合流
祐希から連絡を受け一同は、神崎冬子の自室に集まった。
時刻は深夜。
静寂と共に水色の髪の少女は口を開いた。
「よくぞ帰った」
その言葉を聞いて膝をついて、うやうやしく答える。
「再びお会いすることができるとは、光栄でございます。我が主」
「して、その体どうしたのだ?」
青い瞳を細めて冬子は問いかけた。
膝をついていたもう一人の少女は立ち上がる。
「名は豊醸あかりと言います。この体は頂きました………」
少し青白い肌に薄い色の瞳の病弱そうな様子ではあるが、愛らしい顔だちをそれはしていた。
「誤解なさらぬよう」
「この体の持ち主はすで亡くなっております。もともと体が弱く入院しており、残り少ない命でありました。勿論、無理やり奪ってなどいません。亡くなる直前までスレイブのデータにアクセスしていたので、丁度よいと思い私の意識を入れました。死後硬直もまだでしたので、そのままナノマシンを脳神経に打ち込みました。このままデータの海をさ迷うより安全かと。まさか誰も私が人間の中に入るとは思いますまい」
口角を僅かにあげて、新書目録は微笑みを浮かべた。
「…………よもやそのようなことが出来るとは」
これには一同言葉も出ない。
「私はシリウスの叡智。出来ぬことなどございません」
はっきりと重い口調でいうが、新書目録の目は笑っていなかった。
柔らかい表情もすべて人を真似た作りものそのもの。しかし、それは自分たちも同じようなものだった。
「しかし、この体がまさか我が主の通う学校の生徒だったとは偶然でして。主も私を探しているようでしたので、目立った行動をしていれば見つけて頂けると思っておりました」
「ああ、本当に安心した。人間の手にも敵対勢力にも渡らなくて良かったと」
「はい、そのことこでお伝えしておきたいことが……」
「よくない話しか」
「はい。我らの他にも生き残った同胞がおります。ですが、おそらく裏切ったあと」
「彼らは何を……。したいのだろうか」
「恐らくは、星に帰るのは絶望的なのでこちらの星を頂くつもりかと。詳しくまだ分かりませんが……」
静かな怒りが冬子に沸き上がった。
「これは我らの星ではない。過度な干渉は容認できない」
そして、クルリと後ろを向いて部屋の外に向かう。
「少し休め。これからのことはゆっくり考えよう。そなたどうするつもりだ?他の身分を用意も出来るが?」
なんともいえない表情で冬子は聞いてみた。
「今の私は豊醸あかりですので、復学します。なるべく不自然な行動は避けたいので。慣れるのに少し時間はかかりますが……」
にこりと少女は笑った。
それを見て冬子は部屋を出た。




