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ジャミングキャンセラー




ジュっという音とともに花火が消える。それが少し寂しかった。


「終わったね」

りこが呟く。



「そうか、じゃそろそろ打ち上げの準備をするか」

「うん、そうだね」

あれ?

もしかして私楽しんでいた?


りこは顔をあげると隣に相馬ジュリがいた。

「楽しかったわ。十分満足したわ」

「それはよかったです」

「スイカも美味しいかったな。なんか地球の夏を満喫したって感じだな」

祐希がそう言いながら、花火の殻を水の張ったバケツ入れかたずけをする。その様子を見ながら、りこはなにかやら感慨深い気持ちになった。初めてハルちゃん以外の人と遊んだからだ。それは存外楽しかった。


「まったく、残念だな。何故これだけ文明を極めた我らの星にはこういった遊び心があるようなものがなかったのだ。人生損した気分だ」

「ははっ………」

りこは苦笑いをした。

「じゃあ、また来年も……。なんでもないや……」

ああ、そっかもしも星に帰れたらもう一緒に花火することもないのか。余計なことを言うのはやめておこう。


「りこちゃん」

「んっ?」

「もし、僕ら星に帰れなかったら来年も再来年も花火しようね」

祐希が爽やかに笑ってくる。りこは返答に困った。

「おい、縁起でもない。俺達はかえるんだ」

神室がぷんすか怒る。

「気合いだけではなんともならないこともあるだろう」

「いや、確率は高い。設定先はアルテミスにしたんだから」

「まあ、妥当なところね。戦争には常に中立で、我がシリウスにも友好的だった星だわ。でもアルテミス以外に小型機を拾われる可能性はないの?逆にこちらの居場所がわかり危険になるようなことはない?」

ジュリが尋ねた。

「ない。暗号は古代アルテミス文字を使った。これが解読できる奴は、アルテミス人しかいないな」

「そう、ようやくあなたの知識が役立ってよかったわ。でももし上手く言ったとして彼らは私達を助けてくれるかしら。助けてくれたとしてアルテミス人に迷惑をかけるわ」

「迷惑かけなきゃ助からんだろう。あとで、その恩を百倍にして返してやる」

「そう、アルテミスの姫様と冬子様は仲がよかったと聞くわ。助けてくれる可能性が高いわね」

「そうかな。あいつらの星だって立場があるんだ。私情で動くとは思えないな。だってあいつら俺らと同じ合理主義を突き詰めた宇宙人だぜ。情に訴えようとしても無駄無駄。全ては希望的観測だろ」

祐希が正論を言って、やれやれと首をふる。


ジュリは小さな溜め息をつく。

「まぁ、ここでごちゃごちゃいっても仕方ないわね」

「それは、そうと……」

りこは小型機を組み上げながら、気がかりなことを口にした。

「これ、大気圏に打ち上げ成功したら合衆国とか日本国とかのレーダーに引っ掛かるよね。私そこまで責任もてないからね。指名手配とかされないよね」

さすがにハッキングは出来ても、世界中の目を反らすことなどりこには出来なかった。


「安心しろ。手は打ってある」

落ち着いた様子で神室は返した。

「どういうこと?」

「打ち明けは8時。その時間、大気圏に突入する数秒間全ての電子機器の機能を停止させる。心配するな、ほんの一瞬だ。被害は出ない」

「えっ?そんなこと出来るの」

りこは言葉を失う。

「出来る。俺達の仲間に唯一無二の存在がいる」

神室は冷静に返す。

「そんな仲間いたっけ?」

りこは、驚いた表情を向ける。なぜなら本当にそんなことが出来るなら、恐ろしい化け物だろう。


「助けたろ?忘れたのか。新書目録のことだよ。いまは、そう、豊醸あかりという名前だがな。今度君にも会わせるよ。今頃、どこかの高台でスタンバイしてるだろう。ちょうど、8時ぴったりにジャミングキャンセラーを発動する。そろそろだ、急ごう」


パンッと膝を叩いて神室は立ち上がった。















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