。最近学校に通い始めたでしょ?出来たのよ友達」
「こんな没落財閥の………ゴッフン!!、ゴッフン!!!!友達になってくれるなんて、凄くよい方ですね」
「資産が順調に回復してるわ。しばらくしたら没落財閥じゃなくなるわよ。まぁ、でも聞かなかったことにしてあげる」
確かに財閥としては、名声がだいぶ落ちているからな。
それはまた今度考えよう。
当面は豊醸あかりとしての生活を安定させて、姫様に有益を情報を提供しなくてはいけないな。
新書目録は力強く立ち上がる。
「チョコレートのタルトとサンドイッチを用意して。とても美味しかったから友達にも食べさせたいな」
にっこり笑って新書目録は微笑む。うん、そうよね。この笑顔ってやつが私にはよく似合うわ。
大広間には艶のあるチョコレートのタルトが甘い匂いをさせていた。サンドイッチは色とりどりで、ハムにレタス。チーズにたまごが溢れんばかり詰まっていた。
「わぁ、美味しいそう。うちの執事は料理が上手いのね。うん、完璧だわ。う~ん、美味しい」
つまみ食いをしならが、新書目録は唸る。
「それで、どんなお友達なんですかお嬢様?」
「親切な女の子と賢そうな男の子よ」
「抽象的過ぎますね」
「もうすぐ来るんだしいいじゃない」
そう言い終わらないうちに玄関の呼び鈴がなる。
「あら、来たみたい。出迎えるわ」
クルリとスカートを翻して玄関に新書目録は向かった。
「お嬢様のお友達どんな人だろう?」
チカが訪ねる。
「穏やかで親切な人じゃないだろうか」
「希望的観測ね」
ガッシャーン!!!!!
突然花瓶の割れる音がする。
「なにごとだ!」
神室とチカが駆けつける。
「んっだと、チンピラじゃねーよ。もっペン言ってみろヒゲじじい!!!」
「うっ!!!!」
相手はなんと金髪の外国人。整った顔ではあるが、目付きの悪いチンピラそのものだった。
「失礼しました。あかりお嬢様のご学友とは」
「わかりばいいんだよ。わかれば」
「ごめんね、マキリくん。執事長に友達が来るのいい忘れてたの。許して」
めんごめんごと新書目録は謝った。
「あらなんの騒ぎですの?」
そして、もう一人外から誰か入って来た。そして、廊下の割れた花瓶に目をやる。
「大変、私が踏んで怪我でもしたら大変じゃない」
少女は扇子をパンッと閉じる。
すると、どこからともなく全身黒ずくめの者が数人走ってきて花瓶の破片を片付けた。
「さて、ごきげんよう。豊醸さん」
向き直った少女は、長い黒髪に翡翠の目色をしていた。そして、薄く微笑む。すると、待ってましたばかりに黒子達が一斉に籠を持ち花を撒き散らす。
御影とチカは思った。花、どこから?その黒い人達なんなのと。めちゃ高飛車で高圧的だな。
「旭さん、来てくれ有り難う。ささ二人とも中に入って」
全然空気の読めてない新書目録は嬉しそうにステップを踏んで奥に案内する。
御影は思った、友達は選んだほうがよろしかと。




