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願いごと



やっと、念願の主の元に帰れた私は安堵していた。

あとは正体を隠しつつ、主を助けていけばいい。学生生活を楽しみつつ、裏切り者の炙り出せばいい。


勿論、名前は言ってないが裏切り者はジダという男だ。おそらくみんなわかっている。そもそも姫君が汚名を着せられ、星を追われるという事態の異様な手際の良さがあった。まさに用意周到。

しかし、まさか自分まで兄君に裏切られるとは自業自得である。なんにせよあんな物騒な男は早く見つけて始末するにかぎる。




月明かりに照らされた夜道を歩きながら、ふと少女の顔が浮かぶ。蒼白い、全てに絶望したような顔だった。


人間のそんな表情は実に興味深い。





どうせ死ぬんだ。体をくれと言ってみた。


少女は頷き、画面の中の私を見る。


どうかどうか代わりに願いを叶えて欲しいと言った。


私は神ではないが、おおよそ万能であると答えた。



「まぁ、それに関していつか時間を作ってやろう。体を貰った礼儀は尽くそう」


何がお望みか?

両親の死の解明か。それとも財閥への復帰か。親戚どもを皆殺し?せめて、願いごとを言ってから死んでくれないかね。こちとら結構義理堅いだからな。



まぁ、いい。どうせ暇をもて余していたところだ。



ほとぼり冷めたらその願い叶えてやるよ、豊醸あかり。


それが願いだったのだろう?




淡い月明かりだけが、優しく少女の足元を照らしていた。










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