火種
翡翠の瞳がすれ違う。
「ぶっそうな世の中になったものよね」
風に黒髪をなびかせて、憂いを覗かせた。こちらの心の中を覗き込んでくる。
「世の中そんなものだろう」
マキリは足珍しくを止めた。
「ねぇ、聞きまして他の財閥がやられぱなしで情けないったら。それとも彼等は何か後ろだてがあるのかしら?」
扇子を仰ぎながら旭は首を傾げる。
「何が言いたい。まあ、情けないのは同意してやるけどな」
鋭い金色の眼孔が光る。
「たまには気が合いますわね。その噂の企業がナイトメアにも絡んでいるかもしれませんわ」
「だからなんだ?」
クスクスと低い笑い声がする。
「わたくし達、協力しませんこと?勿論、無理にとは言いませんが……。もしも、スレイブが使えなくなるなんてことがこの学校で起こったら目も当てられませんわ。ですから、まだ芽吹くまえに早急に対処したいのです。あなただって、大切なお友達くらいいるのでしょう?」
「うるさい……」
マキリは、少し考えて返事をした。
「まあ、いいぜ。協力しても。あとあと火の粉がかかったらたまらない」
「まぁ、嬉しいですわ。そういば、最近、豊醸財閥のご令嬢が復学されたのはご存じ?彼女にも声をかけて見ようと思うだけどどうかしら?」
「豊醸?聞いたことないな。没落でもしてたのか?」
「その通りですわ。しかし、最近破竹の勢いで家門を建て直しているそうですわ。なんでも株式市場を上手く操っているようで興味深いわ。せっかくですし、わたくし彼女とお友達になりたいと思って」
「フンッ、別にいいだろう」
それを聞いて、旭はニコリと笑う。
「では、さっそくお茶会の招待状でも出しましょうか?そうだ碧くんとも同じクラスですし、誘ってみます?」
「あいつは巻き込むな」
「あらあら。お優しいこと」
ホホホと黒髪の雅な少女は楽しそう笑う。




