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儚く消える願いたち



空に一筋の光がスッと消えていく。



「あっ」

「どうした?」

「いや別に、意外にあっけないなと思って」

「そんなものだろう」

そしていくつかの星が落ちてくるのが見えた。


「流れ星だ」

りこが囁く。それが聞こえたのか神室が頷く。

「そうだな」

「じゃあ、あれが無事にアルテミスまでいけるように願い事してあげる」

りこは指を組んで祈りを捧げる。

「意味ないぞ。流れ星は滅んだ星の命だ。教えてやろう。宇宙では年がら年中戦争をやってるんだ」

「あなた達はほんとロマンがないわ。ハルちゃんならそんなこと言わないんだから」

「そうだな。あの男は夢見がちそうな性格だな」

ぼんやりと冬子様のお気に入りの少年を思い浮かべる。

「そこがいいのよ。わかんないかなぁ。さぁ、ところで私の役目も終わったということね。これで思う存分にハルちゃんとイチャイチャ出来るわ」

「いつもしているだろう?」

「あのね。今この小学生の体は今だけなのなのよ。それをフル活用して堪能しないのといけないのよ。私はあなた達と遊んでる時間が惜しいんたから」

パンパンと胸を叩いて、りこは主張する。

「そうか。まぁ、犯罪だけは起こすなよ。ところで………」

「なによ?」

「………有り難う」

その横顔は暗くてあんまりわからなかった。


「…………どういたしてまして」

ハルちゃん以外に有り難うなんて言われたのいつぶりだろうか。

そんな風に考えていると彼が此方を見る。

「君は、宇宙人がこわくないのか?」

「こわいけど、あなた達はいい人そうだもの。でも勘違いしないでね。みんながみんなそうじゃないわ。私がたまたま理解ある天才少女だっただけで普通はこわいから。いままで通り人間に正体を悟られないのが平穏に生きるには大切ことだわ」

「君は何故こわくない?」

質問は真に迫る。

「だから、悪い人達じゃないのはわかるし」

りこは彼の顔を見た。

「わかった。本当のことを言うわ。私の世界はハルちゃんかハルちゃん以外なのよ」

「いや、まったくわからん」

「正直、ハルちゃん以外はどうでもいい。人間と宇宙人じゃなくてハルちゃかそれ以外なの。人間か宇宙人かなんて突き詰めればどうだっていいことだと思っているの」

「それはなんというか以外と……」

「クズでクソな発想でしょ。クズで結構。本懐だわ」

りこは堂々と口に出す。

「だからまわり人間を信用しないほうがいいわ。私はまぁ、あれだけど世の中悪い人間だっていっぱいいるんだからね」

「そうだな。でも葵りこと葵ハルのは信用にたる人間だと思ってる」

「……………そう?」

りこは下を向いた。


「そういえば、祐希くんと相馬さんは?」

「相馬は帰ったぞ。祐希はそこの木のとこで寝てる」

「あらら」

「知っているかもしないが、祐希は君と同い年だ。体はずっと成長しているが特異体質なんだ。夜も遅いから疲れたんだろう」

「宇宙人ってほんと不思議。見れば見るほど人間に見えてくるだけど」

「そう見えるだけさ。いつかわかるよ」









月が高くあがり、白い光が青い髪の少女が佇む窓辺を照らす。こちらに顔をゆっくり向ける。

「報告有り難う」

「いえ」

「しかし、意外かな」

「なにがです?」

「君が花火に興味があるなんてな」

その表情は少しも読み取れない。

「おかしいですか?」

「いや、意外ではないか。とても人間らしいよ」

「ところで冬子様は彼らを自由に行動させるのですか?」

「私と違った思考や行動力を持っているからだよ」

「そうですか。ところで冬子様自身は星に帰ることに消極的なようにみえますが」

「帰る意思はある」

冷たい目で空を見上げる。

「ただ複雑な問題がたくさんある。まず宇宙船だ。次に帰ってからの対応もある。まさか丸腰で敵地に飛び込めまい。状況も調べなければならない。どれだけ急いだところでよい結果になるとは思えない。私は時期を見ている。我々のところには新書目録が戻ったろ?大きな前進だ。私は彼らと良い関係を築きたいのだ。そのうえで協力して貰いたい」

「まさか。人間どもに助けを願うのですか?」

「まだ先の話だ。私は友好関係を結びたいと思っている」

「それは難しいのでは?」

「私は機会を待つことするよ」

深い青い瞳を向けて、妖艶に微笑む。

「わかりました」

ペコリとお辞儀をしてジュリはそれ以上は言わずに部屋を出ていった。


冬子はただ星空を見上げる。

「理事から聞いた話だが、合衆国に我々の母船に似た宇宙船が試作されている。あと何年かすれば完成するだろう。私の手には新書目録がある。船のコントロールを奪うことは容易いこと。たとえばなりふりかまわなればいくつか案はあるのさ。問題はそのカードをいつ切るのかどうか」

宇宙人として振る舞えばそれは冷淡で残酷である。しかし、ここにきてから神崎冬子として暮らしてきた。

できれば穏やかに彼らの協力が欲しいなとど思うようになったのはいつからだろうか。

きっとある少年と出会ってからだ。

だからいまは自分の腹心の部下達の思うようにさせている。

「願わくば、争うことなくに星に帰りたい。そして、兄上と和解したい」


きっと、そんな願い叶うことなく、星クズのように燃え尽きてしまうのだろう。


それでも願わずにはいられなかった。



叶うならば、君が好いている優しい人間のふりをしていたいと。

















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