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パーティー



そう言いかけたマキリはヒュッと息を飲んだ。


なぜなら思いのほか彼らの足は早く、追い付かれるのも時間の問題だったからだ。こんなことなら威嚇に発砲するんじゃなかったなと思い目を伏せた。


「あっ!!!」

「なんだよ。クソッ!!!」

「黒塗りのベンツに回り込まれたわ」

「まずいな……」


新書目録は考えた。

姫様に助けを求めるべきかどうか。

「いやいや、それはないな。プライドが許さない。しかし、これは人間の体で凄く脆いから怪我したら死んじゃうかもしれないし。いやいや、そんなかっこうの悪いこと死んでもできないわ。体があるって厄介よね」

首を横に振りながら彼女は走った。

「なにをブツブツ言ってん……」



キキキィー!!!!!!!


鋭いブレーキの音がした。そして、扉がガチャリとあく。

「なにをしてますの!はやく乗って!!!!」

黒髪の少女が飛び出して、車に乗るよう急かす。

「旭さん!!!」

「おまえかよ!!!」

渡りに船で二人は車の方に駆け寄る。

「はやく奥に!」

旭に急かされ、慌てて乗り込むが、あと一歩遅く大男に追いつかれる。

「旭さんも早く中に!」

新書目録は叫んだ。


「客人になんたる無礼。どこの誰かは存じ上げませんが、そちらが手をだしてくるなら致しかたなし」

翡翠の瞳はうつむきがちに、姿勢もやや前のめりに少女は静かに話す。


「お前こそなんだ、邪魔をするな」

「あなたこそ茶会の邪魔ですわね」

足を踏み込みだ次の瞬間、かまいたちが起きたようだった。


「抜刀!!!」

腰に携えた日本刀で脇腹に一太刀浴びせる。

これには、新書目録もマキリも息を飲んだ。すぐさま旭は、後ろを振り向かず車に乗り込んだ。


「さぁ、早く車を出して」

車に乗り込むと急かすように運転手に声をかけた。車は速度を上げて走り出す。


「心配なさらなくても、峰打ちですわ」

フフッと黒髪の雅な少女は笑う。

「いや、峰打ちじゃなかったぞ」

おもいっきり刀に血がついていた。しかし、旭は聞かなかったことにした。白いハンカチで綺麗にその血を拭き取る。

「あ、あのう。助けてくれて有り難う、旭さん。でもなんで日本刀を?」

「学校ならともかく。このご時世出かけるのには護身用に持っておくのが常ですわ。ね、マキリさん」

「ああ、そうだな」


悪びれもなく旭はにこやかに笑う。

つられて新書目録もにっこり微笑んだ。


いやいや、ここ日本ですよ。銃刀法を違反しているのかという素朴な疑問はあるが。命を助けられた出前それは言い出せなかった。

「まぁ、なにはともあれ合流できてよかったですわ。安心なさいなこのベンツは防弾仕様でしてよ。それよりも何故命を狙われてますの?」

「そのは身内の事情というかなんというか。私は豊醸の正当な後継者ではあるけれど、すでに両親はいないから跡を継げると思っていた親戚からやっかまれてしまって」

ハハッと新書目録が笑えないが笑ってみせる。

「まぁ、それは大変。どうなさいますの?」

「どうもしない。やり過ごすわ。だって、あいつらはずる賢しこいから。とりあえずお金もあるし、頼れる知り合いか、後ろだてを探しているところよ」

とにかく豊醸あかりは財閥令嬢として早急に一人立ちしなければならなかった。

姫様の知り合いなんか強そうなバックはいたかな。帰ったら聞いてみよう。さすがに、こんな銃撃戦に巻き込まれたか弱い人間の体のあかりちゃんは死んでしまう。

「そうですわね。豊醸家を立て直すのはなかなか骨が折れそうですわね」

「気にしないでね。私は楽しみだわ。いつか私があいつらに目にものを見せてあげるから。最高に残酷にね」

明るいその少女には似つかわしくない、冷たい表情を浮かべた。

だって、約束したもんね。この体を貰う代わりにあなたを事故に巻き込んだ連中に復讐して欲しいと。その願いそのうち私が叶えてあげるわ。

「でしたら、私が協力致しましょうか?」

「えっ?」

「私はまだ次期当主という立場ですが、どうでしょう同盟を組みませんか?」

「私なんかと?どうして?」

「あなたのことが気に入りました。将来性もありそうですしね。実のところ私も順風満帆に見えて敵も多いですわ。以外と当主になる前に蹴り落とされるかも」

「まさか……」

「どう思います。優秀ではあるけど、素行に難ありのマキリさん。あなたも似たもうなものでしょう?」

「フンッ!!」

「心許せる友達が出来ればよいと茶会を考えたのですが、どうでしょうか?面白い話でしょう」

「それは素敵ね。旭家とお近付きになれるなんて勿体ないくらいだわ。この恩は出世払いでもいいかしら」

「勿論ですわ。マキリさんは?」


暫く窓の外を眺めたあと口を開く。

「……悪くない考えではあるな。俺達には敵が多すぎる」

「では私たち三人で密やかな同盟を作りましょう。将来的に互いに利益があると思いますわ。さて、そろそろ屋敷につきますわ。パーティーを初めましょう」


にこやかに旭は微笑み、扇子をパチンッと閉じた。






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